2023.11.19-20、南房総遠征撮影、オリオン座「エンゼルフィッシュ星雲~バーナードループ」
何度も撮影しているオリオン座のエンゼルフィッシュ星雲~バーナードループですがなかなか納得出来る写真は撮れていなかった。
少ない予算ながらも光学系とカメラに数回投資したり、3シーズン越しの挑戦だったり、なかなかうまく撮れなかった。
今回の撮影でやっと「自分的にはおおむね満足」な結果となった。
前回は小山ダムにて同対象を撮影。
結構良い感じだったがレンズの収差が大きくもっと絞って再度撮影みたくなった。
その時はカメラレンズXF50F2(50mm、開放F2、コンパクト単焦点)を開放F2→2.8に絞って撮影。
今回は同対象を同機材にて絞りをF2→4にして撮影してみた。
収差はかなり改善し、F値と我慢できる収差のバランスが釣り合った感じがした(F5~5.6まで絞っても実用範囲内かなぁ)。
今回の撮影では元画像がなかなか良く撮影出来たので画像処理も丁寧にやってみた。
いつもは手抜きお手軽の「ソフトビニングフラット補正」で済ませてしまいがちだが今回は手間のかかる実写フラットにて画像処理をしてみた。
ソフトビニングフラット補正は元画像から星&星雲情報をとばしフラット画像に用いる手法で、メリットは手軽、デメリットは淡い星雲情報が多少なりとも削られてしまう事。
さて今回は実写フラット。
撮影方法は色々あると思いつくが今回はとある情報供者様の案を採用。
それはLEDパネルを使用する実写フラット撮影。
スカイフラットは空の条件も重要だし結構面倒で億劫。
また、室内で壁を撮影しても室内灯入射の影響もあり面倒くさい。
そこで手軽に安定したフラット撮影をする為にLEDパネル使用実写フラット撮影となった。
そのLEDパネルだが結構アタリハズレも多い感じ。
情報提供者様紹介の物は天体撮影画像処理において実績のある機種であり、シャッタースピードによる失敗がない(ネット記事引用)。
蛍光灯やディスプレイを撮影する時に出る横縞の心配がない(横縞が出現した事は無い)との事。
LEDパネルにレンズフードを密着して撮影すれば他光源の影響は受けない。
これは素晴らしいアイテムだ。
と、言う訳で実際に画像処理してみるとなかなか良かった。
情報提供様本当にありがとうございました。
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今回は同一元画像から作品1~3に仕上げてみた。
作品1、お手軽なソフトビニングフラット補正バージョン
作品2、LEDパネル使用実写フラット補正バージョン(普通にフラット補正処理)
作品3、LEDパネル使用実写フラット補正バージョン(フラットフレームをモノクロ化してからフラット補正処理)
[撮影メモ→作品1~3共通]
撮影日時:2023.11.19、23:24~
撮影対象:オリオン座「エンゼルフィッシュ星雲~バーナードループ」
焦点距離:50mm(フルサイズ換算なし)
F値:F4(開放F2)
露出:ISO1600、240秒、48枚
総露出時間:192分
機材、↓
・XF50F2
・ステップアップリング46→58(カメラレンズ用)
・ステップアップリング58→67(カメラレンズ用)
・ハクバメタルレンズフード67(カメラレンズ用)
・スターリーナイトフィルター77(カメラレンズ用)
・ハクバメタルレンズフード77(カメラレンズ用)
・よこたレンズヒーター(カメラレンズ用)
・自作銀色延長フード(カメラレンズ用)
・X-T30(APS-C)
・アリガタレール
・カメラ水平垂直切り替えL字アルカスイス
・アルカスイスクランプ
・クリアバーティノフマスク
・EQ5GOTO
・SS-ONEオートガイダープロ
・SS-ONE無線コントロール
・SS-ONE電子極軸望遠鏡
・SS-ONE120mmガイドカメラセット
・ステップアップリング42→52(ガイド鏡用)
・ステップアップリング52→58(ガイド鏡用)
・ハクバメタルレンズフード58(ガイド鏡用)
