前回は寒冷地仕様のお話でしたが、今回は水温計のお話です。
最近の車は、恐らくコストダウンの影響だと思われますが、旧来の
C(コールド)と
H(ホット,たいがいは赤線が引いてある)の目盛りマークの入った針式水温計から、黄緑色の鍵のようなランプと赤色の鍵ランプに取って代わっています。
でもこれではコンテの場合では水温が50℃以下で
黄緑LEDが点灯するだけで、実際自分の車の水温が何度なのか全く分からず、
赤ランプが点滅→点灯したときには、もうすでにオーバーヒートとなっている状態です。
製造メーカー側は、きっと最近の車はほとんどオーバーヒートしなくなったから、針式水温計は不要と考えているのでしょう。
ところが整備屋さんのブログを読むと、年数が経ってくるとウォータポンプの不良やらサーモスタットの不良、樹脂製のウォーターホースジョイント(耐久性に勝る金属製もある)の破損等が時々あり、これらのトラブルに突序遭遇すると、冷却系統が一気に故障するか、あるいは短時間の間にオーバーヒートとなります。
(ウォーターホースジョイント これは金属製のもの)
たいていはここで異常に気が付き運転を中止しますが、さらにそのまま運転を継続すると、最悪の場合バルブがいかれたり、エンジンのアルミブロックが変形したりします。最悪エンジン載せ換えとなります。そのような観点で考えますと、めったにないことですがオーバーヒート時の赤ランプのみの警告は、正直当方は不安を覚えます。
やはり針がHへ徐々に上昇していくほうが気が付きやすく安心感はありますね。まあ針が完全にHに達したときには、時すでに遅くオーバーヒート状態ですが。
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ところで日本車のメーカー純正針式水温計、日本人が神経質なためなのか、走行中に
適正温度内でも、水温計の針が上下するのに不安を覚える人がいるらしく、よって製造メーカー側は不要なクレームを避けるため適正水温の間は、
針はいっさいセンターの位置から全く動かないように設定してしまっています。
(昔乗っていたアトレーの水温計)
(ひと昔前の車ではごく一般的だった純正水温計)
逆に外車などのメーターパネルを見れば分かりますが、水温の目盛りを振った車を見かけます。
40℃辺りから110℃や120℃辺りまでが目盛られていることが多いようです。
この手の水温計なら、真夏の停車中に水温が上がったり、あまりないですが逆に冬場にオーバークールになっていたりと、とにかく冷却水の実温度が分かりお車の状態が把握できて、こだわる人からみれば欲しいアイテムです。
でも当方ではレースをするわけではなく、ごく普通に乗って人よりちょっと? いやかなり遠乗りが多いのですが、わざわざ自分の車の配管に三叉までかませて水温計のセンサーを割り込ませるのは、不要なトラブルを避けるため、正直あまりやりたくないです。
そこで最近よく見られるのが、故障診断コネクターから情報を得て、デジタル表示器もしくはアナログメーターに表示する方法です。
もちろん車に搭載のコンピューターはいろいろなセンサーから情報を読み取っていますので、それを利用して専用のメーター等に表示させるわけです。これならば冷却水配管の改造は全く不要で、お車の新車保障問題も気にせずに済みます。
上に掲載の写真は、すでに設置したPIVOTのX2Cの水温計です(後日取り付けました)。そのうち予算が許せばターボ車に乗っているのでブースト計も取り付けたいと考えています。
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じつは実水温を表示する水温計を取り付けると、ガソリンの質の良し悪しもある程度判別できるそうです。ガソリンはかなり揮発性が高くもちろん火気厳禁ですが、セルフスタンドでガソリン給油中にガソリンが手にかかるとヒンヤリするように、ガソリンはエンジンの冷却をも兼ねています。
ところがたまにある、不正軽油や不正ガソリンには灯油が混ぜられますが、灯油はガソリンに較べて揮発性はかなり低いので当然エンジンは冷えにくくなり、真夏の停車中などは車の冷却設計値よりも熱くなってきます。よって水温もかなり上昇するようですし(他の方がその画像をアップしていました)、もちろん燃費も悪くなります。
しかも不正ガソリンを使い続けていると、ススともいえるカーボンがエンジン内に蓄積してくるので、当然ながら車も調子悪くなってきます。
私は多少ガソリンが安くても、後々に修理代がかかってくることにもなる可能性も高いので、ガソリンスタンド選びは慎重にならざろう得ないですね。出先ではJAのセルフで入れていることも多いです。
しかも原因不明の燃料ポンプの故障には、この灯油入り不正ガソリン使用のお車に見られるようで(その他にも長期保管のガソリンも劣化するので同様です)、なかなか故障原因がつかめず修理に難儀するそうです。たまに整備屋さんの嘆きのブログを拝見することもありますね。
もちろんごく普通の車のオーナーさんは、まさかガソリンの中に灯油が入っているなんてつゆにも思わないので、余計にたちが悪いです。
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ところで本当に「不正ガソリンなんてあるのだろうか」と思われますが、
公式に新聞・テレビ等で報道されたので実名で挙げますが、2010年 3月 15日の北海道において、道内最大手のモダ石油というガソリンスタンドが、公式にガソリンの中に灯油を混ぜてしまったことを認めました。当時北海道では大々的に報道されたようです。
しかもその後、同年4月にも同社の他のスタンドで灯油を混ぜてしまったとの発表がありました。
