2022年11月13日
妻と「すずめの戸締まり」を初日に見に行った。
客層は幅広く、後ろは女子高生2人組。前は大学生男子。他にも、家族連れや高齢者もおられた。
2時間があっというまの映画だった。途中でだれることなく終わった。
以下、ネタバレ注意!(下の方から書き始めてます)
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震災をモチーフにしていることは、冒頭のシーンからわかったけど、まさか最後に(徐々に堤防等でわかりはじめるが)3.11だとはっきりわかるように描くとは思わなかった。
前半の宮崎から愛媛、愛媛から神戸、のロードムービー的な描写は良かった。愛媛の八幡港近くはいったことがあるので、そのすぐそばに伊方原発があるのも八幡港を選んだ理由のひとつだろうとすぐにわかった。後で調べると、
「八幡浜で震度5弱 5市町震度4 伊方原発異常なし 2016年04月17日(日)」
らしい。
神戸は、阪神淡路大震災の地なので、(ある年齢から上なら)あからさまではあった。ただ、阪神淡路大震災の話はまったく出なかった。地域的に阪神淡路大震災のちょっとだけ被災者なので、観覧車で鍵をかける直前に聞こえた『平穏な日常の風景』の声は、ちょとだけ胸にささった。
とまあ、地震がモチーフだとわかりつつ映画をみていたけど、東京あたりまでは猫と椅子がめいっぱい動くので、特に気にならず「天気の子」みたいな話なんだろうと思いながら楽しんだ。
東京からちょっと話が重くなる。また、説明を(おそらくわざと)やらずに話が進む。東の要石は既に抜けてたの?左大臣って何?誰?
特に東北に向かい始めてからは、大臣と左大臣の関係がわからなくなり、結果、大臣は結局なにがやりたかったのか不明のまま話は終わる。
最後の4歳の頃のすずめがお母さんを探すシーンは涙した。
4歳+12歳=16歳で、4歳(3.11)のころ東北に住んでいた女子高生が主人公と理解。単に「女子高生が主人公だとうけるから」ではなかった。
映画が終わると、「面白かったねー」とかいう明るい感想の言葉は周りからは聞こえず、3.11のことを思い出したor思いを馳せている様子がお客さんたちから見て取れた。「面白かった」というより「そうだよね。忘れかけてた 3.11 のこと」という感想。おそらく、2回めをみると「隠された背景がわかって面白かった」となると思う。
勝手な考察:
1. 左大臣は、すずめのお父さん?
父親のことが語られない2組の家族。すずめの家族と神戸のホステスさんの家族。
神戸の方は、ぼんやりと被災による貧困が続いてる様子なのかなぁ、とも思う。
すずめの方は全く父親が触れられていない。また、なぜすずめだけ「ミミズ」が見えるのかも語られていない。お父さんは、閉じ師、だったと思う。
すずめが父親のことを語らないくらい前(物心付く前)に亡くなったとされているのでは。実際は左大臣になって。すずめが(簡単に?)自分が要石になる覚悟を決められるのも閉じ師の血が影響しているのでは。
2. 「うちの子供になる?」
この言葉は2回でてくる。宮崎で大臣にすずめがかける言葉。すずめは3.11のときにおばさんにこの言葉を言われて宮崎に移り住んでいる。「うちの子供になる?」という言葉が並大抵の覚悟ではすまない言葉だということを、すずめは知らずに初めて会った猫の大臣にかける。東北では記憶として3.11のときにおばさんからかけられた(だから宮崎に行ったともすずめは言う)ことを思い出す。おばさんの覚悟は並大抵ではなかった、それを知る旅でもあったと思う。
3. 大臣は誰?何がしたかった?
