
Ⅲ型NAを失い、新たにⅤ型NAが納車されてから、10日…・…
気分的には、Ⅴ型がやって来てから、もう一ヶ月以上が経った気もしますが、まだ半月も経っていませんでした。
Ⅲ型からのパーツの移植も進み、操作性も少しずつ、“Ⅲ”型のフィーリングに似通って参りました。
メンテナンスノートを読んでると、このⅤ型。始めに主を得たのは香川県だそうで、『トヨタオート香川』のステッカーも貼ってあります。
その後、ディーラー車として、大阪は寝屋川の女性オーナーさんに引き取られたそうで、それから先は不明ですが、どういう経路か愛知県は豊田市に『お里帰り』していた所を霧島が引き取って、今は奈良・京都で走り続けることになっています。
霧島で、少なくとも4人目のオーナーになりますね。走行距離を考えると、どのオーナーさんも3万km程度乗った所で手放してる感じですが、それが不思議なぐらいにこのⅤ型。よくよく走ってくれます。
このⅤ型を購入した車屋さんは、
『このクルマはホント、よく走る』
『NAなのに、5速100km/hからでも、どんどん加速出来る。1X0km/hなんてあっという間』
『このエンジンなら、ターボなんて要らない』
『高速を走っていても、全然フロントがリフトしない、1X0km/hでも、余裕で片手運転出来る』
なんてことを言ってましたし、実際に街乗りしてても、『恐らく本当だろうなぁ』というぐらいのピックアップの良さはチラホラ見え隠れしておりました。
で、霧島も。Ⅴ型に乗る内に、その触れ込みが本当であったことが、この10日間でつくづく身に沁みて参りました。
テストコースともなったのは、
柳生~布目の、中高速ワンディング。
阪奈道路の、ロングストレートから低速ヘアピン+S字切り返しの続く、急な登りコース。
京名和道、郡山南~橿原北の無料開放区間。横風が非常に強い、7kmに及ぶ超ロングストレート。
名阪国道“Ωカーブ”の、急勾配・超高速コーナーの連続……
いずれも、Ⅲ型と共に、何度も何度も走ったコースでございます。
そして結果、Ⅲ型NAとⅤ型NA。果たしてどれだけ違うものか、と言うのも見えて来た……て言うか、恐ろしいぐらいにⅤ型NA、良すぎです……
まず、トルクの良さ。もう、2000回転からの加速が全然違います……。
布目ダム付近の上り(事故った所だ……)の坂道でも、2速でないと辛かった急勾配が、3速でスイスイ登れますし、街乗りでも、Ⅲ型だと、3速でしか走れなかった登り坂が、普通に4速で登れます……。
トルク自体は、確か2~3kg/m上がっただけだったと思うのですが、やはり可変吸気システムのおかげか、瞬間瞬間のトルクの出方というかが、全然違いますね……
上り坂以外でも、京名和自動車道の無料開放区間。最高速トライも行われていると言う場所に持ち込んで見ましたが……いや、凄いですよ、本当に。
高速(実はまだ高速扱いじゃないけど)に乗った瞬間の、スピードの乗りが段違いです。+20kmぐらい平気で出ます。しかも、何の苦もなくストレスも無く、です。
100km/hなんてあっと言う間です。つうか、スピードメーターの上昇の速度がⅢ型NAとは比べ物になりません。
5速100km/hからでも、いくらでも加速出来ます。あまりに加速するもんだから、本当に5速で走っているのか確認してしまいました……
高速時の安定性も、凄いぐらいです。車屋さんが言う、『高速を走っていても、全然フロントがリフトしない、1X0km/hでも、余裕で片手運転出来る』が、誇張では無いのは確かでした。ちなみにⅢ型だと、この速度でピッチングが出てきて、どうしても不安定感があったのですよね……。
Ⅴ型のみに装着された、前輪への空気の巻き込みを防ぐストーンディフレクターのおかげか。テインの車高調と、前傾気味にセットされた車高のおかげかはわかりません。
まぁ、どうしても、『上の上』まで来るとピッチングが出て来ましたけど、リミッターをカットして、きっちりバランスをとってやれば、200km/hとかで余裕で巡航出来るしょうね……
横風安定性も、とても良く。いつもなら絶対に流されてハンドルを取られる場面があったのに、そんなことは全くありませんでした……てか、京名和が横風が強い道であることを、完全に忘れてしまってました。Ⅴ型の大型可変ウィングも、案外、見せかけだけでは無いのかもです。
でも正直。あまりの加速性能と、走行安定性から、『自分が乗っているのは80型スープラのNAでは無いのか!?』と、本気でSW20なのかどうか疑ったぐらいですよ……
つうか、80スープラは、300km/hで、片手&手放し運転出来たって開発者の方が言ってましたね……。リアヘビーのMRでもこれだけの走行安定性が実現出来るのに、フロントヘビーのFRなら、どれだけ安定した走りが出来るんでしょう……?
どうしてもⅢ型は高速時、フロントリフトの感が否めず、サードかダイエーモータースあたりのリップスポイラーを付けたら良くなるかな~、なんてのも思ってましたけど、全然必要性を感じません。もしアレに社外リップ&ボーダーのエアスクープボンネットなんて点けたら、どうなるんでしょう?
