2008年12月21日
仮想現実では知りえなかった現実的教訓
フロントスタビライザーを装着してからある程度距離を走ったので、挙動の変化とその感想について書いてみたいと思います。
当初リヤにしか装着していなかったスタビライザーをフロントにも付けたのには一つの理由がありました。それはコーナリングの際に、リヤの剛性感は高い一方で、どうにもフロントの剛性感が足りないような気がし始めたからです。サスペンションの動きが曖昧というか、なまじリヤの剛性感が高い分だけ、フロントの動きが余計に頼りないものに感じられるのです。もちろんこれはリヤにスタビライザーを付けた時点で狙っていた通りのことでもあるのですが、しばらく乗っているうちに徐々に違和感を覚え始め、遂に我慢できなくなったというのが正直なところです。フロントを柔らかめにして路面に食い付かせ、リヤを硬めにしてテールを振りやすくするという方法は、常にフルスロットルでスライドしまくりなゲームの世界では許されても、安全重視でグリップ走行の現実世界では通用しないようです。つい数ヶ月前には「リヤスタビだけで充分じゃないか」と納得していたのですが…。私程度の知識・経験では、邪道は貫けませんでした。
実際フロントにスタビライザーを付けてみると、前述したような違和感が綺麗さっぱりと消失し、替わりに操縦性の向上と安心感を得ることが出来ました。ロールが大幅に減ったことも確かに無視できない変化ではあるのですが、今回はむしろフロントセクションの剛性感が増したことでボディ全体の塊感も強くなり、結果として以前より運転しやすくなったことの方が収穫でした。強化スタビライザーを装着していない新車時を重心が流動的な生卵状態とするなら、今は中身の硬化した茹卵状態、という感じでしょうか。少なくとも、挙動の掴みやすさという点では今の方が確実に上です。
限界域での挙動の変化に関しては、少し考えさせられるところがありました。割とタイトなコーナーにオーバースピードで進入した際、今までは深くロールしたままフロントからズルズルとアウト側に膨らんでいたのですが、スタビ装着後は同じ滑るにしてもイン側の接地感があまり失われないようになり、グリップを確認しつつ安心してアクセルが踏めるようになりました。また、姿勢変化の収束が良くなったため、より早いタイミングで加速体勢に移れるようになりました。これらの点はドライバーに余裕をもたらしてくれる要素であり、明らかに改善された点であると言えます。しかし、一つ気になるのは、足回りの動きから「しっとり感」みたいなものが失われてしまったことです。コーナリング中に踏ん張る際も、ダンパーで溜めを作るというよりは、単純にスタビの反発力で車体を支えているようで、路面の具合によっては微妙にバタついたりするのです。多くの人が言っているとおり、やはりダンパーを替えない限り足回りのセッティングは決まらないようです。本来なら減衰力調整が可能なサスペンションキットがベストなのかもしれませんが、私自身かなりの面倒くさがり屋なので、調整タイプのダンパーは恐らく持ち腐れになることでしょう。であれば、より一層のしっかり感を求めてビルシュタインのBTSにするか、もしくはスポーツとコンフォートのバランスが良さ気なコニのFSDにするか…。モディファイ計画としてはLEDのテールライトとミシュランのPS2の方が優先事項なので、それらが終わるまでにじっくり検討してみたいと思っています。
もっとも、ダンパーの交換を後回しにすることには、もう一つ理由があったりします。それは、現在のレベルにあってさえ我が白兎をコントロールしきれていないからです。つい先日、いつもの峠道のとある登りのカーブで、限界を試すために無理気味な速度で突っ込んでみたところ、コーナー出口付近で軽いテールスライド状態に陥ってしまいました。幸いその先が短いストレートになっていたので、私は急いでハンドルをセンターに戻すと、アクセルをもう少し踏み込むことでなんとか直進性を保とうとしました。結果、それでスライドは収まったものの、その時の車体からは今までに味わったことがないような不快な振動が伝わってきました。フロントが滑るだろうと予測していたところで逆にテールスライド状態になったという恐怖感もさることながら、車体と足回りが瞬間的に理解できない動きをしたという驚きはとても大きなものでした。この出来事は、スタビを装着して浮かれていた私にとって痛烈なカウンターパンチとなりました。足回りを固めればその分だけ挙動も機敏になるわけで、今程度のレベルであたふたするくらいならビルシュタインなど付けても危険度が増すだけだろうというのが、ダンパー交換を後回しにするもう一つの理由でもあります。もうしばらくは、我が白兎に対する理解をより深めていくつもりです。
結論を述べると、強化スタビライザーの装着は剛性感を高めたりロールを減らす手段としては確かに有効ですが、それは飽くまでも補助的な役割を果たすだけで、コーナリング性能の大半はやはりダンパーによって決定付けられると言えます。どちらを優先させるかで迷っている方がいるとすれば、私はダンパーの交換をお薦めしますね。
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Posted at
2008/12/21 00:38:52
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