VOLVO CARSの開示変更により、2018年1月から低迷していた本国Sweden単独での開示が無くなってしまいました。また欧州も従来は中東を含めたEMEAで集計されていましたが、1月からは集計範囲が狭まりEuropeでの集計となっています。
EMEAでも本国Sweden同様低迷気味でしたが、2018年1月以降Europeでも減速気味。ただ、6月以降はXC60、XC40のSUV効果に加えてV60貢献が加わり回復の兆しも出てきています。
ボリュームが大きな12月は同▲1.3%とマイナスになってしまいましたながら、2019年1月は26,195台の同+24.4%と大幅な増加となりました。
XC40、V60の本格出荷が貢献してきている様です。
【モデル別販売動向】
モデル別の販売で、V40については発売後4年目に入りグローバル販売が頭打ちとなり、2016年に入ってからは前年同月比でマイナスが続いていました。
マイナーチェンジモデルの販売が本格化し2017年2月以降はようやく安定した推移となりましたが、XC40の発売が近づき6月以降は再びマイナス。
2018年1月からXC40の販売が開始され、New Modelで代替モデルが無く、純増になっていることから本格的な貢献が始まっています。
特に4月以降は4割以上の増加し、7月以降は倍増ペースでした。
11月同+68.0%、12月同+53.1%と若干スローダウンも依然大幅増。
そして、2019年1月は比較的ボリュームが小さな月ですが、1万5,436台、同+102.5%と倍増ペースを取り戻しています。
従来の40シリーズモデルは3割強のマイナスが続いていますが、新規投入で純増となるXC40の本格的貢献で十分カバーしています。
XC40の販売台数は7月に初めて従来の40シリーズ合計を凌ぎましたが、2019年1月は8,113台で、従来の40シリーズ合計の4,921台を大きく上回っています。
XC40の販売は、1月395台、2月1,580台、3月4,261台、4月5,554台、5月5,413台、6月6,538台、7月9,005台。8月6,540台、9月8,598台、10月9,568台まで伸ばしました。
11月以降若干ピークアウトも8,993台、12月8,724台、2019年1月8,113台と高水準を維持しています。
目先増加一巡も今後XC40がどこまで拡大し、旧世代となる既存の40シリーズがどの程度維持できるかが注視されます。
これまでモデル末期でも最量販車種の座を維持してきたXC60ですが、New XC60の出荷が本格化し、10月以降販売減少が強まり、
2019年1月に遂に0台となしました。
New XC60は、2017年3月7日にGeneva Auto Showで発表になり、2017年8月以降販売が本格化。販売台数は、2019年1月は販売開始21ヶ月目で15,593台となっており、旧型に代わって2017年11月からXC90も抜いて最量販車種となりました。またNew V60も2018年6月から販売が開始され8ヶ月目で4,097台となっています。
モデル末期まで売れ続けたXC60の旧モデルの減少は大きいものの、ようやく生産体制も整い旧型のピークに迫る水準にまで販売が上がってきました。
60シリーズ全体でも21,161台で同+4.3%と3ヶ月連続で増加に転じて来ました。
新型XC90は好調に拡大を続けてきましたが、本格デリバティーから2年目に入り、2017年2月に初期需要の反動からついに前年同月比で前年割れとなりましたが、反動減も一巡し2017年9月以降は再びプラスに。
ただ、2018年10月に14ヶ月振りのマイナスとなり、以後マイナス成長が続いています。
2019年1月も6,520台で2桁減は回避も同▲3.7%でした。マイナーチェンジ等のテコ入れが必要になってきており、今後の動向が注視されます。
S90、V90の動向ですが、2019年1月はS90が4,916台(前年同月比▲18.8%)、V90は1,803台(同▲24.2%)、更にV90CCは1,474台(同▲1.3%)と2ヶ月続けてシリーズ全てマイナスになっています。
S90は中国生産集中で中国での販売が好調な様ですが全体としては需要一巡。欧州で主力となるべきV90の伸び悩みが顕著で、逆に健闘していたニッチモデルのV90CCもマイナス。マイナーチェンジ前の在庫調整であれば良いのですが、90シリーズは利幅が大きいだけにテコ入れ急務と言えます。
以上の結果、
1月は90シリーズ全体では14,713台で同▲11.9%となり、シリーズ全体で販売が一巡し減速しつつあります。
旧型XC60は大健闘でしたが、新型への移行期に入り60シリーズ全体として力強さは無く、
40シリーズもXC40は好調ながら生産能力が不足気味で、
V40はマイナーチェンジ後力強さを欠いています。
新型XC90がデリバリーが始まってから4年を経過、シリーズ全体で調整局面に入ってきています。
米国、中国を狙いとしたXC90、S90はジーリーの思惑通りに成功し、中国生産も現地需要への対応で順調に拡大して来ましたが、本国Sweden、欧州ではV90の販売が停滞気味と見られます。
また、これまで需要を牽引してきた米国、中国のマーケット自体が縮小気味になってきている点も懸念材料です。
ジーリーはVOLVOをMB、BMW、AUDIに匹敵するプレミアムプランドに引き上げるとしていますが、直接これらのプレミアムブランドと競合する本国Sweden、欧州の販売低迷を見ていると、欧州ではそれほどうまくいっている感じには見えません。
相次ぎCar of the Yearを受賞し、好調好調ともてはやされていますが、足元では90シリーズの成長一巡、XC60の新型への切り替え遅れとXC40とのバッティング、SUVモデル以外の低迷等が表面化しつつあります。
販売台数の増加は新規に追加されたXC40の純増にすべて掛かっている状況に陥って来ています。米国、中国の自動車販売全体の頭打ちもあり、Volvoも先行き決して楽観できる状況にはありません。
なおジーリーの販売動向ですが、2015年12月以降回復が一巡し頭打ち状態になっていましたが、2016年4月以降は持ち直し。8月以降は急速な回復、拡大。
2018年に入っても1月同+51.1%。2月23.9%、3月同+39.1%、4月同+48.5%、5月同+60.8%、6月同+44.7%、7月同+32.0%、8月+30.1%、9月同+14.3%、10月同+3.1%、11月同+0.3%と10月から大きく減速。
直近12月は9万3,333台(同▲39.2%)と大幅なマイナスとなってしまいました。市場の低迷の影響が出てきているのか4年振りのマイナスで、かつ2012年始め以来7年振りの大幅なマイナスとなってしまいました。