……まぁ、MR2って、Ⅰ型の時からフロントは空力的にマイナスリフトって、セールスマニュアルに書いてましたけどね(汗)
峠道に持ち込んでも、40km/hでの低速ヘアピンからの立ち上がりも違うのなんの。
どうしてもかったるかった、阪奈上りの第二ヘアピンからの立ち上がり。スッと加速してくれますし、直後にシフトアップしても、Ⅲ型であった『ガクン!』という回転の落ち込みによるショックが全くありません……
Ⅴ型は確か、フライホイールも軽量化されてるハズですが、シフトアップ時のトルク不足は全然感じません。
ついでに、ヘアピンに少しばかり突っ込み過ぎてしまって、減速&慌てて切り増ししても、何事も無かったかのようにクルッと素晴らしい回頭性を見せてくれます……
正直、あらゆる面での加速力の『そっけなさ』に、拍子抜けしてしまいますね……
でも、LSDは……入ってはなさそうだなぁ……。つうか、3人もオーナーさんいたなら、誰か付けてくれててもよかっただろうに(笑)
純正のヘリカルでもいいから『実は入ってた』とかないかなぁ(爆)
そしてまた、エンジン音も。2000回転付近からイイ音がするのなんの……。『グォオオオッ!』と言うか、『ゴガァァアアッ!』と言うか。くぐもりつつも乾いた、もの凄い独特の音が出て来ます……
ひょっとしたらコレが吸気音かなぁとも思うのですが、どうなんでしょうね……。昔、Ⅴ型NAのインプレッションで、『Ⅴ型NAは、キャブレターの吸気音に似た音が出る』と言ってましたが、もしかしてそれがコレかもしれません。ベストモータリングのⅤ型NAも、こんな音してましたし。
まぁ、マフラー換えたことによる音かもしれませんけどね~。
ただ、エンジンの回り方、吹け上がり方は、本当に良いです。
VTECやロータリーとも違う。完成されたレシプロエンジンならではの、クセの無いフィーリング。て言うか、普通のレシプロでもここまで回るのかとオドロキです。トルク、馬力の上昇が、本当に滑らかなのですよね……
つうか、10万km走ってこの調子の良さ……。新車当時のⅤ型NAってどんだけ速かったんでしょう!?
そういや昔のベストモータリングにて。筑波サーキットで、土屋圭一のⅤ型NAが、黒沢元治のDC2型インテグラタイプRをコーナーで煽りたててましたね~。しかし、なぜか直線では1.8のFFであるインテRに引き離される不思議……色々と間違ってますわ(笑)
前のⅢ型のチューン用として、NGKのプラグコードとか、TRDのスタビライザーとか、色々と確保してあって、それをⅤ型に入れようかと思ってたんですけど、正直、今の性能に全くもって不満が無いのですよ……
てか。Ⅲ型から外したTRDのリアタワーバー。まだホッタラカシにしてあるこのパーツですら、装着する必要性&装着しようと言う気が、全く起きて来ないのですよ……
もう、強化パーツとか。全部売り飛ばして、ローンの代金を回収してやりましょうか(笑)
ただ一つ。あまりにもエンジンが回り過ぎるので、逆にそれがアダになる場面もありました。
例えば中高速のワインディングなんかを走ってると、Ⅲ型NAだと、エンジンの吹け上がりに程良い抵抗があったので、うまいことそれで加減速のバランスがとれて、ガンガン踏んでいけたのですよね……。
それがⅤ型NAだと、スルスルと回り過ぎて、逆にチョビッとしかアクセルを開けられず、気が付いたら全然スピードが出て無かったりします……。今日とかそれで、名阪国道でなんと“農道のポルシェ”ことサンバーにぶっちぎられましたよ(爆)
Ⅴ型NAは、どっちかって言うとグランドツーリング指向のクルマです。
でも、アベレージ80km/hでワインディングを楽しむなら、Ⅳ型までの方がピッタリとハマると思いますね!
昔、Ⅲ型が出た時も、Ⅱ型とⅢ型を乗り比べたインプレッションで、『確かにⅢ型の方がサーキットでもワインディングでも速いけれども、Ⅱ型の方がワンディングでは乗りやすし楽しい』、みたいなことを言われてた記憶がございます。
速いことが楽しさに繋がるとは、必ずしも限らないのしょうね……て言うか、それこそがトヨタのMR2が本来目指した所であり、だからこそMR2はMR-Sへとその姿を変えたワケなのですよね……
Ⅴ型NA。みんな欲しがりますし、霧島もそうでした。でも、一番初めにⅤ型NAに乗らん方が良いです。他の古い型に乗れなくなります。それはとてももったいないことです、ハイ。
……まあ、MR2自体、一番初めに乗っちゃダメ! という話もよく聞きますが(笑)
正直、まだまだ事故による『怖さ』が残っていて、あまりアクセル踏めません。ワインディングとか走っていても、マイナス20km/hの速度でも恐ろしくてしょうがありませんよ……
……でもいつかは。
スポーツカーとして生まれて来たこのクルマに、最高のパフォーマンスを発揮させてやりたい――
それが。そしてそれだけが。自分がこのクルマにしてやれる、せめてもの恩返しなのだと、そう思います。
Ⅲ型には、結局、その境地を味わせて上げることが出来ませんでした。
今度こそ。今度こそは……いつの日か、必ず――