
またまたCX-5の話題です。
現行のCX-5にはi-ACTIVESENSEというマツダの先進安全技術のパッケージが搭載できます。
ではそのi-ACTIVESENSEとはなんぞやと。
【MAZDA】i-ACTIVSENSE(アイアクティブセンス)|安全技術
i-ACTIVESENSEとは、マツダの各種安全技術を総合したシステムの名前で、車両に搭載したたくさんのセンサーで運転のサポートをするさまざまなシステムから構成されています。
その中に、「LAS (Lane-keep Assist System)」と、「LDWS (Lane Departure Warning System : 車線逸脱警報システム)」というものがあります。
これについて、少々困ったことと、その理由を知る機会があったので、ご紹介。
まず、LAS (Lane-keep Assist System)とは、その名の通り、車線の内側を走行することを支援するシステムの名前です。
これには2種類の動作モードがあり、「ライントレース」モード(設定メニュー上では【アシストタイミング : 早い】)では、車線の中央を走るように、ステアリングのトルク特性が変わります。ここで特徴的なのは、マツダの先進安全技術の考え方の根本である、ドライバー主導のもと、あくまでステアリングのトルクが変わるだけだということ。例えば、車線から外れる方向へはハンドルがが重くなり、車線の中央へ戻る方向へはハンドルが軽くなる、という制御になります。
LASのもう一つのモード、「逸脱回避支援」(設定メニュー上では【アシストタイミング : 遅い】)では、車線を逸脱すると判断したタイミングで、音や振動による警報とともに、ステアリングのトルク調整が行われます。
この警報の部分が「LDWS (Lane-Departure Warning System : 車線逸脱警報システム)」なのです。
最新のi-ACTIVESENSEを搭載した車種では、この警報が、凹凸の施された白線を踏んだ時の、「ブーッ」っという音を模した音(ランブル音)が、左右逸脱しそうな方のスピーカーから鳴り、反射的な回避行動を誘導するなど、工夫がされています。
実際に走行してみると確かに、設定にもよりますが、白線を踏みそうなタイミングで「ブーッ」とかなりリアルな音がします。
思わずステアリングを戻したくなるので、なかなか効果はありそうです。
さて、これらのシステムを使う上で困ったことが何なのかというと、
他のi-ACTIVESENSEの機能、例えば、隣レーンを走行する後続車、または車両後方を横向きに通過する車両をモニタリング、警報してくれる「BSM (Blind Sport Monitoring)、RCTA (Rear Cross Traffic Alert)があるのですが、これらはエンジンをかける(車両の電源を入れる)と自動的にONになり、運転者があえてスイッチを入れなくても動作します。
しかしながら、LAS(とLDWS)は、エンジンをかけるごとに手動でスイッチを押して動作状態にしないと動作しません。
なんだかおかしいと思って取説を読み直してみると、LDWSの項目には、エンジンをかけた時、前回のスイッチの状態を維持していると書いてあります。
実際の動作と異なります。
そしてLASの項目を見て見ると、使用ごとにスイッチをONにする必要があると書いてあります。
...あれ?
LDWSはLASの警報部分の機能、つまり子機能にあたります。
それなのにこの表記はなんだか矛盾しています。
そもそも、LDWSの項目がLASより前にあり、完全に独立しています。
混乱してきました。
...違うシステムなの?
そこで、マツダのお客様センターに問い合わせてみました。
結論から言えば、取説の表記が間違っているとのことです。
LDWSも、エンジンをかけるごとに手動でONにしなければならないのが正解。
それもそのはず、親機能であるLASがそうなっているので。
ではそもそもなぜ、LASが手動起動されなければいけないのでしょうか。
確かに、先進安全装備なのにいちいち手動でONにしなければならないのは、なんだか宝の持ち腐れという印象を受けます。
これにはなるほど、先進装備ゆえの理由がありました。
取説がおかしな表記になっていることとも関係がありますが、マツダはそもそもこのLAS/LDWSを他のシステム同様、自動で起動するようにするつもりだったようです。
しかし、国交省から指摘があり、現在の「手動起動しなければならない」という仕様になったようです。
LASは車線の中央を走行しやすいようにステアリングのトルク制御を、LDWSは車が車線から逸脱しそうになった場合、ハンドルの振動や警告音(どちらか選択)によって運転者に警告するとともに、ステアリングのトルク制御を行います。
自動的に操舵して車線の中央に戻すわけではないのですが、どうやらこれが自動運転がらみの規制に抵触するとみなされたようです。
つまり、まだ自動運転が認可されていないので、運転者が明らかに自分の意図で操作した操舵以外は認められないということだと思うのですが、そんなような理由で、現在の仕様になったようです。
これは推測ですが、自動でONになるようにする仕様でいく気満々で準備を進めていたところ、そんなようなツッコミが入ったので取説の修正が間に合わずにおかしな事になってしまった、ということなんだろうと思います。
ドライバー主導の考え方に基づいて、あえて自動操舵させないようにしているのに、これでもダメとは、先進装備の開発もたいへんですね。
現在取説の修正を進めているとのことですので、いずれは修正されたものが搭載されることでしょう。
ちなみに、販売店でこちらからお願いして自動でONになるように設定変更してもえますか? と聞いてみたところ、できないようです。
うーん。ちょっと残念。
どんな安全装備にも運転者の責任問題はついてまわるようで、もちろん重要なことなのですが、安全装備普及の大きな壁ですね。
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2015/03/09 22:32:36