2009年03月15日
良く勘違いされる事もありますが、プリウスやインサイトは、EV(電気自動車)ではありません。HEVと言われ、モータとエンジンを搭載するハイブリッド(以下HEV)というカテゴリになります。EVはエンジンを搭載せず、モータだけで走ります。
シリーズだパラレルだと、方式も色々ありますが、あまり気にしなくても構いません。エンジンとモータ搭載してれば、HEVです。(笑)
プリウスもインサイトも、非常に素晴らしい車です。設計者の意地と生産部門の誇り、メーカの心意気を感じる車です。特にインサイト、あの価格には初代プリウス以上に驚きました。ガソリン車より圧倒的にコストの高いHEVなのに、通常ガソリン車とほぼ同等価格での発売は、本当に凄いことだと思います。関係者の努力は、想像に難くありません。
しかし、技術的視点で見ると、HEVは苦肉の策です。わざわざエンジンとモータを搭載し、その両方を制御するのは、コストも手間も掛かりナンセンス。メーカとしても、そんな事は十分に分かっているのですが、今はバッテリ性能が十分で無いため、普通の航続距離を確保するにはこれしか手段がありません。
さて、実用間近と言われるEVを見てみると、現時点では三菱のMiEVが最も完成度が高いと思われます。航続距離は実用で約100Km前後でしょう。ここに、軽をベースに選んだしたたかな戦略が見えます。軽の一般的用途は、家庭のセカンドカー。街乗りや買い物がメインで、1日の走行距離はせいぜい数十Kmという統計がある様です。つまり、軽というカテゴリであれば、今のバッテリ性能でも何とか実用的な航続距離を達成出来るのです。
しかも、EVはチョイ乗りに絶大な力を発揮します。例えば片道5分の買い物。ガソリンエンジンには非常に酷な状態で、いわゆるシビアコンディションと言われます。燃費は上がらず、オイルはガソリンで希釈され、マフラーは水滴で錆びて早々に穴開きます。もう悪い事ばかり。(^_^.)
でもEVなら、一切そんな事ありません。車に詳しい人ならば、即納得出来る大きなメリットです。
車両コストも、現在はバッテリが非常に高価なためにコストダウンが難しいのですが、普及すればガソリン車より相当安くなる可能性があります。
まず、エンジンとモータを比較すると、圧倒的にモータの方が簡単で量産が楽です。部品点数は、1/10位になるかも。しかも、シリンダやピストン、クランク、コンロッド、バルブ等々、高精度な切削研磨加工が必要なエンジンに対し、モータは基本的にコイルを巻くだけ。(笑) もちろん、細かい技術的な話をするとエアギャップを目一杯狭めたり、コイルを各極同長に巻いたり、色々難しい事はあるのですが、基本的な話をすればエンジンよりはずっと低コストで製造出来ます。
補機類を考えると、まず吸排気系が一切不要です。エアクリもマフラーもいりません。はい、コストダウン。セルやデスビ、コイルも不要。インジェクションは、モータの制御やバッテリ充電管理に置き換わります。当初は、多少コストアップ要因でしょう。しかし、ビグザム量産の暁には、連邦など蹴散らして、いや、EV量産の暁には、倍倍ゲームでコストダウンと小型軽量化が進むでしょう。IGBTと言う良い素子もありますし。
燃料系統は、そのままバッテリに置き換わりますが、死ぬほどコスト高なのが、今の最大の課題...。
効率は内燃機関の比で無いとは言え、使う電力も半端では無いので冷却は必要です。当面ラジエータは必要でしょうが、相当小型化できます。MiEV程度なら、250ccのバイク用で十分な気がします。効率で95%超えてくれば、空冷でいけるかも?
ミッションも、MiEVはセレクタレバー付いてますが、中身はATというより減速&デフ機構です。当然変速機構やコンバータはありません。電車に変速機は無いですもんね。相当コストダウンに効きます。インホイルモータが実用化出来れば、その減速機構すらも不要になります。
こうしてみると、いかにHEVが無駄の塊かが分かります。何しろ、エンジン/電動の両方の機能が必要なのですから...。(^_^.) でも今は、仕方ありません。
EVのコスト的メリットをざっとまとめると、モータはエンジンより構造が簡単で作りやすく、吸排気や点火系が丸ごと不要となり、T/Mも不要になる可能性が高く、車両コストはかなり下がる可能性があります。
でも、バッテリ性能が向上しなければ、どうにもならないんですよねぇ。(笑)
実験室レベルでは相当な物が出来てるなんて話も聞きますので、何がしかのブレークスルーがある事を、期待するしかありません。
Posted at 2009/03/15 22:12:36 | |
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電気自動車(EV) | 日記