2015年後半から販売が本格化した新型XC90発売による新車効果が一巡し、続くS90、V90の伸びがやや鈍く、既存モデルの減少を補い切れず
2016年10月以降グローバル販売は前年同月比マイナスが続いていました。
しかし、中国の好調持続と地元Sweden、欧州の持ち直し等から、2017年1月に4ヶ月振りに
グローバル販売が前年同月比プラスに転換。
2018年に入ってからはXC60の販売本格化から2桁増の順調な拡大を継続しています。
2019年に入って1月はボリュームの小さい月で、中国旧正月要因でかさ上げされて同+16.7%の2桁増となりましたが、90シリーズの減少、米国、欧州の停滞から2018年末から頭打ち傾向が強まっており、2月同+5.5%、3月同+7.0%に留まっています。
2019年4月はボリュームの小さな月ですが、引き続き旧モデルと90シリーズの減少から、XC60,XC40,V60等の新車効果では十分には補いきれず、
同+7.4%の5万6,535台と安定成長継続に留まっています。
中国は
2016年4月に前年同月比▲6.7%と減少するなど調整気味でしたが、
8月に底打ちし、その後高成長が続きました。
しかし、中国市場全体の低迷もあり、
2019年に入ると1月は同+3.6%と
減速。
2月は比較的ボリュームが小さな月で、今年は2月が旧正月であった事もあり、同▲0.2%と小幅マイナス、
3月は同+6.7%の回復と不安定な状況となって来ています。
ただ、4月はボリュームがやや小さい月ながら、12,192台の同+16.8%と2桁成長を回復しています。
2016年3月以降は中国が単一国としては販売台数No.1を維持し、一段と中国依存度が高まっています。特に現地生産のS90、S60Lが好調で、新型XC60の生産も始まり販売も好調な様です。
ただ、中国市場全体が減税の縮小、景気減速や貿易戦争等の影響から前年比マイナスになって来ており、輸入車の一部にも調整の動きが出てきています。
Volvoは現地資本系列で現地生産も行っていることから、相対的には優位と見られますが、今度の動向が注視されます。
長年苦戦を続けていた
米国は、
XC90の販売本格化から2015年以降復活し、大幅な回復が続きましが、
2016年に入ると新車効果が一巡し伸び率は減速。
10月には23ヶ月振りのマイナスとなり、
その後軒並みマイナスが続きました。
2017年8月にプラスに転換したものの、
2018年10月以降再び販売が鈍化し,
12月には1年振りのマイナスとなってしまいました。
2019年に入って1月は比較的ボリュームが小さな月ながら同+5.2%と
持ち直し
、
2月も比較的ボリュームが小さな月ながら
同+5.6%、
3月は比較的ボリュームが大きな月ながら同+16.2%と2桁成長確保。
4月は比較的ボリュームが小さな月ながら、8,367台の
同+0.4%の横ばいと失速し力強さを欠いた状況です。
XC90とXC60が販売の中心ですが、力強さには欠けるものの、
XC90の新車効果一巡による反動減が一服し、
XC60の新旧切り替えから新型の貢献が本格化してきている様です。
S60の現地生産販売も開始されていますが、セダンの貢献度はまだそれほど大きくないと見られます。
VOLVO CARSの開示変更により、2018年1月から低迷していた本国Sweden単独での開示が無くなってしまいました。
また欧州も従来は中東を含めたEMEAで集計されていましたが、1月からは集計範囲が狭まりEuropeでの集計となっています。
2018年1月以降Europeでも減速気味。ただ、6月以降はXC60、XC40のSUV効果に加えてV60貢献が加わり回復の兆しも出てきていますが、力強さを欠いています。
ボリュームが大きな12月は同▲1.3%とマイナスになってしまいましたながら、2019年1月は同+24.4%と大幅な増加、2月は同+2.2%の微増、3月は同+3.9%と不安定な状況が続いています。
4月はボリュームの小さな月ですが、27,963台の
同+6.1%とまずまずの状況でした。
XC40、V60の本格出荷が貢献してきている様ですが、さほど力強さは出てきていません。
【モデル別販売動向】
モデル別の販売で、
V40については2015年に発売後4年目に入りグローバル販売が頭打ちとなり、
2016年に入ってからは前年同月比でマイナス。
マイナーチェンジモデルの販売本格化から2017年2月以降はようやく安定も、XC40の発売が近づき
6月以降は再びマイナス。
2018年1月からXC40の販売が開始され、New Modelで代替モデルが無く、純増になっていることから
本格的な貢献が始まっています。
40シリーズ全体で4月以降は4割以上の増加し、
7月以降は倍増ペースでした。
11月同+68.0%、12月同+53.1%と若干スローダウンも依然大幅増。
そして、
2019年1月はボリュームが小さい月ながら
同+102.5%と倍増ペースとなり、
2月も比較的ボリュームが小さな月ですが、
同+60.9%と依然高成長を維持、
3月はボリュームが大きな月ですが、
同+41.2%と依然高成長もやや減速。
4月はボリュームが小さな月ですが、1万5,378台、