これがわからない。すずめのおかあさん?、とも思ったが、いたずら好きだし声が子供の声なので違いそう。左大臣の子供?すずめの兄弟?うーん。わからない。
ずっと昔から要石だったのであれば、人身御供にされた子供、かなぁ。
そのうちに新海監督も思いつかなかったような、すばらしく辻褄の合う解釈がどこからかでてくるのがネットの良いところなので、しばらく待ってます。
3.11 のことを扱って不謹慎かといえば、そうではないと思う。
「復興五輪」といいながら東京オリンピックを開催し、賄賂で捕まってる方々のほうがずっと不謹慎だと思う。
Posted at 2022/11/13 11:59:54 | |
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アニメ | 音楽/映画/テレビ
2019年08月04日
アニメ「千と千尋の神隠し」では、千尋を(「君の名は。」の作画監督でもある)安藤雅司さんが非美人にしようとしけど、宮崎監督から美人寄りに修正され戻された。さらに、安藤さんが修正するバトルが続いたらしい。
Wikipedia の「安藤と宮崎の緊張関係」参照。
宮崎監督は、過去、そんなものはないと言われても「美しい世界」があると本で主張。
もちろん「美しい」の定義は上っ面なものではなく哲学まで含めた美しさだろう。
しかも宮崎監督は若い頃から女性を描くのが下手とずっと公言。
今朝ドラ「なつぞら」でヒロインが担当した長編映画のモデルである「太陽の王子ホルスの冒険」のヒロイン、ヒルダを森康二さんが描いた絵が宮崎の理想像。
森さんにはかなわないと宮崎監督は思っている。
確かにヒルダの絵はすごい。アニメ「フランダースの犬」のキャラクターの絵を描いた人が森康二さん、と言ったら多くの人はなるほどと思うだろう。
今、東京国立近代美術館の「高畑勲の世界」でヒルダのキャラクターデザイン
検討時の複数案(森さん以外の人が描いた案も)を展示中。先日行ってきました。
入館者に海外の方々の割合が多くびっくり。
「高畑勲展」というより「朝ドラ「なつぞら」の舞台裏」とPRした方が入館者数が上がりそう。宮崎駿監督を含むレジェンドたちの自筆絵もたくさん展示されている。
絶対観に行った方がいい。
しかし「君の名は。」の三葉は美人だよね。ストーリー中も美人として扱われている。安藤さんも「千と千尋の神隠し」の後、色々(アニメ「ももへの手紙」沖浦啓之監督、の興行収入での不振とか)あって、美人も描かなきゃなんだろうか。千と千尋は後半、宮崎監督に美人寄りに修正されちゃったけど、「君の名は。」の彗星衝突直前の三葉は「怖い顔」にした。このシーンは、安藤さんが尊敬する沖浦啓之監督が作画している。
ある意味、千と千尋の逆。三葉はずっと美人で、最後、美人と言うより鬼気迫る男っぽい顔。安藤さんのリベンジなのかもしれない。
Posted at 2019/08/04 17:44:48 | |
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アニメ | 日記
2019年03月24日
アニメの『ケムリクサ』を、「もう一つ、つまんないなー」と思いながら1話からずっと録画してみてた(amazon prime に入ってるので、全部後からみられるんだけど)。
「お、面白くなってきた」と段々思ってたんだけど、11話!
涙腺崩壊!
話がひっくり返った。1話から再度観る。
すげー、伏線(誤解から、つまんないなーと思った所だった)をほとんど回収しちまってる。
ま、まあ、騙されたと思って、どっかでケムリクサを1話から観てみて下さい。
次の12話が最終回。
Posted at 2019/03/25 01:06:20 | |
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アニメ | 音楽/映画/テレビ
2018年10月28日
大人こそアニメ映画「若おかみは小学生!」を観に行った方が良いです。
夫婦で行きました。妻はぼろ泣きでした。
お涙ちょうだいではないです。抑制が効いてます。
タイトルと絵柄からくる印象(忍たま乱太郎みたいな)は良い意味で裏切られました。
絵柄も今時のアニメに近いキャラクターも登場します。
とにかく絵がうまいです。
これ、ジブリアニメとしてコマーシャルしても、監督の経歴上そんなに間違いじゃなかったのに。
既に一部地域では不人気(なんで?)のため上映が終わってます。
一方で都会では上映が再び増えつつあります。
もし近くで観られるなら行った方がいいです。
いつもはパンフレットを買わない妻が自分から買ってましたから(笑)
Posted at 2018/10/28 19:46:58 | |
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映画 | 日記
2018年08月25日
アニメ映画「未来のミライ」を見に行った。
以下、(-----)の線までネタバレ無し。
タイトルやCMで面白そうとずっと思ってたのと、昨日は金曜日でユナイテッドシネマの会員?は1000円だったから。
1000円なら面白い映画では(笑)
金曜日の夕方なのにおそらく一番大きな箱(シネマコンプレックスなので上映した部屋)はガラガラ。
予約時に確認できた隣から横一列に予約してた人たちも来なかった。
5才未満のこども二人連れの家族連れ、カップル、20代後半から30代の友人2人連れの人たち(この辺は1000円で観られる会員さんだろう)。
感心したのは私の後方の席のこどもたちがぐずらなかったこと。
小さな子が「大きな音だったねぇ」と言っている様子も聞こえてきてた。
終わった後に母親の方が「眠くなかった?」と聞いてたけど、子供の方は子供番組を観た後のように笑顔でした。
男の子を子育てしてる私は、独身や若い人たちと比べると、映画の意図や面白さがわかりやすい観客層だったと思う。
位置づけはNHKでよくみられる「短編集」かなぁ。
「音」に関してもう一つ頑張っとけばなぁ、と思いました。
まさにNHKの「子供向け」にするように。
・音の使い方が下手だった?
