• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2012年04月10日

心得

心得  今日の電車内。

 乗降口脇の袖部にカップルが居座る。
 会話内容から推察するに、二人は学生のようだ。ただ共にスーツを着ているので就職活動中か、入学式など祝賀行事に参列する目的で乗り合わせているらしい。
 
 都心に近づくにつれて、混雑が増す。陽が当たる側に立っているせいもあって、体感気温もかなり高い。
 他愛ないカップルの会話が、段々「まだ乗ってくんのかよー」「あぢー」「うぜー」「ありえね~」など、耳障りな愚痴の連発に変わる。

 毎日乗っている私からすれば、貴方たち二人を含めいつもはこの時間に乗車しない人たちが、この時期に限って利用するから激しく混雑するし不快なのだが。。。。
 このカップルではないが入口で立ち塞がったり、大きな荷物を床に置いたり、大きな音漏れに気付かぬまま音楽を聴いていたり・・・・通勤電車のプロトコールを心得ない利用者が増える時期でもある。



 閑話休題。


 中吊り広告で、6月末から東京都美術館で開催される「マウリッツハイス美術館展」の案内があった。
 目玉は何と言っても、フェルメール作「真珠の耳飾りの少女」。

 またの名を「青いターバンの少女」と呼び、総数で40点に満たない希少なフェルメール作品の中で、最も人気の高い一枚だ。
 フェルメールは、「夜警」で有名なレンブラントと同時代のオランダ人画家で、その作風に惹き付けられる人は古今問わず数多い。

 そんな一人に、ナチス・ドイツの国家元帥ゲーリングがいた。しかし、ナチス解体後押収された彼のコレクションは、精巧な贋作だったことが判明。フェルメールおよび彼の作品については、寡作が故に沸騰する人気と売買価格の高さ(「真珠の首飾りの少女」は、現在売りに出されれば2億ドルは下らないとも言われる)と同時に、しばしば贋作の多さで語られる。。。。。。。
 
 などと、とっさにブログネタを思いついたが、中吊り広告に拠れば「本物を見ないと語ってはいけない絵画」なのだそうだ(苦笑)。



 この中吊り広告を企画した代理店は、挑戦的なフレーズで注目を集めたかったのだろうが、美術展の広報としてはセンスが悪い。
 フェルメールの研究家がフェルメールを見ずして論文を著すのはどうかと思うが、この中吊りを見て美術館を訪れるのは、一般大衆であって専門家ではない。
 
 私も経験があるが、或る作家が好きで、図録や美術全集などで作品をを眺め知識を得ていくうちにどうしても本物が観たくなり、ヨーロッパやアメリカに旅立つ。あるいは運良く日本国内で展示されるので出掛ける………のが普通なのではないか。
 誰の作品であれ傑作と賞賛される絵画は、予備知識などなくても愉しめるし圧倒される。しかし一方で、語れるくらい薀蓄を仕入れてから鑑賞すると、より深く味わえるのもまた事実である。



 「シーザーを理解するためにシーザーである必要はない(マックス・ヴェーバー 『理解社会学のカテゴリー』)」
 私の好きなアニメ映画「イノセンス」にも、荒巻およびトグサのセリフとして引用されている名言だが、本物に接することは、理解を深めるに際し重要な経験であるものの、理解するための絶対条件ではない。
 「イノセンス」の引用ついでに、バトーの「世界は偉人たちのレベルで生きるわけにはいかねぇ」も、付け加えておこう。

 美術展は専門家だけが、研究者のレベルで鑑賞するものではない。
 芸術が好きでさえあれば、どんな作家の作品であれ図録やネットを通じて理解することはできる。
 その上で、時間とお財布が許せば、本物を観に行けばよい。

 私も、夏の予定を一日空けておくことにする。
 
ブログ一覧 | | 日記
Posted at 2012/04/10 12:54:36

イイね!0件



タグ

今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

クロスト君は納車から9ヶ月目270 ...
Jimmy’s SUBARUさん

サブロクとシトロエンGSと
キャニオンゴールドさん

🍜グルメモ-645- 町田商店( ...
桃乃木權士さん

今日は有楽町からスタートです🏃
こいんさん

昼間暑いけど、夕方は涼しくて洗車ち ...
ウッドミッツさん

ヤッパリ ステーキだね 🥩 50 ...
kz0901さん

この記事へのコメント

2012年4月10日 16:35
こんにちは。

カバンを持たずに通路やドア前に放置する学生が増えたよね。
私も気になっていて、仕方がないので、“見えないふり”して蹴飛ばしてあげます。

ついでにドア前に仁王立ちしようものなら「すいません降ります」と言って肩をぶつけます。
ひどい大人ですねぇ…(てへ)

