犬の居る風景・・・11

　最近、体の変調が著しい。勿論それらの殆どは、加齢によるものだ

とは解っている。もう昔の様に、跳び箱を飛んだり、ジャングルジムで

遊んだり、缶蹴りしたり、鬼ごっこ等する事は、恐らく出来ないであろ

う。というより、出来たとしても体に深いダメージを与えるのは必至で

あろうから・・・。

　アタマでは解っているつもりであったが、実際に自分がその年齢に

達してしまうと、寂しい想いばかりが胸をよぎる・・・。


　こんな時、子供でもいれば、また違うのであろうが、私には(隠し子を含め)子供がいない。

　というより、結婚した事が無い・・・。


　ふと横に目を向けてみる。そこには私と同じく未だ独身の愚弟がいた。彼は、人間の7倍のスピー

ドで成長する生き物だった。今はスヤスヤと寝息を立てている。しかし、7倍のスピードで成長する

という事は、7倍のスピードで老いていく、という事だ・・・。


　私よりも遥かに顕著に、彼は老いの階段を登っている。以前は、当然出来ていた事が、今は困難

になっている。投げたボールに追いつけなくなり、助走無しで飛び乗っていたクルマには、何度も何

度も助走をとらなければ、乗れなくなっている。小便も、片足を高く上げてする事は減り、雌犬の様に

しゃがんでするようにもなって来た・・・。


　あんなにヤンチャだった頃がウソの様に、今では穏やかな日々を過ごしている。そんな愚弟の頭

を撫でていると、或る事に気が付いた。

　「お前さん、イイ面構えになって来たな・・・」

子供だとばかりと思っていた愚弟は、いつの間にか、経験を積んだ、“男の顔” と、なっていた・・・。

　鏡を見た。ソコにはテ〇ンスだか、嵐だかに似た男が写っていた。

　「お前さんも、そろそろ男の面構えになったらどうよ・・・」

思わず鏡に映る自分に問いかけていた・・・。

　「老いは、止められない・・・か・・・」

愚弟の頭を撫でながら、そう呟いた。　と、その時！

　「グエーップ！　・・・プップゥゥゥゥ―――！」

愚弟は勢いよく、ゲップと屁を同時にかまして来た！（爆）

　老いている筈の愚弟ではあったが、しかし、ゲップと屁の臭いは、更に強さを増していた(大爆)

一気に悪臭に支配された部屋ではあったが、薄目を開けてコチラの様子を伺う愚弟の姿を見るに

つけ、怒りはすぐに収まり、また愚弟に寄り添うように、今度は私が彼の元に寝転がった。

　　「ま！、まだまだ、長生きしてくれや！」


　そう言うと、今度は私が静かに瞼を閉じた・・・。


　　　でわでわ！

　　　※尚、この模様は、愛車紹介ヤマハPC28のフォトギャラリー内の

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　→ “ココ” に、アップしておりますので、どうぞご覧下さい！