最後の方は効果的に音楽が使われてたけど、全体的に「詩的な内容」なのでNHKの「おはなしのくに」のような構成にすればよかったのに。
語り手を付けて(「君の名は」では市原悦子さんが話を引き締めてた)、詩的なBGMを付ける。
ネットでさんざん言われてるみたいだけど、主人公の男の子の声を本物の男の子にする。
上白石萌歌(妹の方)さんが悪かったというより、視聴者層として敢えて子供を狙ったものにした方が良かったと思う。
おそらく若い男女に観て欲しかったための作戦だったんだろうけど、「ハウルの動く城」のマルクル役の神木隆之介君のような子役も探せばよかったのでは。
以下ネタバレです。
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子育てをした身としては、あれくらいの年齢の男の子が現実ともつかないことを口にすることはあるので、庭を中心に不思議なお話が複数生まれることは特に不思議に思わなかった。
違和感があったのはネットでも書かれているとおり、「くんちゃん」の家族がお金持ちだったこと。
庭付き一戸建てを都会に持つ。父親は自宅で仕事してても高収入。
お金持ちでもかまわないんだけど、それをお金持ちとして描かなかったことに、なにか壁を感じた。
これは成功した細田監督一家の話なんだと。
都会なら男の子が部屋で走り回れば、下の階の人から苦情がでることを気にするのが一般的な家庭です。
ストーリーとしてはずっと同じ街(いや、都会だって(笑))の神奈川?に代々住んでたようなので、家を古い家にすればよかったのに。または、実家で起こるお話にするとか。「サマーウォーズ」みたいに。
「社会の世相批判」を背景に入れるのが細田流だとすると、間違いなく今回の「愛情の取り合いによる嫉妬」、は社会人になっても「くんちゃん」と同じ行動をする若者たちへの批判。
褒められて育ち、一人っ子が多く、兄弟がいても(変に平等に)育てられ、兄弟げんかがないことを自慢する若者たちへの批判。
仕事柄若い人とつきあうけど、確かに他人同士で今回の「くんちゃん」が駄々をこねてるような行動を起こす人がとても多くなった。悲しいことに、それが嫉妬だとか「兄弟げんか」のような子供っぽい感情から起こることだと本人は自覚できていない。そのため、「意地悪された」とか「どうして僕or私だけひとつひとつ親切に教えてくれない」と上司や先輩に訴える。細田さんが映画作成スタッフを見て感じていることだろう。
そう、そんな若い人が多いので、その若い層からこの映画は毛嫌いされる。自分をみているので。
その意味では成功している。しかし、映画観てもらわないとそのメッセージも伝わらない。
上白石萌歌(妹の方)さんは損な役だったと思う。だって、そのような子供のような我が儘な若者と位置づけられた形で声をあてたのだから。
上白石萌歌さん自身はそんな子じゃないです(笑)。
何度も書いてますが上白石姉妹は私の知り合いのお嬢さんなので。
その応援(入場者数に貢献)もあって観に行ったことも事実です(笑)。
兄妹間の親の取り合い、は私自身が長男なので心情はよくわかる。「お兄ちゃんでしょ」です(笑)。
今この歳になっても、いやだからこそ、「お兄ちゃんでしょ」は強く運命でのしかかる。
例えば父の延命をどうするか、とか。うちの親族だと、長男が決めるもの、とある年齢からわかってた。決めるというか頼られるというか。
時がたつにつれ「理屈抜きにして」兄弟を守る気持ちは強くなる。
最近の世の中が世知辛いから肉親を大事にするということもあるのかも。
しかし、福山雅治はどこまでもかっこいいわ(笑)。
ひいひいおばあちゃんとのかけっこのシーンで「くんちゃん」が登場してたら良かったのになぁ。
見えない存在でもいいので。こどものかけっこは絵になりますよ。
ゴール直前で友達を待って立ち止まったりとか(笑)。
Posted at 2018/08/25 06:50:44 | |
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