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梅雨が明けて夏が来る。

夏の空は魅力的だけど今年はやはり気持ちが濁る。川と同じようにいつまで経っても濁りが取れない気分です。



最近、高校の同級生と行動をする機会があったからなのか師範の夢を見た。

師範とは僕の所属していた部活動である空手部の師範代のことだ。当時の年齢は50過ぎくらいか。大人に対する反抗心が多めの僕ではあったが、師範だけは尊敬すべき方だと心で感じていた。六段。空心会では名の知れた方だった。小柄で頭は坊主で厳しく皆に恐れられていた。部外者の輩の中にはチェリー(うる星やつら)というあだ名で呼んでいた不届き者も居たがとんでもない。たしかに「本物」と呼べる方であった。

部員の中に一人だけ個人戦で九州大会に出場するという格闘センス抜群の友人(同級生)が居た。当時の親友でもある彼は高校総体を終え部活を引退する最後の練習日になんと師範に組み手を挑んだ。師範は指導はするが、もっぱら組手を行うのはコーチと呼ばれていたOBの方で恐れ多い師範に組み手を申し込むなんて勇気のある奴は居なかった。ただ、強さに対して好奇心の強い友人は最後だからと思い切って申し込んだらしい。意外にも師範は快く引き受けた。友人は地元で一番喧嘩強いんじゃ？と言われていた奴だったし、後に就職した福岡県警の柔剣道大会でも優勝もしたほどの実力者だ。

そんな友人と師範がどんな組手をするのだろうか？皆が注目した。

しかし、勝負は一瞬だった。友人は間合いを詰め刻み正拳突きで師範の懐に飛び込んだ、その刹那師範は上体を逸らし、そのまま蟹ばさみで胴を挟みバタッと倒し速やかに顔面に裏拳を翳したのだ。まるで映画のワンシーンの様だった。


師範はいつも厳しく正しいことを僕に教えてくれた。余計なことをしなければ突きは速い。お前の突きが遅いのは余計なことをしているからだ。無駄をなくせ。うろ覚えだけどそんな感じ内容だった。

その教えは今でも僕の走りをつくるなにかを支えている気がする。



妙な思い出話を書いてしまったけど、非常に厳しい世の中だ。まあ辛い。誰もが辛いだろう。でもなにかしら生きる支えはあるはず。

きっと未来もある。だから強く生きよう。宝くじも買ったし。