・よこたレンズヒーター(ガイド鏡用)
・自作銀色延長フード(ガイド鏡用)
・ビクセン nebula book(おおよその位置確認)
・ビクセン planet book(月の状態確認)
・ステライメージ8(画像処理)
・GAOMON B4 トレース台(フラット撮影用)
撮影方法:カメラレンズ撮影(直焦点撮影)、オートガイド、ディザリング
カメラ取り付け方向:赤道儀座に対して水平
今回は撮影レンズとガイド鏡の両方に銀色延長フードを装備。
ハクバメタルレンズフードは放熱しやすく冷えるので夜露が付きやすい。
そこでハクバメタルレンズフードをなるべく覆い隠す様に銀色延長フードを装備。
その感想はなかなか良かった(主観)。
[月と薄明]
↑、月の様子
↑、薄明時刻
↑、薄明時刻
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↑、作品1、オリオン座「エンゼルフィッシュ星雲~バーナードループ」
・JPGより作成(ダーク減算なし)。
・ソフトビニングフラット補正。
・四隅周辺部のフラットが合わず色ムラが発生、周辺部色ムラのトリミングあり。
・ダメージ系処理なし(シャープ、ノイズリダクション、等、使用せず)。
↑、作品1のトリミングなし。
・四隅周辺部はフラットが合わずムラが発生。
・ディスプレイによっては四隅周辺部ムラが顕著に現れるかも。
↑、コンポジット済を強調
周辺減光とカブリが目立つ
↑、コンポジット済&&ソフトビニングフラット補正済を強調
周辺減光とカブリ等はソフトビニングフラット補正にておおむね補正されたが周辺部のムラは残ってしまった。
ソフトビニングフラット補正は「さじ加減」で大きく出来が左右され、効きの強さと淡い星雲情報はトレードオフの関係となる。
今回のソフトビニングフラット補正は数パターン試した中で良好な状態のフラットを適用。
しかし周辺のフラットは合わせる事が出来なかった。
よって周辺部にムラが生じ作品はそのムラをトリミングしたものとなった。
↑、作品1のヒストグラム
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↑、作品2、オリオン座「エンゼルフィッシュ星雲~バーナードループ」
・JPGより作成(ダーク減算なし)。
・LEDパネル使用実写フラット補正。
・フラットフレームは普通にカラーのまま処理。
・四隅周辺部のフラットが合わず色ムラが発生、周辺部色ムラのトリミングあり。
・ダメージ系処理なし(シャープ、ノイズリダクション、等、使用せず)。
*ソフトビニングフラット補正と比べ、エンゼルフィッシュ星雲が良く写っていて、奥行きや立体感がある。
↑、作品2のトリミングなし。
・フラットは四隅周辺部迄合っていない為に周辺部でムラが発生。
・ディスプレイによっては四隅周辺部ムラが顕著に現れるかも。
↑、コンポジット済&&LEDパネル使用実写フラット補正済を強調
フラットはおおむね成功、黄色にカブっている。
LEDパネルを実写撮影しフラットフレームはカラーのままフラット補正。
フラットフレームのカラー情報も加味され除算された結果か・・・
↑、それをステライメージ8の周辺減光補正コマンドにて修正
↑、それをステライメージ8のカブリ補正コマンドにて修正
↑、コンポジット済&LEDパネル使用実写フラット補正済をステライメージ8の周辺減光補正コマンドとカブリ補正コマンドにて修正後を強調
ここまで均一平坦となった。
しかし作品に仕上げて行くと四隅周辺のフラットは合わなかった。
作品2では周辺部に発生したムラをトリミングにて除去した。
↑、作品2のヒストグラム
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↑、作品3、オリオン座「エンゼルフィッシュ星雲~バーナードループ」
・JPGより作成(ダーク減算なし)。
・LEDパネル使用実写フラット補正。
・フラットフレームは作品2と同一でそれをモノクロ変換後に処理。
