
2024.01.16、光害地自宅撮影、M97「ふくろう星雲」をL-extremeフィルターで撮影
1月の終わりから2月は冬の対象が早く沈むようになる。
昨年迄は毎年の様に「この時期は撮る物が無いよなぁ~」と思っていた。
M97ふくろう、M13、系外銀河、等は視直径は小さく「どうせ撮っても豆粒みたいだしなぁ~」と今まではそんなノリだった。
そこでこの時期に持っていると楽しく過ごせるのが長焦点鏡。
毎年そう思っていたので所有のEQ5に載りそうなセレストロンC6を昨年購入。
最近撮影運用が出来る様になり、今時期も天候さえよければ寒いけど楽しく過ごせている。
今回の対象はM97ふくろう星雲。
セレストロンC6で撮影するには視直径は小さな対象だが今までよりもずっと大きく撮影出来る。
滞空時間が長く高度もある。
惑星状星雲につき特定の輝線を多く放っているので干渉系フィルターの撮影も有効で光害地でも割と写ってくれそうな予感。
とても魅力的な対象。
そこで今回はL-extremeフィルター使用にて撮影した。
今回の撮影結果は星雲内の星の写りが悪く反省点の残る結果となった。
次回、今回の反省点を活かし再度挑戦したい。
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[ライトフレーム撮影メモ]
撮影対象:M97「ふくろう星雲」
撮影日時:2024.01.16、01:00~
撮影地:自宅(千葉県北西部の光害地)
焦点距離:945mm
F値:F6.3(純正専用レデューサ使用)
露出:ISO12800、480秒、32枚
総露出時間:256分
機材、↓
セレストロンC6
セレストロン×0.63純正レデューサ
セレストロン2インチアダプターSCT用#93661
2インチスリーブM48オスアダプター
L-extremeフィルター
M48TリングEOS用
EOS-FXレンズマウントアダプター
X-T30
よこたレンズヒーター(C6に使用、ちょっと大きいサイズ)
自作銀色延長フード(C6に使用)
C6を銀色アルミで巻く
SS-ONE120mmガイドカメラセット
ステップアップリング42→52(ガイド鏡に使用)
ステップアップリング52→58(ガイド鏡に使用)
ハクバメタルレンズフード58(ガイド鏡に使用)
よこたレンズヒーター(ガイド鏡に使用)
自作銀色延長フード(ガイド鏡に使用)
EQ5GOTO
SS-ONEオートガイダープロ
SS-ONE無線コントロール
SS-ONE電子極軸望遠鏡
ビクセン nebula book(おおよその位置確認)
ビクセン planet book(月の状態確認)
ステラリウムスマフォアプリ版(写野シミュレーションに使用)
ステライメージ8(画像処理)
GAOMON B4 トレース台(フラット撮影に使用)
撮影方法:カメラレンズ撮影(直焦点撮影)、オートガイド、ディザリング無し
カメラ取り付け方向:赤道儀座に対して水平
[月と薄明]

↑、月の様子 ↑、薄明時刻
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[今回の露出]

↑、PC取り込み済、JPG撮って出し1枚物、トリミングなし

↑、そのヒストグラム
撮影条件は先記と同じだが、
撮影日時:2024.01.16、03:33(写真のコマ)
撮影地:自宅(千葉県北西部の光害地)
F値:F6.3
露出:ISO12800、480秒
L-extremeフィルター
ワンショットナローバンドフィルター使用でヒストグラムを上げるのもなかなか大変。
自宅2階バルコニーで床のたわみあり、付近の大型車通過の微振動あり、長焦点撮影にはマイナス要素多数。
その為、今回はそんな理由で1コマ8分とした。
1コマあたりの撮影時間をもっと伸ばしたかったが失敗コマが発生すると時間的ダメージは大きくなる。
ちなみにもう少し軽い鏡筒だが過去には最長で1コマ15分の撮影経験あり。
今回も積載重量ギリでEQ5にムチを打つ!
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最良な手法で作品に仕上げる為に今回は1つの作品作成となった。
良好な結果の出た手法は以下、↓
・デジカメX-T30生成JPGからの処理
・LED発光パネル使用実写フラットをモノクロ化してからフラット補正
ちなみに①カラーのままフラット補正した場合は赤が強烈に強調され不自然なフラット補正結果となってしまった。
撮影時のヒストグラムの関係か。
ちなみに②デジカメX-T30のRAWを別現像ソフトにてTIFFに現像しそこから処理したら、M97ふくろう星雲内の星がもっと写らなかった。
現像エンジンの性能の差か。
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作品、↓

