
新型ラングラーの通称は「JL」。
はたして、どんなラングラーになっているのでしょうか。
車にあまり興味のない人が絶対に見分けられないモデルチェンジの一つでしょう。
ラングラーは私の乗っているJKから、現行はJLにフルモデルチェンジしています。
以前少しだけ試乗をさせてもらったことはあるのですが、今回はじっくりと乗る機会がありましたので、思い出に書き記しておくことにします。
うちのラングラーちゃんは、なんと5年目の車検を受けることになりました。
その間の代車として、担当さんの計らい(営業)で、JL型を借りられることになりました。
JL型の真っ赤なラングラー。最高です。
・グレードごとの違い
今回借りられたグレードは、SPORTの3.6Lエンジンモデル。
この上位グレードに、SAHARAがあり、SPORTは最下位グレードです。
エンジンはこの他に直列4気筒ターボエンジンがあり、そちらのほうが価格は上位です。
私の乗っているJKラングラーでは、SPORTとSAHARAのグレード差は、一番大きいのがレザーシートかどうかで、あとはフェンダーが塗装されているかどうかくらいの些細なものでした。
今世代からはその差はかなり増え、シート以外の目につくところでいくと、ヘッドライト、DRLがLEDかどうか、インフォテイメントシステムの違い(SAHARAのほうが大型ディスプレイになる)、ブラインドスポットモニターなどが装備され、安全装備が向上する、など、大きな違いが生まれました。
・車内のようす
今回のJLラングラーからは、フィアット色が格段に強くなり、内装もとてもにぎやかになりました。
メーター中央には大きな液晶が装備され、ゲージ類もカラフルに。
一見見栄えするようですが、全体的になんだか安っぽい印象を受けるのも確かです。
全体的なレイアウトは先代のJKと似ていますが、パワーウインドウスイッチがかなり下に移動され、少々使いにくい印象。きっと、慣れだと思いますが。
ライトスイッチは欧州車よろしくダッシュパネルに移動されました。
アメリ感はあまり感じられない内装に。
メーター中央のインフォメーションディスプレイの情報量が格段に多くなったのは歓迎されるものですし、特にこの駆動状態を表示する専用のディスプレイは気に入りました。
ジープといえば、ウィンドウ枠に初代ジープが駆け上がっているシルエットがあったり、社内外のいろいろなところにアソビゴコロあふれるちょっとした仕掛けが散りばめられていますが、こんなところにも。
先行するのは、初代ジープ。まさか後ろからアダプティブ・クルーズ・コントロールされる日が来るとは、思ってなかったでしょうね。
今回借りられたSPORTには、SAHARAよりも一回り小さいディスプレイのインフォテイメントシステムが装備されていますが、ケーブルを接続すればちゃんとCarPlayが使えました。
・スペックほか
今回借りたJLラングラーのエンジンは、基本的には私が乗っているJKラングラーと同じ、V6 3.6Lペンタスターエンジン。
ただし、なんとV6エンジンにしてアイドリングストップ機能が搭載されています。
そのアイドリングストップの動作感はどうかと言うと、これは驚きました。
本当にV6エンジンを止めたり回したりしまくるのもそうですが、驚くほど早く始動します。
また、これは正しいのかどうかわかりませんが、セルモーターが回っているときにすでに駆動系までパワーが伝達されている感があって、信号待ちからのスタートが驚くほどスムーズでした。
また、JKラングラーと変わったところの1つに、組み合わされるオートマチックトランスミッションが、8速になりました。
こちらの動作感はどうかというと、正直あまり進化を感じませんでした。
それほどスムーズな制御といえばそうなのかもしれませんが、これほんとに8速?というくらい。
唯一感じたのは、1速のギア比のせいか、スタート時にJKの感覚でアクセルペダルを踏むと、勢いよく飛び出してはじめはびっくりしました。
