M.D A太郎のブログ一覧

　最近は、TVやネットニュースでEV（電気自動車の）の事をよく目にするようになって来ました。みんカラの親分である

carview.co.jpでも、今丁度EVの特集やってますし。


　モータの知識のある人や、RC（電動機やインセイン、ドラッグ等）やってる人ならば、電動の出力の凄まじさを理解出来ると思いますが、一般の人の認識は、「モータで車がまともに動くの？」といった感じでは無いでしょうか。何せ音も静かですから、大出力でも迫力無いですし。(^^ゞ

　
　そんな訳で、少しEVの可能性について、何回かに分けて書いてみたいと思います。


　内燃機関ですが、技術的にみると恐ろしく効率が悪く、多少の違いはあってもガソリンで25%、ディーゼルで30%前後です。以降ガソリン車を基準としますが、何と75%はロスなのです。アリエネェェ！　つまり、皆さんが入れる燃料の75%は捨てているのと同じです。しかしモータの効率は、普通に80%を超えます。上手くすれば90%以上！

　もうこの時点で、ケンカにもなりません。しかも、構造は簡単ですからコストも安く、稼動部分は軸受けだけなので、過負荷にでもしない限り故障もありません。オイルやプラグ交換もいらないし、タペット調整や圧縮抜けなんてのも無縁です。一言で言えば、メンテフリー♪　効率も高いので発熱も少ないから、冷却装置は小型化出来ますし、音が静かで振動もほとんど無いので、防音防振対策もコスト削減出来ます。

　アイドリングとう概念が無いので、停車中は電気を消費しません。マフラーとかも不要です。はっきり言うと、エンジンに対して劣っているところは無いのです。

　内燃機関とは違うのだよ、内燃機関とはぁぁぁっ！

　では何故、今まで日の目を見なかったか。一言で言えば、バッテリの性能が低過ぎたのです。今まで書いたのは、あくまでもモータ単体の話。エンジンはエンジンの他に補機類や燃料系が無ければ動かない様に、モータも制御装置やバッテリが無ければ動きません。で、致命的にバッテリの性能が低過ぎました。電池のエネルギ密度が低過ぎるため、航続距離が短過ぎたのです。

　10年ちょっと前まで、実用的に利用できる二次電池はニッカドと鉛蓄電池位でした。ニッケル水素も出てきましたが、性能としてはニッカドに毛が生えた程度です。瞬間的なパワーは出せても、容量が少ないためすぐに空になってしまうのです。
　
　しかし、リチリウムイオン（リチリウムポリマー）が出てきて、様相が一変しました。面倒な話を省いて簡単に言うと、それまでの電池の倍の性能です。同じ電圧＆容量ならば、重量も体積も半分になったのです！

　しかし、正直言うとこれでもまだ足りません。今、もっとも市販に近いと言われている三菱のMiEV。航続距離は160Kmと言われてますが、エアコンを使ったり夜間走行すると、モータ以外にも電気が必要となり、100Km程度まで落ちると言われています。通常の車が400Km程度は走れる事を考えると、あと4倍はバッテリ性能の向上が必要でしょう。

　まだ問題があります。バッテリには充電が必要ですが、これは化学反応ですから、それなりに時間がかかります。一般の二次電池は、通常10時間以上かけて充電するのが普通です。これではとても間に合いませんから、大電流で一気に急速充電を行いますが、それでも1時間。これはリチウムイオンも同じです。いや、むしろニッカド等であれば15分位で無理やり充電も出来ますから、リチウムイオンの方が不利です。しかも電池の特性上、充電後期になると電流値を上げる事が出来ないため、80%以上の充電は遅くなるのです。この辺りは、今後の技術開発で解決するでしょうが．．．。


　ざっくりまとめると、モータは内燃機関より多大なメリットがありますが、バッテリ性能がネックで今まで実用的なEVは作れませんでした。しかし、リチウムイオンバッテリの登場により、条件付ながら実用の可能性が出てきたのです。