前編の続きです。
文字ばかりで申し訳ありませんが(汗)
写真や動画は後から貼らせてもらいます。
とにかくすご~~~く長い話ですがよろしければお付き合いくださいm(._.)m
8/12スティント(残り5時間)
レブを6000rpmに落とし、
しかもサイドブレーキだけで、
38秒台に乗せる???
途方もない課題を与えられ走り始めたロドスタの中で私は考え込みました。
そもそもサイドブレーキってハイスピードでどのくらい効くの?
シフトダウンのタイミングは?
横荷重のかかる最終コーナーでサイドは使えないよね?
ボトムを上げないと無理だからラインはコース幅目一杯使わないと...
不安や疑問はいくらでも湧いてきます。
でも考えてても始まらない。
とにかく極力フロントブレーキを使わずに次のドライバーに繋げなくてはなりません。
写真:JEDIさん

早速最初の3コーナー手前でサイドを引いてみます。
こんな速度域でサイドブレーキなんて初めてです。
どうなってしまうかわからないのでもちろんフットブレーキも併用。
おお~
なんか結構効くかも!?
4コーナーを抜けて5コーナー手前でもう少し強く引いてみます。
引いてる間はシフト操作できないので減速しきってからのシフトダウン。
クルマの挙動に集中していたので、回転合わせ忘れ軽くシフトロック。
でも結構いける?
挙動も案外乱れない??
2~3ラップ続けるうちに直進状態なら力いっぱい引いてもリアはロックしないことを理解。
そして更に数ラップ練習するとすっかり慣れ、ターンイン時の緩め具合もマスター。
次に追突・オーバーランの危険があるとき以外はフットブレーキを封印。
ついに、
最終コーナー以外サイドブレーキのみでイケる!
そう確信しました。
この時点でラップタイムは43~45秒くらいだったでしょうか?
裏ストレートのブレーキングなんか200mも手前から(ちなみに通常は100m)
おんどりゃ~~~~!!!
と(心の中で)叫びながらサイドを渾身の力で引きます(爆)
ようやく操作は解ってきたので、その後は徐々にブレーキングポイントと走行ラインを詰めました。
そんなこんな努力が実りなんとか40秒を切って走れるようになったとき、
目の前に
やりにくい車が現れました。
そのクルマは私に追いつかれたと思うとなぜか急にペースアップ。
立ち上がり重視の私のラインはことごとく潰されます。
何故ブロック走行???
後から聞いたのですが、
ドライバーにピットから
「死んでも抜かれるな」の指令があったとか。
時間が戻せるなら伝えたい。
ピットのポルフリさん!
そんなことしてると、
タイヤ駄目になりますよ!(爆)
結局私がサンライズ号を抜くことはありませんでしたが、
サイドブレーキ頼みのバトルはとにかく異常に神経をすり減らしました。
なにはともあれブレーキもガソリンも温存する形で無事帰還。
おまけにベストは37秒台だったそうで監督にも怒られずに済みました(笑)
でもここでチームのみんなに懺悔しておきます。
コース幅いっぱい使い切ることばかり考えたので...
縁石ガンガンに踏みまくりました!
ゴメンナサイ!!
9/12スティント(残り4時間)
サイドブレーキでいくら悪あがきしてもパッドが殆ど残っていない状況に変わりはありません。
ブレーキに異常を感じたらすぐ戻るように!
そう言われてSuzukingさんは送り出されたのでした。
乗り込む前にサイドブレーキの使い方について細かく教えました。
リスクはあるけど、少しでも役に立てばと思いました。
このあたりからピット内がにわかに騒々しくなります。
パッドはあとどれだけもつのか?
本当の燃料残はどうやって把握する?
レブリミットの見直しは?
写真:かず@Speedbirdさん

そんな中、Suzukingさんは最初のスティントより10秒以上速いラップタイムを黙々と刻んでいました。
後からわかったことですが、
それもサイドブレーキを使いながらの格闘。
1スティント目のマイナスを挽回すべく驚異的な仕事をしてくれていました。
そして見事に時間いっぱい走り切りピットに戻ったのでした。
10/12スティント(残り3時間)
給油の最中にフロントのホイールを覗き込んでみるとパッドはもう本当に全然見えません。
監督からCayさんに出た指令は
レブリミット6000rpmでのブレーキ温存走行
果たしてこのままパッド交換無しで最後まで走り続けられるのか???