・フラットは四隅周辺部迄合っており周辺部まで色ムラは発生しなかったのでトリミングなし。
・ダメージ系処理なし(シャープ、ノイズリダクション、等、使用せず)。
↑、コンポジット済&LEDパネル使用モノクロ化実写フラット補正済を強調
フラットはおおむね成功、緑色にカブっている。
LEDパネルを実写撮影しフラットフレームをモノクロ変換後にフラット補正。
フラットフレームのカラー情報は加味されずに除算された結果か・・・
↑、コンポジット済&LEDパネル使用モノクロ変換実写フラット補正済をステライメージ8の周辺減光補正コマンドとカブリ補正コマンドにて修正した後に強調したもの。
ここまで均一平坦となった。
四隅周辺部迄フラットが合っているので四隅周辺のムラが発生しなかった為、作品に仕上げた時にトリミングの必要はなかった。
↑、作品3のヒストグラム
ずっと満足出来なかったオリオン座「エンゼルフィッシュ星雲~バーナードループ」ですが、今回の作品3にて自分的にはおおむね満足出来る作品となった。
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[カメラレンズXF50F2(50mm、F2、単焦点)をより絞ってみた]
前回の小山ダムにて同対象を同機材にて撮影した際には開放F2→2.8に絞って撮影し、パープルフリンジが結構出て、写野周辺の微恒星は拡大すると放射状にのびていた。
そこで今回は開放F2→4に絞って撮影してみた。
結果は収差が大幅に改善した。
パープルフリンジは減少、写野周辺の微恒星の伸びは大幅改善となった。
ここまで写れば「まぁ、満足」。
↑、前回撮影の様子、開放F2→2.8に絞って撮影。
この写りはかなり不満だった。
↑、写野中央と写野四隅を拡大してみる
↑、写野中央①を拡大
*開放F2→4
↑、写野周辺四隅②を拡大
*開放F2→4、微恒星も伸びずに良い感じに写っている
↑、写野周辺四隅③を拡大
*開放F2→4、微恒星も伸びずに良い感じに写っている
↑、写野周辺四隅④を拡大
*開放F2→4、微恒星も伸びずに良い感じに写っている
↑、写野周辺四隅⑤を拡大
*開放F2→4、微恒星も伸びずに良い感じに写っている。
明るい星はリゲル。
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[撮影時のヒストグラム]
↑、南中前の撮影開始時
↑、その画像をPCに取り込み「撮って出し」
↑、南中時刻付近か
↑、その画像をPCに取り込み「撮って出し」
この後、オリオン座は南房総から見て南西の明るい方角に沈んで行く。
ヒストグラム設定は中央付近を狙って撮影出来た。
又、オリオン座の日周運動も考慮しヒストグラム設定が出来た。
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↑、帰りにYouTube旅するプーさん紹介のお店に行ってみた
旅するプーさんの天体撮影YouTubeの更新を楽しみにしています。
↑、実際に行って撮影した写真
↑、「かねまさ食堂」
営業時間はこんな感じ
↑、店内
実際に行って撮影
↑、メニューとお値段(税込み価格)
メニューは2つのみ
実際に行って撮影
↑、刺身定食、1000円
実際に行って撮影
↑、お店の外にあった旧車
↑、お店の外にあったロボ
どこかのテーマパークからやって来たのだろうか・・・
↑、朽ちたロボだがジブリ感は無い
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↑、今回もフワっとアクセルでエコに走った
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今回のオリオン座はなかなか良く撮影出来たので画像処理もしっかりやりたくなる。
フラット補正はいつも元画像から星と星雲をとばしフラット画像を作成する「ソフトビニングフラット補正」でお手軽に済ませてしまいがちだがデメリットもあり。
