あれももう大分前のことになるかと思う…。
夜間、まだかろうじて電車が動いている時間帯に某繁華街の外れで手を挙げたその男性をお乗せした。
私のヘッドライトに照らされたその男性の風貌はこうだった。
中肉中背、無造作に伸ばした黒く長い髪、黒いスーツ、黒いサングラス、赤と白のストライプの杖…。
私
『こんばんは、どうぞー。ゆっくりお足元に気をつけてお乗りくださいね。』
そのお客様は黙ってゆっくり乗り込むと、同時に慣れた手つきで杖をカチャカチャと素早く折りたたんだ。
私は頭の中で呟いた。
(へー、折りたたみ式の杖なんだ…。)
男性
『世田谷の〇〇までお願いします。』
私
『〇〇のどの辺りでしょうか?』
男性
『近くなったら説明しますので、とりあえず〇〇に向かって下さい。』
私
『かしこまりました…。』
色んな意味で、大丈夫か?😅
私はお客様の指示通り、〇〇方面に向かってしばらく走ったが、〇〇方面に到着するまで会話は全く無かった。
私
『お客様、そろそろ〇〇でございます。』
男性
『じゃあ、□□を右に曲がってください。』
車は世田谷の住宅街に入っていった…。
分かる人には分かるはずだが、世田谷の住宅街は狭い道や一方通行が多い。
私は、気を遣いゆっくり走りながら別れ道に差し掛かる所で声をかけようとした。
私
『お客さ…』
男性
『そこを左。』
す、凄い。
まるで見えている様なナビだ。
車は更に細かい道に入っていく。
と同時に私も更に神経を使う…。
しばらく真っ直ぐ道なりかな?と、お客様に確認をしようとした時、彼は言った。
『今人が出てきた所を右に。』
は?😧
周りは真っ暗な住宅街だ…。
見えてるよな?…😑
曲がって程なくして、更に男性は言う。
『じゃ、ここで…。ありがとう。』
男性は普通にスタスタと降りて家に入って行った…。
…そのお客様を降ろした後、私はよく考えて最初からおかしかったのに気が付く。
お乗せする時にその男性の前を何台も一般車が通り抜けたが、彼は迷う事無く私のタクシーに手を挙げたのだった…。
そう、私はタクシードライバー✨🚕
直接誰かの役に立つ仕事。
そんな仕事が割と好きだ。
そして今日も都内のどこかでハンドルを握っている…。
🙋🏾♂️hey…taxi
『は、ハロー…🤓💦』
文:コーコダディ
画:AI描画アプリ
⚠️内容の無断利用は固くお断り致します🙇
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Posted at
2023/10/10 20:19:44