それが到底無理なことを、ピットの誰もが自覚していたと思います。
でもひたすら、
そのまま3時間もってしまうことを夢見てCayさんを送り出すのでした。
その後のピットは残り時間のことで大激論。
どうやら次のピットインでのパッド交換は確定です。
でもCayさんのピットインのタイミングによっては、
ラスト2スティント時間制限いっぱい走っても1~3分時間を余してしまいそう。
どうせ3分ストップするくらいなら次も給油して元気に追い上げよう!
いやいや、このまま給油せずに燃費走行で走り切ったほうが!
でも一体何リッター残ってるんだ?
メンバーそれぞれ上位完走への思いが強いだけにバラバラな意見が飛び交いました。
最後にチームが空中分解する勢いでした。
でも、我々はチームです。
メンバーにはそれぞれの役割があります。
だから最後は恨みっこなしで、判断すべき人間に判断してもらうことになりました。
監督の塚ちゃんが出した答えは、
☆次のストップでパッド交換(ジョイさんの超速作業なら3~5分のタイムロス)
☆計算上燃料はまだ25L残っているのでそれを信じ給油無し。
☆正ドライバーではないがクルマを熟知したShibajunさんに乗ってもらい、燃料の許す範囲のタイムで60分ギリギリいっぱい走ってもらう。
☆最後は走ってゴールできるよう、ラストのピットインで場合によって時間調整のストップ。
ピットで切迫した議論が交わされる中、
ピットモニターには何事も無いように好タイムが刻まれていきます。
ついにブレーキに違和感を覚えながらも、
Cayさんは頑張ってくれていました。
11/12スティント(残り2時間)
フロントのパッドはいさじさん率いるメカニックチームが驚異的なスピードで交換。
あっという間にShibajunさんが乗り込みピットアウトしていきました。
もうワークスチームさながらのピットワークです。
動画で緊張感が伝わればと思います。
いつもながらジョイファストさんの仕事には頭が下がります。
ここで外されたパッドを見て一同唖然。
既に一部は無くなりベースが露出しています。
メカさんがつくづく言いました。
こんな状態のブレーキでみんなタイムを落とさず走ってるって本当に凄いことですよ。
この言葉を聞いて、私はもう皆さんへの感謝で胸が詰まりました。
チーム全員の努力で繋いだ襷を最後に受けるのは私。
なんとしてもゴールする。
しかしここでクルマの中のShibajunさんから無情な連絡が入ります。
しば:これ、燃料全然無いよ!60分厳しいかも知れない。
塚:まぢですかwww
でもそこからのShibajunさんの粘りは驚異的でした。
ただでさえ、この時間帯になると周囲のクルマが殺気立ちます。
交換したばかりで当たりのついていないブレーキは全然効かない筈。
そんな中最後まで燃費走行をしつつタイムはしっかりキープ。
最後はガス欠症状と奮闘しながら、一滴残らず使い切る形で走り切ってくれました。
12/12スティント(残り1時間)
運命の最終スティントです。
最後の給油を終えクルマに乗り込んだとき、時間はまだ19時8分でした。
そのまま走ると20時09分のチェッカー前に制限時間60分をオーバーしてしまいます。
止む無くクルマに乗り込んだまま1分ちょっと待機。
ここまで来たら1分のロスをどうこう悩んでも仕方ありません。
クルマの中で待つ間、頭の中でこれまで練ってきた燃費シュミレーションを整理しました。
最終スティントの走行時間はきっちり60分あることが確定。
完全な空からの給油だったのでタンクのガソリン残量は20Lちょうど。
20Lでフルに60分となると現実的には燃費走行、22ラップが限界か。
どうやら燃費メーターは20%くらいの誤差が出ている。
つまり前半30分11ラップをメーター上8Lの消費で走らなくちゃならない。
最初の数ラップはとりあえず様子見のレブ6500rpmで走ってみました。
しかしブレーキが踏めるということが逆に気負いになっていた気がします。