同+27.4%と更に減速して来ています。
従来のV40シリーズモデルは3割前後のマイナスが続いていますが、
新規投入で純増となるXC40の本格的貢献で十分カバーしています。
XC40の販売は、1月395台、2月1,580台、3月4,261台、4月5,554台、5月5,413台、6月6,538台、7月9,005台。8月6,540台、9月8,598台、10月9,568台まで伸ばしました。
11月以降一時ピークアウトも、11月8,993台、12月8,724台、2019年1月8,113台、2月8,176台、3月は増産体制が確立したのか、12,614台とピークを更新。
4月はボリュムが小さい月ながら、10,801台を確保しています。
目先増加一巡も今後XC40がどこまで拡大し、旧世代となる既存の40シリーズがどの程度維持できるかが注視されます。
New XC60は、2017年3月7日にGeneva Auto Showで発表になり、
2017年8月以降販売が本格化。販売台数は、2019年4月は販売開始24ヶ月目で1万6,545台となっており、旧型に代わって2017年11月からXC90も抜いて最量販車種となりました。また
New V60も2018年6月から販売が開始され11ヶ月目で4,732台となっています。
モデル末期まで売れ続けたXC60の旧モデルの減少は大きいものの、新型もようやく生産体制も整い旧型のピークに迫る水準にまで販売が上がってきました。
ただ、XC60の成長もやや一服しつつあり、
続くV60の販売にあまり勢いが無い事から、
4月は60シリーズ全体で22,373台で
同▲4.7%と3ヶ月連続でマイナスになってしまいました。
新型
XC90は好調に拡大を続けてきましたが、本格デリバティーから2年目に入り、
2017年2月に初期需要の反動からついに前年同月比で
前年割れとなりましたが、
反動減が一巡し2017年9月以降は再びプラスになるも、2018年10月に14ヶ月振りのマイナスとなり、
以後マイナス成長が続いています。
2019年1月も同▲3.7%、2月同▲12.9%、3月は同+2.3%。
4月はボリュームが小さい月ながら、7,954台で同+9.8%と持ち直して来ています。
S90、V90の動向ですが、2019年4月はS90が4,462台(前年同月比▲7.9%)、V90は1,769台(同▲42.6%)、更にV90CCは1,548台(同▲19.0%)と
XC90以外のモデルがマイナスになっています。
S90は中国生産集中で中国での販売が好調な様ですが全体としては需要一巡。欧州で主力となるべきV90の伸び悩みが顕著で、逆に健闘していたニッチモデルのV90CCもマイナス。マイナーチェンジ前の在庫調整であれば良いのですが、90シリーズは利幅が大きいだけにテコ入れ急務と言えます。
以上の結果、
4月は90シリーズ全体では15,733台で同▲7.9%となり、シリーズ全体で販売が一巡し
7ヶ月連続でマイナスが続いています。
旧型XC60は大健闘でしたが、
新型への移行期に入りXC60は順調も60シリーズ全体として力強さは無く、
40シリーズもXC40は好調ながら生産能力が不足気味で、
V40はマイナーチェンジ後力強さを欠いています。
新型
XC90がデリバリーが始まってから4年を経過、
シリーズ全体で調整局面に入ってきています。
米国、中国を狙いとしたXC90、S90はジーリーの思惑通りに成功し、中国生産も現地需要への対応で順調に拡大して来ましたが、
本国Sweden、欧州ではV90の販売が停滞気味と見られます。また、
これまで需要を牽引してきた米国、中国のマーケット自体が縮小気味になってきている点も懸念材料です。
ジーリーはVOLVOをMB、BMW、AUDIに匹敵するプレミアムプランドに引き上げるとしていますが、直接これらのプレミアムブランドと競合する本国Sweden、欧州の販売低迷を見ていると、
欧州ではそれほどうまくいっている感じには見えません。
相次ぎCar of the Yearを受賞し、好調好調ともてはやされていますが、足元では
90シリーズの成長一巡、XC60の新型への切り替え遅れと
XC40とのバッティング、
SUVモデル以外の低迷等が表面化しつつあります。
販売台数の増加は新規に追加されたXC40の純増にすべて掛かっている状況に陥っています。米国、中国の自動車販売全体の頭打ちもあり、Volvoも先行き決して楽観できる状況にはありません。
なおジーリーの販売動向ですが、2015年12月以降回復が一巡し頭打ち状態になっていましたが、2016年4月以降は持ち直し。8月以降は急速な回復、拡大。
2018年に入っても1月同+51.1%。2月23.9%、3月同+39.1%、4月同+48.5%、5月同+60.8%、6月同+44.7%、7月同+32.0%、8月+30.1%、9月同+14.3%、10月同+3.1%、11月同+0.3%と10月から大きく減速。12月は同▲39.2%と大幅なマイナスとなってしまいました。
2019年1月は前年の旧正月の反動で同+2.2%と小幅増加も、2月は逆に旧正月で同▲24.2%と大幅なマイナス
。
3月は12万4,643台(同+3.0%)と小幅なプラスで、4月の実績はまだ未公表です。