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2012年02月06日

「スープラの系譜」 第07回 ~SPORTS OF TOYOYA~

「スープラの系譜」 第07回 ~SPORTS OF TOYOYA~ 1986年に登場したA70型スープラ。

最後のマイナーチェンジにあたり、70型スープラの開発主査の役目は、都築功に引き継がれることとなった。

都築は愛知県刈谷市出身、名古屋大学大学院修士課程修了、専門は空力学。トヨタでは、トランスミッションの設計部に所属。初代セリカ開発時、後に日本初ガルウィング=セラの開発主査となる金子幹雄と共に、日本初の5速マニュアルトランスミッションを設計する。

 日本初のミッドシップ車である初代MR2の駆動系開発も担当した他、MR2のラリーカー「222D」の開発責任者も務めていた。最後の70型マイチェンにて都築は、排気量を落としながらも、国産最小排気量での最強馬力である2500cc・280psを達成。「JZA70」を世に送り出すことになる。

 最後の70型の開発をの傍で、都築は次期スープラの開発に取り掛かることになる――

~主査構想~

 手塩にかけたグループ B仕様MR2=222Dの開発中止によってクサっていたという都築は、その悔しさをスープラにぶつけることになる。次期スープラの開発は、現行の70型の改良と並行して「主査構想」と呼ばれるコンセプト作りから始まった。

『3Lターボで最高出力は300ps。最高速度は300km/h。重厚長大ではない、できるだけシンプルなメカニズム。安全性を高める為にハイテクを惜しみなく投入し、快適性も犠牲にしないこと。そして動力性能・運動性能はもちろん、燃費・安全性などの全てにおいてナンバー1を狙う』

 主査構想は、実に20ページ以上の大ボリュームにも及んだという。目指したものは、「スポーツカー」。スポーツカーの条件として、都築は次のようなポイントを挙げている。

・個性的で非凡なスタイルを持っていること
・「走る・曲がる・止まる」、圧倒的な運動性能を持っていること
・抜群の運動性能をカバーする為の高い安全性を持っていること
・省資源性を確保していること
・快適性を確保していること

「苦痛を伴わなくては操縦できないことが、スポーツカーの要件ではない。省資源・省燃費においても、やはり乗る人が罪の意識を感じるのはよくない」

 都築は、初代MR2、2代目MR2、MR2のラリーカー開発に携わっていた。MR2のラリーカー仕様は、トヨタ初のフルタイム4WDシステム(後に日本車初のWRCドライバーズタイトルを獲得するST165型セリカGT-Fourに実装される)のテストベースともなった。これらの中で、都築はスポーツカーの考え方を叩き込まれたという。

 ニュースープラにおいて、スポーツカーの絶対条件として、まずは高い動力性能と高速安定性を与える。さらには、直進安定性とは本来相反する要素である、自在な旋回性能とハンドリング。高い動力性能の代償となるはずの環境性能と快適性をも実現させようというのだ。

 これらの途方もない構想に、社内からも異論と疑問の声が出た。それは、「スポーツカー」であることについてである。「トヨタはスポーツカーを作らない」、これは当時のトヨタ内外における常識と呼べるものであった。

 確かに、スープラの兄弟車であるソアラとの差異化を図るため、スープラ(70・80)においてはスポーティな方向へと振ることが決定されていた。だが、70型はリアルスポーツをコンセプトとしながらも、「あくまでグランドツーリング」と呼称されるにとどまっていた。

 「日本一加速力のあるスポーツカー」をコンセプトとしたSW20型MR2ですら、トヨタはスポーツカーと大々的に呼称することはなく、スペシャリティカーであることを前面に押し出していた。大ヒット車種となったAE86型レビン/トレノ、日本初のMRである初代MR2に至っては「スポーティカー」である。

 ましてや当時は、安全性や燃費の問題などが社会問題となりつつあった頃である。そんな中で、日本自動車界のリーディングカンパニーであるトヨタが、そのような「スポーツカー」を作ることは、果たして許されることなのか――!?

