行ってきました！　東京モーターサイクルショー 2013！　－Prologue－

　・・・その時、彼女は笑った。

　　　　　　　　　　　　　　　　　そして・・・、去って行った。


　一年ぶりの東京モーターサイクルショー。俺が一番

好きな展示会だ！　ここに来る度、一生バイク小僧でいようと心に誓う。謂わば自分を確認す

る場でもあるのだ。だからいつも楽しい心と共に、厳粛な想いも合わせて会場に足を運んでいた。

　しかし今回は、もう一つの大きな理由が存在していた。それは、俺の人生設計と大きくリンクする

事でもあった。故に、いつものお出かけとは違い、大きく深呼吸をして気合を入れた。

　「ヨシ！」

と、一つ気を吐いた私は、ベッドから飛び起き、まだ青みがかった朝陽が差し込むバスルームへ

と向かった。全てを脱ぎ捨て、少し熱めのシャワーを浴びる。そして、頭の中でこれからの行動予

定を反復した。まず先に会場へ行く。そして予め車両やオネーチャンの写真を撮りまくる。

　その後……。

　……そう、俺の人生を左右する存在が、目の前に現れるのだ！

　「ふーっ」

と、バスタオルで濡れた頭を拭きながら、更に考えを整理する。目の前にある鏡に映る自分に言い

聞かせる。「大丈夫だ！全て上手くいく！」　自分への視線を外す事無く、軽めのオーディコロンを、

その強靭な肉体に擦り込んでいく。勿論今日という日は全身勝負服だ。まずnissenの吸汗速乾スト

レッチノースリーブインナー（消臭テープ付）を身に着け、Converseのメンズ大きいサイズシャドース

トライプジャージ上下セットに袖を通し、靴は悩んだ末NIKEのサンダルにした。おっと、忘れちゃなら

ない、勿論勝負パンツは、カタクラの絹の赤褌だ！　そのすべてを身に着けると、だんだん心が引き

締まっていくのが分かる。最後にFRANCK MULLER CASABLANCA DATEのホワイトを左手首に付

け、身も心も大人の男になる儀式を完了させた。洗面台のヘリに両手をつき、もう一度、鏡に映る

自分の顔を睨みつける。その顔は明らかに大きな決断をする一人前の男の面構えになっていた。

しかし、その両腕は小刻みに震えていた…。

　「よーっしゃー！」

意を決してフィットのキーを掴み、颯爽と乗り込むと、大きなブリッピングをかまし、フィットのオイル

とバッテリーとクーラントに喝を入れ、シフトノブをDレンジに叩き込み、猛然と走り出した。そう、そ

れは未だ消えぬ不安を打ち消すかのように…。


　　つづく

　　※尚、この日の模様は、愛車紹介ヤマハFZR250のフォトギャラリー内の

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　→　“ココ”　 にアップしておりますので、どうぞご覧下さい！