コストダウンと聞くと,ユーザー的にはどうしてもネガティブなイメージしか浮かばないもの。
目につきにくい所で手を抜いているのでは? などと勘ぐりたくなります。 ではここで,たまには
VWのコストダウン・テクニックについて考察してみようと思Iいます。 (デス・マス調 割愛容赦)
VWはご存知のとおり,現在の規模になるまでに,企業統合という手段で販売台数を増やしてきた。
過去には 2002年にAudi,直近では2009年にポルシェなどが記憶に新しい。 更に言えば1991年に
シュコダ(チェコ),1993年にセアト(スペイン),1998年にベントレー(英)とブガッティ(フランス),
1999年にランボルギーニ(イタリア)といった著名メーカーを順次傘下に収めてきた多国籍企業だ。
そして,VWは見た目がまるで異なる傘下の各車種のプラットホーム共用化を推進したのである。
目的は生産性向上と量産効果による収益向上。 一例がAudi TTとGolf のプラットホームは共通。
2003年以降,真剣にコストダウンに取り組み,2005年には4340億円のコスト削減を達成している。
その後も3年間で約 1兆 4000 億円のコスト削減シナリオを遂行しており,人件費の高いドイツ本国
での設備投資を抑えてポーランド等へ工場を増強。 こうして現在の如く成り上がったのである。
目標はズバり,打倒 トヨタだったそうな。 もう実現してしまったようだが。(笑)
そのコストダウンの牽引役となったのは言うまでも無く,Golf のプラットホーム流用(使い回し)だ。
何せ,この通称 「Aプラットホーム」 は傘下の車種を含めて年間 200万台以上も生産される。
そこから搾り出される収益面でのメリットは半端では無い事が想像に難くない。 優れた物を完成
させて,それを多くの車に使い回す手法だ。多種多様な車種展開に合わせて膨大なプラットホーム
を新設してきた日本車メーカーが発想するせこい?コストダウン手法とはその規模が全く異なる。
従って,VWのコストダウン手法を一言で表すならば企業の統合効果であみ出したダイナミックな
共通化戦略に有ると言える。それは今も続いている。日本のスズキとの提携もその準備の一つだ。
少々細かい事例を挙げれば,ルーフサイドに付いている取っ手。 VWは高級グレードに使用される
オイル・ダンパー付きの取っ手を高級車型からPoloに至るまで流用している。 量産効果でコスト
ダウンするのだから誰も文句の付けようが無いという訳だ。ユーザーへのメリットを軸に考えている。
危険な設計変更で足元をすくわれるようなコストダウン手法とは視点からして違うのである。
勿論,VWに弱点が無い訳では無い。苦手な米国展開の克服にもこれから挑戦といったところか。
因みに次期 JETTAは米国で生産するそうな。 またGolf Ⅴでは先代と比較して生産性が低く,
車両価格に反映させてしまった為,販売数がやや低下。 競合車種の2倍以上の組立時間を要して
いたようで,モデルチェンジを2年前出しして生産性を改善,Ⅵにシフトした経緯も有る。
とは言え,総じて見ればダイナミックなコストダウン展開と言えるのではなかろうか。
まっとうな手段でコストダウンを図り,ユーザー側にもメリットを出すVW。 おあとが宜しいようで♪
Posted at 2010/02/08 19:34:48 |
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