↑、画像処理後トリミングなし(APS-C)
M97「ふくろう星雲」
周辺を拡大すると星像は同心円状の伸びがあり

↑、作品
M97「ふくろう星雲」
1型センターサイズ程度にトリミング。
星像から判断し1型センサー~フォーサーズ程度が良像範囲か。

↑、作品
M97「ふくろう星雲」
もっとトリミングあり。
星像から判断し1型センサー~フォーサーズ程度が良像範囲か。

↑、トリミング後のヒストグラム
[作品の画像処理]
○一次画像処理
ライトフレームはX-T30生成JPGを使用
・ダーク減算なし
ライトフレームをステライメージ8でコンポジット
・X-T30生成JPG使用
・詳細モードコンポジット
・位置合わせ自動
・回転を計算ON
・位置合わせ実行
・加算平均σクリッピング
・ピクセル補間バイキュービック
・処理後TIFFで書き出す
フラットフレームはLEDパネル実写撮影
フラットフレームをステライメージ8でコンポジット
・X-T30生成JPGを使用(ダーク減算なし)
・詳細モードコンポジット
・位置合わせしない
・加算平均
・ピクセル補間バイリニア
・TIFFで書き出す
フラット補正
・フラットフレームはモノクロ化してフラット補正
○二次画像処理
ステライメージ8で一次画像処理済みTIFFをステライメージ8で二次画像処理
・諧調
・カブリ&周辺減光を確認&補正
・スターシャープ処理
(ダメージ系処理)
(スターシャープ処理は星像をシャープに引き締める効果はもちろん画像シャープ感をそこそこ保ちつつノイズリダクションも期待出来る)
トリミング
・良像範囲1型センサー相当にトリミング
・さらにバランス良く拡大トリミング
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[反省点]
X-T30生成JPGとLEDパネル実写フラモノクロ化フラット補正の処理が一番上手く行った。
カラーフラットでは赤が強烈に強調され失敗した。
X-T30のRAF(RAW)をRAW FILE CONVERTER EX 3.0 POWERD BY SILKYPIXでTIFFに現像したらM97ふくろう内の星がもっと写りが悪くなってしまった。
よって今回はX-T30生成JPGからの処理のみ作品化した。
L-extremeはワンショットナローバンドフィルターの為に恒星の光がかなり絞られてしまう。
M97ふくろう内の星がもっと良く写るように、自宅くらいの光害地ではQBPフィルター使用、光害の弱い撮影地ではCBPフィルター使用、にて再度撮影してみたい。
前回は焦点距離撮影につき使用機材の最小微動ステップが大きく、ディザリング撮影するとズラし幅が大き過ぎてしまった。
よって今回の撮影はディザリング無しとした。
前回はその為かフラットが合いにくく周辺の色ムラが多く発生してしまった。
今回はフラットが合いやすく周辺の色ムラはほぼ無く結果は大幅改善となった。
フラットはおおむね合っているようだが周辺星像は1型センサー~フォーサーズを越える辺りから同心円状に星は伸びていた。
良像範囲は1型~フォーサーズ程度か。

↑、フラット補正後のトリミング無し画像。
フラットはバッチリ決まっている雰囲気。

↑、それを周辺減光が目立つように強調
周辺の色ムラは劇的に改善。
今回、ディザリング撮影はしなかった。
しかし長焦点撮影につき「機材のたわみ?」「赤道儀の偏芯?」による写野のズレが発生しディザリングしたかの様になった。

↑、撮影開始時と撮影最終時の元画像。
丸で囲んだ星の位置に注目。
ディザリングはしていないが、ちょうど良い感じの天然のズレが発生し結果ディザリングの効果はあった様な感じがした。
他作例を見ると「カメラはマウントに対し垂直設置」の例が多い。
次回カメラは垂直にマウントしてみよう。
今回も高ISO感度(ISO12800)使用となり画像のザラ付きが多く出た。
今回も対策としてステライメージ8の「スターシャープ」を使用した。

↑、before & after
「星が小さく引き締まりシャープになる効果」
「星雲が滑らかになる効果」
「ノイズリダクションの効果」
「ノイズリダクションよりもぼやけない」
、等メリットは多数あった。
しかしやり過ぎると「やはりぼやける」「微恒星が消える」等デメリットあり。
スターシャープはやんわりと…。

↑、参考、今回のスターシャープの設定値。
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今回はこんな感じ。