懲りていないですね、ここの会社は。
配送のタンクローリーが間違えてガソリンの中に灯油を混入したため、と会社側は言っていたそうですが、じつは大量に灯油が混ざったガソリンの灯油成分を
さらに薄めようとして、灯油が混ざったガソリンを自社のいくつかの他のスタンドに持って行って灯油成分を薄め、さらに何日にも渡って販売したとのことで、当然ながら行政処分を食らっています。
そもそもきちっとした石油配送会社なら油種を間違えないように慎重に作業するのが常なので、このような言い訳は通用しないでしょう。もし灯油タンクに間違ってガソリンが混入したならどうなるのか、考えただけでも分かることです。
私個人的にはこんな程度の処分では愛車が故障することを思えば絶対に甘すぎる!と思いますし、安売りに徹するのは北海道民の方々の心理をついているのでしょうが、これではまじめにスタンドを経営しているところがあまりにもかわいそうです。しかも脱税にも当たりますしね。
で、発覚の発端はやっぱり車が給油後、急に不調になったことから判明したとの事です。調べてみると、みんカラでもこの事件を取り上げている方もおられましたが、やっていることを見ると常習犯・確信犯であろうというのが専らのうわさでしたね。
このタンクローリーの写真は、
ウィキペディアに掲載されていた写真で本文とは一切関係ございません。
(石油製品輸送のためのタンクローリー : ウィキペディアより掲載)
実は日本の法律では、タンクローリーの配送時の残油を考慮し、
「ガソリンの中に
灯油が4%!までは混ざっても良い」という分けの分からない法律があります
(品確法,でも内容を見れば消費者より業界の保護のためなのか?)。
だれかこんな甘い法律、とっとと改正してくれ~
国会議員たちは票にならないこんなことは全く勉強しないのか、はたまた知識さえも無いのか、
こんなザル法、誰も改正しようとは言わないですね。
このハイテクの時代に4%も灯油が混入したなら、ガソリンを25L給油するごとに実に1Lも灯油成分が混入することになり、燃費はもちろん悪くなるし水温ももちろん上昇し、それ以上にお車のエンジン内がススだらけになって非常に傷みます。
実際、灯油の中にガソリンが混ざると非常に危険なので神経を使っているようですが、その逆に対しても全く同じ扱いとし、こんな法律はとっとと改正して不正を根絶するため1%以下にするべきでしょう。
愛車を大切に乗っているものとしては、灯油入りガソリンなんて車を傷めるだけでメリットが全くないとんでもない話で、私はあまり極端に安いところでは入れないようにしています。
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ところで、市販の販売灯油には不正がすぐに分かるように、「クマリン」という蛍光剤みたいな識別剤が、元売から灯油が出荷される段階で混ぜられるので、これをガソリンや軽油に混ぜるとすぐ分かるようになっています。
最近はあまり聞かれませんが、ある方法でこの名前だけ可愛らしい「クマリン」なるものを灯油から除去すると、副産物としてできるのが、「硫酸ピッチ」なる危険な産業廃棄物なのです。
灯油にはガソリン税自体が全くかからないので、たとえ3%でも混入させると揮発油税の脱税分も含むので、販売量によってはその差額たるやかなりの額となるようです。
また2009年 9月に三重県津市内のとあるスタンドで、続いて翌月の10月に埼玉県羽生市内のスタンドで、配管間違いにより8~10年以上ハイオクとレギュラーが逆さまに給油されていたこともあったようです。
バイクのように機械仕掛けのガソリン気化供給装置のキャブ車なら、ガソリンの質の良し悪しはモロに分かるのですが、現在の一般的な車ですと、燃料供給はECUなどのコンピュータ制御によっているので、間違えてハイオク車にレギュラーを入れても、またはその逆の場合でも、オクタン価が違うのでむろんエンジンには良くないのですが、とりあえずコンピュータで点火時期とかカバーするようになっています。
時々聞きますがセルフスタンドとかで、「軽四」の車だからと使用燃料は「軽油」と思い、勘違いして給油する人がごくまれにいるようですが(JAF MATEより)、さすがにここまでやると即座にお車は故障します。
このような間違い給油のときはエンジンを一切かけず、そのまま整備工場へレッカー移動し、ガソリンタンクから燃料をすべて抜き取るしかありません。
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この手の話をすると奥も深くきりがないのですが、私も知らなかったのだけどディーゼルエンジンは、灯油でもいちおう走ることができるようです。
もちろん灯油成分そのままでは潤滑剤とかが含まれていないので、燃料ポンプとかが故障しやすいらしいですし、当然燃焼温度も違うのでエンジンには良くないそうですけど。
灯油といえば一般的にはストーブのイメージですが、軽油と灯油は性質が似ており灯油に潤滑剤を混ぜるか、軽油の中に3割ぐらいなら灯油を混ぜても普通に走ることはできるらしいです。
普通の軽油は寒くなるとゼリー状のようになって燃料が供給されなくなるので、冬場の寒冷地では元売の段階で、軽油の中に灯油成分を混ぜて固まらないようにした軽油が売られています。灯油を混ぜる割合によって3号・特3号軽油とかがあり、地域の事情の合わせて正規に販売されています。
よってディーゼル車に乗って冬場に南国から寒冷地にいくときには(標高の高いスキー場とかも)、現地で軽油を給油してから、ある程度走行して燃料が揺れて混ざりきらないと帰れなくなります。
ちなみに3号軽油や特3号軽油はもちろん元売で造られるので、当然ながら識別剤のクマリンは混ぜられていません。