ただ、変速時のエンジンの回転数を観察していると、いかにもイマドキな感じで、変速後はピタッと回転数が下がる。低燃費には貢献していそうな印象です。
駆動系の話になったので、他に駆動系で変わったところ。
4輪駆動システムが新しくなりました。
JKラングラーでは、2H-4H-4Lの切り替えで、4輪駆動は直結モードのみでした。
今回のJLラングラーは、新たに4H(AUTO)と、4H(PART TIME)に別れ、フルタイム4輪駆道が使えるようになりました。
借り物なので激しいことはできませんが、河原に降りて少しだけ試してみましたが、確かに自動で4輪駆動に切り替わります。
オフィシャルには「自動的に駆動力を配分」とありますが、実際に乗ってみた印象としては、駆動配分がリニアに変わって滑ったときだけサポート、みたいなものとは少し違い、4輪駆動が必要とされる場面でスパッと切り替わるイメージです。
JKラングラーのときは、4Hモードが直結モードのみだったので、例えばスキー場に向かう道中など、雪道になったり舗装路面が出てきたりと言う場面では非常に不都合でした。
4Hのまま舗装路面のヘアピンを曲がろうものなら、駆動系に凄まじい負担と嫌な音が。
そういう場面でも、4H(AUTO)モードは非常に有用でしょう。
・さいだいのしんか
個人的に最大の進化を遂げたところだなと思うのは、最小回転半径。
先代の7.1mもオドロキですが、JLでは6.2mまで小さくなりました。
それでもまだ笑い声が聞こえてきそうな数値ですが、JK乗りからしたら本当に驚きで、だって、その角度から駐車スペースに一発で入ってしまうのですもの、驚くに決まっています。
おそらくこれにともなってステアリングレシオが変更になっているからでしょうが、JKの感覚でステアリングを操作すると、一気に内側に切り込んでいく感覚が新しかったです。
・ドライブしてみて
他に優秀だなと思ったのが、アダプティブ・クルーズ・コントロール。
先行車の補足がとても上手で、見失う率がかなり低いように感じます。
特に驚いたとともに扱いやすく感じたのは、高速道路で先行車に追いついて減速し始めた場面。
先行車に追いついて減速が始まったとき、隣の車線が空いているのを確認してウインカーを出すと、減速が弱まります。
つまり、即座に追い越す体制に移れるので、これはとてもいい感触でした。
しっかり挙動を理解していないと少々ヒヤッとするかなとも思いましたが、自分の車として普段遣いするのであれば、こちらのほうが圧倒的に乗り心地がよいです。
ただし、先行車に完全に追いついて追従走行しているときにはこの挙動はないようでした。
ACC動作中には、センターのディスプレイに、「ACCドライバーオーバーライド中」とか、「まもなくACCがキャンセルされます。ブレーキを踏む準備をしてください。」とか、逐一情報が表示されるのも嬉しかったです。
1日ドライブしてみて。
やっぱりこれはラングラーです。いい意味で変わっていません。
でも、ちゃんと進化しています。
車内の騒音は相変わらずか、むしろそれ以上だし、
車内の振動も相変わらずだし、
シートの座り心地もそんなによくなったわけでもなし。
でもやっぱりそういうところはオフロード走行にやや過剰に振った性格や、車とともにアウトドアを感じる楽しさなんかを表した「ラングラーらしさ」を体現した結果でもあると思うし。
かといって、今の時代に必要とされる安全装備、快適装備はうまいこと組み合わされています。
車内のデザインや、ドアまわりの細かい変更なども、ラングラーらしさを損なわず、でも不便な部分はアップデート、といった具合になかなか考えられている感もあって。
これはJK乗りの意地なのか、羨ましさからくるものなのかもしれませんが、たしかにJLラングラーは進化しました。
でも、なら、すぐJLに乗り換えたいかといわれると、そんな感じはせず。
都合よく解釈すれば、新型ラングラーが、歴代ラングラーをリスペクトした上で進化しているからでしょうか。
そんな雰囲気を感じた試乗といったところ。
歳食ったかなぁ。