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レザーシートの良さ
2018年5月7日

レザーシートは高級車の証。愛車には必ず選びたいと思っている方も少なくないのでは。風合いと言い、香りと言いレザーシートにするだけで雰囲気が一変してなんともいいものですよね。しかしレザーシート、実は単なる贅沢装備、高級素材ということではなく実用的な理由もあったことをみなさんはご存知でしょうか。そんなクルマの本革(レザー)シートについてここでは触れてみたいと思います。
もともとは「高級」ではなく「タフで実用的」な素材だった
皆さんのクルマにはレザーシートはついていますか?レザーシートなんて高級車の証、そんなものないよ、と言う方もいらっしゃるかもしれません。しかし最近ではかなり幅広い車種でレザーシートを選べるようになりました。
そしてその風合いを求めて合成皮革、ようはレザー調、本革調の素材も数多く世に出ていて、そういったものを用いたシートカバーを愛車につける方も少なくないでしょう。ちなみにここではバックスキンやそれを模した合成皮革「アルカンターラ」についての説明は最小限にとどめ、機会があればまた別の場で紹介できればと思います。
本革シート、実は昔はその丈夫さや耐久性の高さなどから、高級素材ではなく、質実剛健な実用的な素材としてクルマに採用されていたのをご存知でしょうか。例えば馬車から自動車へ進化を遂げて間もないころのリムジンなど、ショーファー(お抱えの運転手さん)がステアリングを握る運転席のみ本革シートになっており、他のパッセンジャーシートは、上質な織物の素材が使われていた、なんていう事もあったほどです。
どうしてかと言うと、獣の皮革より人間が手間を惜しまずに作った織物の方が高貴なものとされていた面はあるかもしれません。しかし、それだけではなく手入れが簡単という面は大きく影響していたのではないでしょうか。例えば今でもそうですが、車内でジュースやお茶をこぼした際に、すぐに拭き取れば簡単にきれいになるのはどちらかと言えば革の素材ですよね。ですから雨風を受けることもあるオープンカーのシートや、実用車のシートには革張りが好まれる傾向にありました。
しかし、こうしたエピソードは昔の話。さすがに今となっては、もっと丈夫だったり、汚れにくかったり、簡単に清掃できる素材が多々あります。ですから、クラシックな雰囲気で多数採用されてきた歴史なども踏まえると、最近のクルマにおける革シートはそんな自動車の進化の過程で、やはりぜいたく品の部類と言えるのではないでしょうか。そうした背景から、本来の丈夫な素材としての革張りではなく、革張りであってもできるだけ上質な風合いを大切にと、そんな作り物も少なくありません。
こうしたシートでは、長年使用しているうちにへたって来たり、傷になりボロボロになってしまって張り替えざるを得ないようなそんなような場面もあるでしょう。また、車内はなかなか過酷な環境です。窓越しに多少減衰するものの日光が照り付け、高温に達します。また夜になればかなり冷え込むこともあるでしょう。そんな環境の変化に長年さらされていると、さすがに丈夫な革素材も傷んでくることは避けられません。そのためしっかりと手入れをすることが望ましいでしょう。

夏場の車内は革にとっては過酷な環境
とはいってもそんなに面倒なことがあるわけでもなく、日ごろから汚れをふき取り、クリーナーでシート全体を拭き上げるのが良いでしょう。するとしないとでは持ちが変わったりするものです。本革シート専用のクリーナーには、洗浄効果に加え革に栄養を与え保湿する効果などもあります。紫外線や、寒暖の差から保護するのに、こうした専用のクリーナーは強い味方になってくれるでしょう。
レザー専用の保護剤も販売されています。洗浄効果というよりは、過酷な条件でボロボロになるのを防ぐコーティングをしてくれます。天然素材である革は呼吸しているのです。そういう革を長年大事にしてあげることでまた風合いに年季が出てきます。
それでもへたってしまう事もあるでしょう。また、小さなお子様のいらっしゃる方、チャイルドシートを直接置くと跡になってしまうのでどうしたらいいのかといったご質問は筆者も時々受けたりするものです。その場合は、布や低反発のマットレスなどの小さなものを当てて設置するとよいでしょう。

経年や使用環境を反映する革に見る「クルマの歳の重ね方」
それでもボロボロになったとき、革の貼り直しを専門に手掛けるリフォーム業者もありますので、そういうところに問い合わせてみるといいかもしれません。全体的な張替はもちろん、部分的な補修なども手掛けている業者さんありますので、解決できるかもしれません。
独特な風合いと素材や仕上げによって香りにも違いのある革シート。恐れることはありませんが、いたわれば応えてくれる素材と言えるかもしれません。革張りの内装を持つ中古車など、内装も語り掛けてくるかのようで筆者はそんな気になることもしばしばあります。皆さんもレザー内装のクルマに乗ることや所有する機会があったら、少し興味を持ってご覧になると、クルマの別の側面、魅力が見えるかもしれませんよ。
(中込健太郎)
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