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2009年06月07日 イイね!

i-MiEV発表(バッテリの考察)

 当たり前ですが、EVの特徴はバッテリを搭載して、モータ駆動で動く事です。そして、一番のネックもバッテリ性能及び価格にあります。という事で、このバッテリについて少々考察してみます。

 公表されているMiEVのバッテリ情報は、

・リチウムイオン
・3.7V
・50Ah
・88個

 という事です。このバッテリを直列接続し、約330V(325.6V)50Ahのバッテリをとして使用します。エネルギ総量は、16280Whとなります。

 ここで注目して欲しいのは、50Ahというバッテリ容量です。電圧はともかく、容量自体は一般の自動車に搭載されているバッテリと、ほとんど変わりません。皆さんご存知の様に、車のバッテリなんて、セルモータを数分回すのが精一杯の容量です。そんな少ない容量で、MiEVを160Kmも走らせる事が出来るとは、不思議だとは思いませんか?


 その秘密は電圧にあります。例えばセルの消費電流を100Aと仮定した場合、必要な電力(エネルギ)は1200Wとなります。あれっ? これってドライヤと同じ位ですね。これは電圧のせいです。自動車バッテリの電圧は12Vですが、ドライヤは100Vであり、電圧が高い分、電流は低くて済むのです。

 しかも、電気の性質として電流が低ければ、配線の太さも細くて済みますし、その分重量やスペースも節約出来、コストも下がります。つまり、電圧は高ければ高いほど良いのです。とは言え、無闇に高くすると今度は別の意味で制御や安全性の確保が難しくなるりますが。(^_^.)

 そんな訳で、330V辺りに設定したのでしょう。以前、某HMX-12を本当に作ると仮定して、友人と色々シミュレーションした事があります。(笑) 電源はどの程度のものが必要かを試算したら、1日3回充電(8時間稼動)とした場合、約1200V程度必要でした。体温を持たせるというのは、本当に電気食うのです。

 ちょっと話がそれました。(^_^.)


 さてさて、バッテリ容量が50Ahとは言え、本当に50Ahを使い切れる訳ではありません。リチウムイオンはニッカドやニッケル水素と比較して虚弱体質なので、容量全てを出し切ると死にます。そこで最低でも20%程度は残す必要があります。とすると、実際に使える容量は40Ah...。たったこれだけの容量で、車を160Kmも走らせる事が出来るとは、ちょっと信じられません。実に見事です。

 MiEVは通常の12Vバッテリも搭載していますが、電装品動作はメインのリチウムイオンで行っているはずです。例えばヘッドライトを12Vで35Wと仮定した場合、必要電流は約2.9A。当然330Vを直接印加するはずないので、DC-DCコンバータを介して電力供給しているはずですが、ロスをゼロと仮定すると、実際にバッテリから取り出される電流は約0.1Aとなります。まさに高電圧の賜物。


 充電を考えると、夜間温水器等を設置していない家庭では100V10A(1000W)で16時間必要であり、何かと不便を感じる事になりそうです。ただし200Vならば半分の時間(8時間)で済むので、一般用途ならばそれ程問題にならないでしょう。むしろ問題は長期保管です。

 リチイムイオン電池はその性質上、満充電および過放電に非常に弱い。つまり、満充電して長期間(半年とか1年等)放置というのは、バッテリにとって悪い影響を及ぼす可能性があるのです。無論この辺りは、自動車用として色々テスト済みであるとは思いますが...。

 もう一つ怖いのが過放電。例えば充電が必要になるまで走った後に長期間放置すると、バッテリの自然放電により過放電状態になる可能性があります。最悪の場合は、バッテリ様ご臨終となる可能性もゼロでは無いため、制御装置にてそれなりに容量を残した状態で放電終了とするはずですが、メーカ想定以上の長期放置をした場合は、やばい可能性も否定出来ません。



 MiEVのモータは47KWですが、駆動電圧や電流は公表されていないので詳細が分かりません。そこで昇圧無しの330Vと仮定した場合、全力時(≒ゼロ発進時)の電流は142Aですから、バッテリは20分持ちません。(笑)

#ゴリゴリとゲージが下がります。(^_^.)

 しかし、常に全力加速する訳では無いですし、モータの特性として、低負荷定回転時の消費電流は相当低くなりますし、減速時は回生と言って、モータを発電機として使用する事でバッテリに充電出来ます。つまり加速時に使用したエネルギは多少なりとも減速時に取り戻す事が出来るのです。もっと簡単に言うと、山を登った時に使った電力は、下りである程度回収が出来ます。

 こう考えると、MiEVで航続距離を延ばす秘訣は、加速時に無用な電力を使用せず、極力速度一定の巡航状態を長く保ち、回生を十分に効かせるという事に尽きそうです。何の事はありません。回生を除けば、ガソリン車のエコランとほぼ同じです。(笑)


 ざっとまとめると、50Ahという容量は少ないですが、高電圧でそれをカバーしています。実際使える容量は40Ah程度であり、最大出力を発揮させると20分以下で空になりますが、一般的使用ならばモータの特性及び回生の機能により、それ程問題にならないでしょう。




Posted at 2009/06/07 02:56:57 | コメント(0) | トラックバック(0) | 電気自動車(EV) | 日記

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 昭和50年代の車を、長年に渡り大切に乗り続けて来ましたが、諸般の事情で車検継続を一時中断し、08年10月から冬眠中させてます。  一時期車検1年半付きコ...
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