「私としてはスポーツカー。スープラは、フェアレディZやGT-R、GTOなどより後からデビューするのだから、動力性能や運動性能がナンバー1であるのは当然で、燃費でも安全性でもナンバー1。つまり全て100点を狙えば企画がもらえると考えた」

「動力性能・運動性能などの『パフォーマンス』と省資源性・快適性などの『優しさ』は、相反するものではないかと言われたが、技術があれば高いレベルで融合できるのではないかというのが私の考えだ。そう言うクルマをあえてスポーツカーと名付けた。スペシャルティカーではなくてね」


 ……かくして、新型スープラの企画は承認されることになる。「スポーツ・オブ・トヨタ」、スポーツカーを作ることを敢えて避けてきたトヨタが提唱するスポーツカーのあり方。

 「スポーツカーとは何であるのか? スポーツカーとはどういうものであるのか? スポーツカーはどうあるべきか?」。トヨタ2000GT以来、あらゆる自社のクルマをスポーツカーと呼ぶことを許さなかったトヨタ。

 遂に、「スポーツカー」の封印が解かれる時が来たのである……

(第08回に続く……。今回はリハビリ、あんまり長文書く気が起きないや)

参考文献:

省略。第3回までのを参照して下さい。

関連リンク:

「スープラの系譜」 第01回 ~スープラの系譜~
「スープラの系譜」 第02回 ~ソアラとスープラ~
「スープラの系譜」 第03回 ~70型のパッケージング~
「スープラの系譜」 第04回 ~トヨタ2000GT、そしてスープラ~
「スープラの系譜」 第05回 ~“トヨタ3000GT” A70型スープラ誕生~
「スープラの系譜」 第06回 ~「JZA」 70から80へ~

トヨタ博物館 都築功スープラ開発主査講演会!

 ※おまけ



 昨年の2月19日に行われたスープラ発売20周年記念の講演会にて、都築先生と撮って貰った一枚。色々と貴重な話もお聞かせ頂きました。霧島の質問を気に入って下さったのか、何故か肩まで組んで下さった……(汗) えるすさん、シャッターサンクスです。ちなみに都築先生の現在のマイカーはプリウスとのこと。

ブログ一覧 | スープラの系譜 | 日記
Posted at 2012/02/06 12:22:10

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この記事へのコメント

2012年2月6日 17:55
スポーツカーに限らず全ての事は本当に明確な答えは無いでしょう(持論)

まぁそこはメーカーやら開発者の思考とかベクトルの違いで千差万別ですね。

しかし其れを実現にもっていく過程がなによりも大変で偉大なことだと思っておりますです。

コメントへの返答
2012年2月6日 22:10
「スポーツカー」という名称の取り扱いに対して神経質なまでに慎重だったトヨタの考えるスポーツカー像ってのも面白いもんですよ。

ホンダなんかは、どんなクルマでも魔改造を施してスポーツカーに仕上げてしまいますけどね、オデッセイとか(笑)

80スープラで定義されたスポーツカー像は、今でもレクサスLFAや86にもキッチリ継承されてますね~

2012年2月6日 19:15
あれもう一年前か(汗)

スープラでさえスポーツカーを名乗るのにトヨタ自身が苦慮していたことを考えると、ニュー86はトヨタとしては凄く画期的なことなんだな。
社長自らスポーツカーと売り込んでるわけだから。
それだけ今の市場(主に欧米)に危機感を抱いているのかな?
国内はプリウス・アクアとミニバンで事足りてるからね。
コメントへの返答
2012年2月6日 22:31
一年前らしいわぁ……。↓の人のGTOに乗せて貰ったのも懐かしい思い出……

このご時勢にミドルクラスのスポーツカーを投入するとか、正直よくやるわと思うわ……。まぁトヨタは意外と、他のメーカーがやらないことを率先してやってきたメーカーでもあるけどね……

とりあえずアクア人気ありすぎワロタ
2012年2月6日 20:48
そういえば写真撮りましたねw
コメントへの返答
2012年2月6日 22:33
そうそう、あんときはありがとうございました!