デメリットは淡い星雲情報が削られがちな事。
今回は淡い淡いエンゼルフィッシュ星雲、また元画像も結構良かったので手間をかけて処理してみる。
実写フラットで処理をする。
フラットは色々な撮影方法がありますがメリットデメリットあり。
スカイフラットは一般的だが空や周囲の条件等も加味しなければならずなかなか億劫。
室内で壁を撮影する場合は周囲の照明の入射等に気を遣う。
そこで思いついたのはiPadでグレー画面を撮影する方法も試したがイマイチ。
そんなこんなをつぶやいていたらとある情報提供者様からLEDパネル使用例を教えて頂けた。
そこで今回はその案を頂く。
↑、iPad使用を使用してみたが・・・
↑、壁を撮ってみたが・・・
↑、情報提供様から教えて頂いたLEDパネル(ネット引用)
↑、物は漫画やアニメ作成の為の発光トレース台か(ネット引用)
↑、自宅にお届けされた箱
↑、それを使用
これイイね。
レンズにフードを付けたままトレース台に密着する様に撮影すると周囲光源入射の影響は受けずにフラットを撮影出来る。
これ重要な事と思います。
今回のフラット撮影でちょっとした配慮は、迷信的、オカルト的、ですが以下、↓
・トレース台にフードを密着させ他光源の入射を防ぐ。
・光量調整出来るので光量は最弱にしてコピー用紙数枚を敷く。
(理由は→天体撮影の被写体は暗い、その条件の周辺減光情報が欲しいから。)
(理由は→フード内側や鏡筒内の光の反射の影響を受けたくないから。)
(コピー紙の枚数を調整してシャッタースピードを選ぶ事が出来る。)
(コピー紙を敷く事によりフード内と鏡筒内の反射を低減させたい。)
・フラットフレームのヒストグラムはだいたいだがライトフレームに合わせてみた。
↑、フラットフレームの撮影情報
↑、ついでにフラットのダークも撮影
↑、ダークも撮影
デジイチではダーク撮影の温度管理は環境頼み。
今時期のダーク撮影は比較的温度が合わせやすいので撮影しやすい。
標高の高い涼しいスポットで撮影した場合のダーク撮影は夏季だと温度合わせが困難。
その点冷却CMOSカメラなら温度管理が出来て良いですね。
さて大きな問題発覚。
「フジのデジイチX-T30はX-Trans CMOS センサー搭載機であり、ステライメージ8ではそのRAWファイルは扱えない」と言う事。
ステライメージ8では基本フジのRAWファイル「RAF」はそのままでは読み込めないのでAdobe DNG converter でDNGファイルに変換すれば読み込み可能である。
が、ご注意!
フジの入門機種はべイヤー配列機→フジのRAWファイルのRAFファイルをDNGファイルに変換すればステライメージ8で読み込み可能。
フジ上位機種はX-Trans CMOS機→フジのRAWファイルのRAFファイルはDNGファイルに変換してもステライメージ8では非対応と表示され読み込み不可となってしまう。
これには気が付かなかったなぁ。
今迄フジ「X-A1」「X-A5」使用でべイヤー配列機だったからこの問題には気が付かなかった。
フジ「X-T30」入手後は画像処理でRAWファイルから処理する場面が無かったので気が付かなかった問題。
あらら・・・、どうしようかなぁ。
で、考えられる対策は、↓
・X-trans CMOS 搭載機のRAWファイルをべイヤー配列と互換性を持ったDNGファイルに変換してくれる方法はないのか?これによってステライメージ8でRAWを扱えるようになる。
・ダーク減算だけに限定すればX-trans CMOSのRAWファイルを「事後ダーク減算」出来る方法があればそこでダーク減算出来る。
・フラットフレームに関しては露光時間が短いので設定で「長秒時ノイズ低減ON」にしてカメラ内でダーク減算すればよい。
ん~、困った。
誰かX-trans CMOSのRAFファイルの「事後ダーク減算」する方法を知っている方がおられましたら救済お願いいたします。
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今回はこんな感じ。