久しぶりのテレビドラマ感想批評です。
最近ドラマを見ていて非常に評価に困るのは、雑多な出来事を組み合わせているだけで「この作品(のこの回)を通じて、何を表現したかったのか」の理解に苦しむ脚本が多いことです。
今回のこの作品も、以下の出来事が組み合わせられているだけで、単なる情景描写にすぎませんでした。
・看護師長が別れて住んでいた子供が突然訪れ、看護師長の元旦那が再婚することを告げられる。環境の変化を受け入れられず、家出をしてきた子供との心の交錯。
・早期のマイコプラズマ肺炎(?)にかかった入院患者を、看護記録から看護師が読み取り、医師と看護師の意思疎通が大切だと主張する
・その主張を虐げる教授(松平健)、医局にはヒエラルキーが存在した。
・自主勉強会を催す祐太(草なぎ剛)、少しずつ変わる医局
・容体が悪化する草なぎ剛の恋人女(ミムラ)
そう、マイコプラズマ肺炎になる人は単に肺炎になるだけ、看護師長の子供とは何の関係もありません。ミムラも同様、何ら関わりがありません。すなわち、子供の件と医局の件、ミムラの件と、3つの出来事が溶け合わずに別々に存在するのです。
しばらく会っていなかった肉親が主人公ないしは準ずる登場人物の元を訪れる物語は、いくつかの名作があります。その中でも、「太陽にほえろ!」の「冬の訪問者」は名作です。
以下、「冬の訪問者」の概略。
九州の田舎で教員をしているゴリさんの父親(下條正巳)が、突然ゴリさんの元を訪れる。口には出さないが、ゴリさんに九州に戻って欲しいかの父。悩むゴリさん。
そんな折、強盗(?)事件が起こる。子供を人質にとって建設中のビルに立てこもる犯人。何もすることがなく街を歩いていたゴリさんの父親は、野次馬について事件現場に向かう。
ボン、ロッキーと共に、犯人の後ろから忍び寄るゴリさん、ボン、ロッキー。ここでアクション。
犯人は、ゴリさんたちの活躍により逮捕される。泣きながら抱き合う母と子供。そんな子供にゴリさんは「強かったぞ~ボク。」、母親には「ちょっとご足労ですが。」と、調書作成のために同行を求める。
意図せず、息子が働く現場を初めて見たゴリさんの父親。そう、ゴリさんには働く場があり、街の人はそれを頼りにしているのだ。一時の感情で九州へ戻ることを願った父親は思い直し、ゴリさんには黙って東京駅へ向かう。そして駅からゴリさんに「また来るから」と、電話をかけるのであった。
刑事ものとしての事件と、ゴリさんと父親の個人的出来事、そして事件解決後に抱き合う親子の様子等が絶妙に溶け合って、親子のつながりを再確認させる展開になっているのですね。それに比べると最近の脚本家さんはねえ~。最近の作品でも良いものはあるんですよ。例えば香里奈主演の「だいすき!」第三話とかね。これも名作だったなあ!
ストーリーあるものを考えるときは、必ずテーマと展開とをあらかじめ考えてから書き始めなきゃね。いつも私は「推敲が大切」と書きますが、事前の組立はもっと大切です。
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Posted at
2012/05/08 23:26:41