2009年03月28日
電気自動車(EV)その3
3月24日頃から、三菱自動車の株価が妙な上がり方を始めました。日経平均の上げにも関わらず、前日までは115円近辺以下をうろうろしていたのが、突然120円突破。翌日は125円突破、その翌日は130円突破。
まさかMiEV発売が決まったのかなと思っていたら、やはりMiEV発売が7月との発表がありました。それで納得です。いやぁ、インサイダー取引ってのは、あるもんですなぁ。(笑) 関係者は、かなり儲けた事でしょう。おめでとうございます。
たまたま株価の上がるタイミングと、MiEV発表のタイミングが近かっただけなのかも知れませんが。(笑)
企業向けとは言え、いよいよEVの市販が近づいて来ました。これが世の中にどんな影響を与えるのか、産業面の視点から少し考えてみたいと思います。
良い悪いは別にして、自動車産業というのは非常に裾野が広く、影響も大きい分野です。今は内燃機関が大前提の構造になっていますが、もしEV化が急激に進むと、色々な問題が出てくるのではと思っています。もちろん、ニュースにもならないですし、表沙汰にもならないでしょうけど。
まずガソリンスタンド(GS)、ここが致命的に困る気がします。トラック等の産業輸送に関しては、まだまだEV化が進むとは思えないので、この方面にシフトする必要がありますが、店舗数はかなり減ってしまう気がします。
販売店が無くなれば、石油元売会社の収益にも悪影響を与えるでしょう。なんだかんだ言っても、自動車の消費するガソリンは大きな収益源です。また、エンジンオイルが不要となるので、この需要減も収益悪化要因です。DD化が進めば、ミッションオイル(ATF)やデフオイルも不要となり、バイワイヤ化が進めば、PSフルードやブレーキフルードも不要です。
言うまでもありませんが、この減少分は精製~廃油処理の削減に繋がり、環境負荷が減る事になります。しかし、この削減分は電池会社が埋める事になります。(笑) 電池も、製造~破棄で環境負荷が発生する事に違いはありません。どちらが重いかは、勉強不足で分かりませんが。(^_^.)
ただ、リチウムイオンは今のとこ、コバルトとかマンガンと言ったレアメタル系の材料が必要であり、これらはある程度産出国が限られます。結構中つ国なんかが積極外交や投資で押さえはじめている動きもあり、将来的な安定供給にやや不安があります。国家百年の計として、日本の無能な政府や、優秀な商社には頑張って欲しいところ。
車体に関して言えば、シャシもボディも内装も現行の自動車と違いはありません。従って、その辺りに関する大きなインパクトは無いでしょう。
大きな違いが発生するのは、エンジンとミッション(AT)です。どちらも高度な設計能力と、高精度の加工技術が要求されます。使う材料も高価な金属が多いのも特徴です。燃料噴射機構も、高精度なインヂェクタや高機能なECU、数多くのセンサ類があります。
ミッションやATも、本当に複雑かつタフな精密機器です。特にAT、油圧装置の一つの頂点と言っても良いでしょう。
これらが、ごっそり不要となります。(笑) 冷静に考えると、大変な事です。
細かい事書くと本一冊になってしまうので割愛しますが、エンジンやATを量産するというのは、一般の人が想像出来ないくらい大変な事なのです。これほどの精密機器を、安く大量に高品質に作るのは、今まで長年の積み重ねがあったればこそです。
それが無くなったら...。まぁ内燃機関自体が消滅する訳ではないでしょうけど、100年前主流だった蒸気機関は、いまやほとんど見ません。同じ事になってしまうのかも...。個人的には、少々残念です。
その代わりに出てくるのが、モータです。エンジンと比べれば、本当に単純な構造で、量産が始まれば同一出力で考えると、エンジンの数分の一以下のコストになるでしょう。何しろ構造が単純で、銅線巻くだけですから。(笑)
内燃機関は、高校生が一生懸命頑張って、工業高校の工作機を使って数ヶ月掛りで、単気筒10cc程度のものが、かろうじて出来ます。しかしモータなら、身近な材料で小学生でもサクっと作れます。夏休みの工作に最適♪ という事で、圧倒的にモータの方が楽です。私自身が経験してますので、間違いありません。(笑)
エンジンが無くなる影響、特定の企業にとっては深刻な問題です。例えばバルブやピストンリング、オルタネータ、プラグ、プラグコード、デスビ、インジェクタ、ピストン等々、様々な固有部品を作っている業者、実はかなり限られています。その仕事がごっそり無くなるのです。デンソーやNGK等は、担当部署が無くなる程度で済むかも知れませんが、専業に近いメーカの場合は、死活問題になるかも知れません。もっとも、まだまだ先の事ですから、経営者は既に対策を考え始めていると思いますが...。
他にも沢山あるのですが、長くなってきたので取りあえずこの辺で。
はた迷惑な金融危機を引き起こした米国の親分選びでは、「チェンジ」という単語が流行りましたが、EVが主流になる時、チェンジ出来ない会社は淘汰されるかもしれません。強い者が生き残るのではなく、変化出来る者が生き残るというのは、含蓄のある言葉だと思います。
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電気自動車(EV) | 日記
Posted at
2009/03/28 01:20:27
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