ついでに。3月の東方名華祭or東方絢文禄に参戦予定でつw
2012年2月6日 23:05
アクアなぁ。凄いよねアレ。
売れてるって評判のN-BOXの3倍弱受注とか・・・。
しかも結構な値段だしねぇ。込み200弱くらい?
正直装備とか考えるとプリウス買った方がお得な気が・・・。
プリウスSに標準装備のCD・フォグ・サイドエアバッグ・スマートキー・スペアタイヤ・アルミホイールとかアクアSだと全部オプションだし。
これつけたら正直そんなにプリウスと値段変わらん・・・とおもったらプリウスMCで値上げしてたでござるの巻。
まぁディスチャージとかパワーシートとか装備増えてるけど、正直イランもんばっかりな気が・・・(ハロゲンでもクソ明るいから)
初期型だと補助金やらで込み200万くらいだったのになぁ。
5ナンバーでプリウスより燃費がいいってところがミソかね。いやぁトヨタは上手いわ。
コメントへの返答
2012年2月7日 10:33
コンパクトカー+ハイブリッドなんて、まさに最強の組み合わせやからな……

ヴィッツのハイブリッドで満足せず、プリウスの派生ではあるのかもしれんけど、きちんと一つの新しい車種として登場させて、真新しいイメージを持たせるってのは、トヨタならではの商法やなぁ。このあたりはホンダやマツダも見習うべきやな。

つか、ウェブで見積もってみたけどオプション大杉で何がなんだかワカランな……最近のクルマは……

俺みたいなのだと、純正ナビなんてイランし別にアルミホイールとか自分で用意するから、そんなに高くはならんかったけど、新車で一から十まで揃えると、オプションもバカにならんな……

それでもこれは十二分に買いかな。
2012年2月6日 23:44
連投スマソ。
個人的になんであんなに内装を批判されてるのか理解できんわ。
そりゃ高級には見えんけど、コンパクトカーで見たら普通だし斬新さもあって十二分によく出来てると思うんだけど。
ドイツ車っぽいのがいいならスイフト買えばいいし、SFチックなのが良けりゃフィットにすればいい。170万のラクティスGならかなり上質な内装が手にはいるし、素っ気無いのがいいならノートやコルトがある。
既存車種とバッティングを避けつつプリウスとも差別化。うまいと思うんだけどなぁ。
大体エンジンのほかにモーターっつー動力源が付いてるのに同価格帯のガソリン車と比べて内装がどうとか・・・。
まぁそういう風に思う人は選ぶクルマじゃないか。
裏を返せば普通に載る分にはそれくらいしかネガが無いってことか。
コメントへの返答
2012年2月6日 23:53
アクアの内装、実物を見たわけじゃないけど、見た感じ必要十二分だと思うけどねぇ……

あれで安っぽいとか言われたらMR2はどーなる……。

プリウスは、会社の役員クラスの人もよく買ってるクルマではあるが、アクアなんて明らかにそれより収入少ない人らをターゲットにしてるわけで……。

まぁ良くも悪くもソツの無い内装。いかにもトヨタって感じじゃねぇの?

個人的には、リアシートの使い勝手の方が注目すべきポイントと思うわ……それさえクリアすれば何ら文句の付け所は無いかな。まぁどっかで座って確かめてみるわ。
2012年2月7日 0:18
リアシートね。
見た感じは狭そうだけど、
これも色々からくりがあるわな。
初代フィットは足元は凄く広い反面、
シート座面がものすごく狭くて、
30分もまともに座ってられなかった。
現行もマシにはなってるけど・・・。
逆にアクアは座面がでかい。
反面足元は狭そう。天井も。
正直このクラスのリアなんて、
緊急用か子供向けだろうから、
荷物置きやすいようにスペース重視するほうが実用的かも。
そういう意味でフィットは賢いね。
コメントへの返答
2012年2月7日 2:03
あ~なるほどねぇ……

タントとまでは行かないけれど、せめてミラージュアスティぐらいに広かったら言うこと無いんだけどねぇ……

やっぱり大人4人がキチンと乗って移動できるクルマっつったらセダンありきなんだねぇ。

ダイハツなら……ダイハツならなんとかしてくれる……!? まぁヴィッツがダイハツ製みたいなもんだけど(汗)

そのうちトヨタのことだから、アクアとプリウスの中間モデルとか出してきそうだなあ(笑)

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