もちろんグラベルは回避しましたが何度もオーバーランして酷い走りでした。
私がもたつく中いつの間にかKoooheiくんが後ろにピタリとつきパッシングの挨拶をくれました。
そのパッシングを境に目が覚めたというか、ようやく走りに集中し始めました。
その後、バックミラーにうつっていたKoooheiくんのライトがみるみる遠ざかりました。
たぶんあっちも燃費と格闘してるんだ。
数ラップ走って、もっとレブを落とさないと到底走り切れないことがわかりました。
6000rpmに落とし、必要な時しか3速を使わないことにしました。
ただ、加速がダメでもタイヤとブレーキが元気なのがありがたかった。
武器になるものは何でも使おうと思いました。
つまり「直線番長」ならぬ
「突っ込み番長」です(笑)
タイムを落とさないためにブレーキはギリギリ奥まで我慢。
ボトムは落とさずに内側の縁石から外側の縁石までコース幅を目一杯使って走行しました。
ちょうど30分くらいが過ぎたころ、印象深い
サンライズ2号車とのバトルが始まりました。
追いついてから暫く追走し抜くチャンスを伺いましたが全くミスをする気配がありません。
ブロックも完璧で、あちらのドライバーさんかなりレース慣れしているのかな?
とにかくミス待ちではダメそうです。
加速は向こうが上、ブレーキングは互角、コーナリングスピードはこっちが上。
何度もラインをクロスさせて出口で抜こうとするのですが、
いかんせんレブ6000rpmでは次のブレーキングまでに鼻を突っ込むことができません。
ここでもたもたするわけにいかない。
ジョイファストの看板を背負ったクルマとして情けないところも見せられない。
前周に、最も車速が落ちる裏ストレート手前のヘアピンのラインが甘いことに気が付きました。
このレース
最初で最後、一発だけの勝負をしようと思いました。
すかさず進入のブレーキングでわざと車間を空けクルマを大きくアウトに振ります。
前車のそれより奥にクリップをとり、ラインをクロスさせる形で躊躇なくべた踏み。
案の定BMのラインは甘い。
まだ旋回を終えていないBMの後ろ姿めがけ、ロドスタは初めて本気の加速をします。
3速7000 ロドスタはBMのトランクすれすれをかすめ裏ストレート・イン側を加速。
4速7000 危険に気付いたBMWもそれまでとは違う加速をしますが2台は既に横一線。
5速下り 並走する2台は一歩も譲ることなくブレーキング合戦に突入。
100m看板付近 渾身の突っ込みは僅かにロドスタが奥。
アウト側のBMは私がオーバーランするのを待つのみ。
トンネルを抜け、数コーナー抜けるとミラーの中のBMはあっけなく離れていきました。
この日初めての7000rpmとガチンコ勝負。
余韻は今も続いています。
因みに今は上海でアップ中(爆)
ここからは最後まで走り切るための格闘でした。
まずレブを5500に落とし4速・5速のみの走行。
それでも無理そうなので更にレブを5000に。
しかしとうとう裏ストレートの立ち上がりでガス欠症状が出ます。
この症状が出ると2ラップ走れないとShibajunさんから聞いていました。
とにかく最も燃費の良い速度で走り続けるしかない。
ギアを5速、速度を80kmに固定し、ストレートエンドはクラッチを切って惰性走行。
明るい場所で時計を確認すると20時07分。
あと2分が途方もなく遠く感じました。
5コーナー、S字、ヘアピン
右コーナーの度にエンジンがもたつきます。
いつまで動いてくれるのか?
再び裏ストレートを下り、
今にも止まりそうな状態で最終コーナーを抜ける。
たのむ!!!
ここで終わってくれ!!!!!!
写真:M.Hさん

ストレートの先に黄色の点滅ライト!
そしてピットウォールにはチームのみんなの喜ぶ姿が! !
夢中でハイビームの合図!! !
総合16位
Fellowsクラス14位
GT-S1クラス4位(ロードスター1位)
チーム全員の思い、サポーター全員の思いを乗せ、
J’sロドスタは無事に12時間09分のFINISHラインを走り抜けました。
