「チューニングの伸びしろ確認のために純正の実力を把握する」目的で、初めだけノーマルでサーキットを走るという人は結構いるかと思います。でも「ノーマルのままずっとサーキットを走り続ける」という人はそうそういないでしょう。
そんな身近にいるワークス乗りが不思議に思われるとのことで、
ヘンタイ、メタルスライム的な、色違いポケモン的な、マイノリティな考えを今年ももうすぐ終わるので2019年最後に追ってみたいと思います。
●サーキットを走る目的
そもそもなんでサーキットを走るかと尋ねると、一般公道レベルでは到底不可能な「連続全開走行」が出来るからだとか。車の限界まで使って走る行為は楽しいし、タイムと言う目に見える形でドライビングスキルを上達させる過程もまた楽しい。その大前提を元に理由を掘り下げてみます。
●ノーマルで走り続ける理由
①ノーマルで事が足りてしまう
車の出来が良ければミニサーキットくらいならノーマルでも全然走れます。なのでチューニングしなくても上述の目的は達成出来てしまう。重量級の車はパッドくらいは交換しないとだし、ひたすら走り続ける猿走りをせずクーリングをしっかり取ると言った多少の制約はありますけどね。
②めんどくさがりな性格
チューニングをして速くなれば車に掛かる負荷も大きくなるので当然メンテナンスやオーバーホール、パーツ交換の頻度も増えます。社外品が10年10万km持つ耐久性の設計や評価をしてるとも思えないですしね。
過剰にグリップが上がり続ける最新のスポーツタイヤは車に掛かるストレスも比例して上がるようで、チューニングの度合いによってはドラシャやハブがイッたとかパーツ破損の事例もザラ。そんなトラブルもまあ面倒クサイ。
車イジリが好きな人なら苦じゃないんでしょうけど…当人はイヤらしい。
③貧乏性
「車高調だけ」とか「マフラーだけ」とか1,2点のチューニングに留める人は少ないと思います。せっかくチューニングするなら車全体トータルでコーディネートしたいですよね。車高調入れたらそれに見合うハイグリップタイヤとホイールが、そしたら次はLSDが欲しくなる。吸気系を換えたら排気系も換えたくなるし、そしたらECUもイジリたくなる。車が速くなれば熱負荷も上がるので冷却系も…と言った具合に、1つ倒れたドミノは途中で止められないんですよ!
チューニングはそれらイニシャルコストだけじゃなく上述②の通りメンテナンス等のランニングコストも上がるので、生涯コストに換算したら100万はゆうに超えるでしょう。それなら初めから1ランク速い車を買っても良いのでは…とめんどくさがりで貧乏性は思うワケです。
趣味が生活を圧迫したら本末転倒。長く続かなくなります。これだ!と一生乗りたいと思える1台に巡り合えた人なら別ですが、形あるものはいつか壊れてなくなる「所詮車は工業製品」と思う派みたいです。
④タイムアップするなら車(お金)ではなくドラテクで
チューニングすればサーキットでの楽しさが増すのは分かってる様です。エンジンの吹けや加速を良くしたり、ハンドリングやコーナリングスピードを上げれば刺激度アップで絶対楽しい。セッティングとタイムの相関を取ったりする過程もまた楽しいでしょう。見た目や雰囲気も大事でワクワク感も増しますしね。
でもタイムアップとは目的を分けるべきだと。本人のドライビングスキルじゃなくてあくまで車が速くなったからで「〇〇秒出た!」とか「〇〇秒タイムアップ!」とか当たり前。
速い車を乗りこなす=自身のドライビングスキルが高まる、と言う考えもあるでしょう。でも車なのかドライバーの実力なのか誰にも正確な切り分けは出来ない。タイムアップもただ車に人が慣れただけでスキルが上がった訳じゃないかも知れない。そしてチューニング度合いが高くなるほどその真相は闇の中。
それなら「ノーマルと言う絶対的基準」に近い状態をキープして自分のスキルアップを分かり易くするのも考えとしてはアリかと。チューニングする人たちの伸びしろの参考にもなれるかも知れない。
⑤メカニカルグリップを上げる事だけがスポーツじゃない
純正はノーマルのエンジンパワーでも相対的にサスやタイヤグリップが劣るので比較的簡単に限界を引き出して走れます。サスやタイヤを換えてグリップを上げた場合、それに見合う分だけパワーも引き上げないと限界を引き出せる量は確実に減ります。
グリップに余裕があってハンドルを切った方向にただ曲がるだけより、グリップ限界を高めるようにちゃんと荷重移動させてラインを狙って…の方がスポーツと言えないでしょうか。今のは極論ですがその割合がグリップを上げるほど減ってくイメージ。そして純正はそのバランスが絶妙に丁度良い。
普段の使い勝手と耐久性をリーズナブルに確保したうえで、メーカーのプロドライバーが走行性能を高いレベルでセッティングしたいわば職人が作る至高の料理みたいなもの。多少の味付けは好みで変えるにしても基本はしっかり残して味わい尽くしたい。
⑥手軽さ、気軽さの維持
チューニングやサーキット走行等に限らず何でもそうですが、楽しい内は良いのですがストイックに目が三角になると段々しんどくなります。車やサーキットから去る人、燃え尽き症候群になる人の大抵の理由はコレです。勝つことを目的にした競技なら別ですが、趣味ですもん、手軽さ、気軽さが大事。ちょっと気が抜けてる位が長く続けるにはちょいどいい。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」何事も度が過ぎると何もしてないのと同じくらいダメになる=その趣味を失う、と言う事です。人の振り見て~じゃないですがノーマル維持は長く趣味を続けるためでもある訳です。
Posted at 2019/12/21 09:30:15 | |
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