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自動車から異臭がしたら要注意!考えられる原因と対策
2022年2月21日
クルマの運転は五感のうちの味覚をのぞく4つの感覚を生かして臨むことが大切です。残る4つの感覚のうちでトラブルを見つけやすいのが嗅覚、つまり匂いです。クルマが発するさまざまな匂いから分析できるトラブルの元を紹介、対処方法もお知らせします。
比較的体験することが多い きな臭い匂いは危険がいっぱい
クルマのなかで感じる異臭のパターンで比較的多いのがきな臭い匂いです。
きな臭いというのはブレーキが過熱したときに感じることが多くなっています。多くのクルマに使われているディスクブレーキは、2枚のブレーキパッドが1枚のディスクをはさんで、運動エネルギーを熱エネルギーに変換して大気に捨てることで減速しています。
このときに変換できるエネルギー量には限界があるため、限界を超えるとブレーキパッドが過熱してブレーキパッド内に含まれる物質が燃えてしまい、その匂いが車内に入り込んできます。
燃えてしまう物質のなかの代表的なものはレジンと呼ばれる樹脂で燃えると炭化が起こり、ブレーキの効きが悪くなります。これがフェードと言われる現象です。
また、熱がブレーキ液に伝わってブレーキ液が沸騰すると、ペダルを踏んでも圧がブレーキパッドに伝わらないベーパーロックという現象が起きることがあります。ベーパーロックとフェードは同時に起きることがあり、同時に起きるとブレーキは劇的に効かなくなります。
一般的にフェードやベーパーロックは山道の下り坂などで発生します。もちろん、サーキットで限界走行をしても発生することもあります。
フェードやベーパーロックを避けるためには、低いギヤを選んでエンジンブレーキの効きをよくするとともに、ブレーキを踏みっぱなしにせずに冷やしながら使うことです。
MTの場合はギヤを下げて使えばいいですし、ATの場合はマニュアルモードを使ったり、2レンジを使ったりすることで低いギヤでエンジンブレーキを効かせられます。
こうしたシフトダウンは高速道路の速度調整に使うものと思っている人もいますが、高速道路ではブレーキペダルを踏んで速度を落とすことが基本です。
頻繁にギヤチェンジをするのではなく、坂を下るときは低いギヤで固定して使う……を基本と考えましょう。速度を落とすためのシフトダウンはエンジンにもミッションにも負担が掛かります。ブレーキで速度を落とし、その速度に合ったギヤを選ぶことが大切です。
ブレーキが過熱した際は停車してしまうと熱がどんどん上がってしまうので、走らせることが大切です。低いギヤで速度を調整しつつ、止まらないように走り温度をさげていくことです。
一番怖いのはいい調子で山道を下ってきたら、その先が渋滞という状態です。それが日光いろは坂のような一方通行であった場合は、引き返して冷ますということもできませんので、そういうシチュエーションのときはとくに気をつけましょう。
過熱しているからといって、水を掛けたりするとディスクがゆがむなどのトラブルが起きるので基本は自然冷却です。ただし、ブレーキを火種にして漏れたオイルに引火したような場合は即座に水や消火器を使って消火しましょう。
過熱が生む もうひとつの甘い香り
エンジンはLLC(冷却水)によってオーバーヒートを防いでいますが、運転状況が悪化するとオーバーヒートを起こすことがあります。
エンジンで熱くなったLLCはラジエータで冷やされますが、熱が上がり一定以上の圧力となった場合はラジエータから吹き出てリザーバータンクに排出されます。この際、一部のLLCがリザーバータンクの外に漏れることがあります。
じつはLLCは甘い香りを発するので、オーバーヒートしているとクルマから甘い香りが漂うのです。発熱がさらに進むと、リザーバータンクのなかのLLCが沸騰したように「ボコボコ」と煮立っています。このときにメーター内の水温計の針が赤い部分に掛かっていたら、オーバーヒートと判断していいでしょう。
オーバーヒートした際もエンジンに水を掛けるなどの行為は厳禁です。水を掛けるとしたら、ラジエータに少しずつかけるようにします。
エンジンを冷やすのではなく、ラジエターを冷やすという感覚です。この際、ラジエターキャップは絶対に開けてはいけません。ラジエターキャップを開けると、高温になった冷却水が吹き出てしまいます。エンジンにとって危険なだけでなく、大やけどを負う可能性もあります。
そのほかにもいろいろな匂いがある
エンジンルームから酸っぱい匂いが漂うことがあります。この酸っぱい匂いはバッテリーの電解液に使われている希硫酸が蒸発したときに発生します。
バッテリーはオルタネーターで発電された交流を直流に変換して充電していますが、その行程で何らかの不具合が起きて過充電の状態になると、希硫酸が蒸発し始めます。これを停止するにはエンジンを停止するのが一番です。
もし酸っぱい匂いがしてきて、エンジンルームをのぞいたらバッテリーまわりが濡れているというような状況が確認できたら、即座にエンジンを停止しましょう。できることなら、バッテリーまわりに水を掛けて洗浄しておくことをおすすめします。間違っても素手で撫でるなどの行為は慎みましょう。
電気系統でショートなどが起きると、配線の被覆が焼けてビニールが焼けるような匂いがすることがあります。
電気トラブルの匂いは、独特なので一度でもその匂いをかいだ経験のある方なら、すぐにわかることでしょう。
筆者はマツダの初代ロードスター(ユーノス・ロードスター)に乗っていたときに、いつまでもしつこく匂い続けるビニール臭に悩まされたことがあります。このときは電気系統のトラブルではなく、風に飛ばされてきたゴミ袋をフロア下に挟み込んでしまったことが原因でした。
この時代のクルマは触媒がフロア下にあったため、高温となった触媒にゴミ袋が貼り付いてしまい、いつまでもビニール臭が取れなかったのです。
こうしたことでも、匂いを発するトラブルはおきます。この状態だけなら、別に我慢してしまえば問題はないのですが、深刻なのはクルマ側の電気トラブルが起きたときに、ゴミ袋なのか? 電線の被覆なのか? が判断できないことにあります。
クルマは匂いがない状態のほうが、さまざまなトラブルが判断できるので、あまり強い香水などは使わないようにするのが懸命です。
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