今は叱ってくれる人がいないですよね。逆恨みがあるので。

冒頭のカップル、イタイですね。

私「うるさいなぁ~」ってつぶやいてしまいそうです。
コメントへの返答
2012年4月10日 20:37


 こんばんは。

 今日の帰り、地下鉄で隣に座った40絡みのケバいオバさん(マスクをしていたので顔全体は見えないが、アイラインが有り得ないくらい派手)のイヤホンがうるさいので、肩をポンと叩いて「音漏れがしているので絞ってくれませんか」と声かけしたら、「触るな」「キモチワルイ」などと逆ギレ。
 じっと睨んだら、「触らないほうがいいと思いますけど」と何故か敬語になって、ボリュームを下げておりましたが。

 朝のカップル以上に、イタい女でした。



 鶴瀬駅を利用する、かような精神的貧乏人は、厄がうつるので外出を控えていただきたいですな。
2012年4月10日 16:59
こんにちはm(__)m
普段利用する人から見たら
そのカップルの存在が
「うぜー」「ありえね~」
ですね(-"-)
コメントへの返答
2012年4月10日 20:41

 こんばんは。

 札幌都市圏もかなり混雑すると思いますが、以前千歳空港行きの快速電車で、ユニークな人を見かけました。

 ひたすら自分の手に絆創膏を貼り、両手をミイラ状態にしてもなお、重ねて貼り続けていました。
 ちょっと怖い女でした(汗)。

 
 普段利用していない電車で、そんな人に会う私の巡り合せもどうかと思いますが(苦笑)。
2012年4月10日 18:13
こんばんはw

> 本物を見ないと語ってはいけない

ふふふ…
人を選ぶ言葉ですね。
コメントへの返答
2012年4月11日 8:15
 
 こんばんは。

 例えばクルマなど工業製品や、工芸品の良いもの、つまり「お金で買える本物」は人を選ぶと思います。
 私がフェラーリ(工業製品というよりは工芸品ですが)に乗っても似合わない、というより相応しくない自覚があります。

 メルセデスは「働く人のクルマ」ですが、フェラーリは「貴族のクルマ」だと思っていますから。


 でも芸術は違うと考えます。
 むしろ「語れる」のは本物を見る前までかもしれません。
 本物を前にすると、国籍や性別・年齢に関係なく言葉を失い無力感すら覚えます。

 美は、選択や差別をすることなく、全ての人を圧倒し、勇気付け、幸福にするんですね。 



 お金で買えない「芸術」(2億ドルでフェルメールを買ったところで、その美までは所有できない)を、「お金で買える本物」と同じように扱っているところに、広告代理店が打出す企画の浅はかさというか、違和感を感じるのです。


 もしかしたら、読みが浅いのは私のほうで、主催者側はこんなことを考えているのかもしれません。

 本物を見た上で、見てきたことを自慢げに話す人は、普通の人。
 本物を見た上で、何も語らない人、またはせいぜい「あなたも見に行ったほうがいいよ」とだけ言う人は、理解している人。

 だとしたら確かに、人を選ぶ言葉ですね(笑)。

 

2012年4月11日 7:57
含蓄のある言葉ですが私には口にできそうにないです・・・w

それでも、本物、一流に触れるというのが大切な事であるというのは分かる・・・ような気がします(^^;

コメントへの返答
2012年4月11日 13:00


 こんにちは。

 私の書き連ねている言葉にしろ、目にする他者の言葉にしろ、きっと何処かにオリジナルがあって、自覚するとせざるとに関わらず「口にさせられている」のだと思っています。
 まさに「イノセンス」のセリフの世界ですね。


 本物に触れるという、言わば神聖な経験を、あまり商業ベースの言葉で語って欲しくないな~という、愚痴でした(苦笑)。
 

プロフィール

「育児 http://cvw.jp/b/1043160/47663127/
何シテル?   04/18 19:29
 建設業界で禄を食む文系出身(経済学専攻)のプロフェッショナル・エンジニアが、愛車整備・政治経済・文化学術・スポーツそして土木施工の現場で日々記した野帳を公開し...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2024/5 >>

   123 4
5 67 8 9 10 11
12 131415161718
19202122232425
262728293031 

愛車一覧

メルセデス・ベンツ Gクラス カブリオ メルセデス・ベンツ Gクラス カブリオ
 G320カブリオ(V6・ミッドナイトブルー)を愛車にしています。  息の長いGクラスで ...
その他 その他 その他 その他
 サントレックスの軽規格折りたたみトレーラーです。以前所有していたキャンピングトレーラー ...
メルセデス・ベンツ Gクラス (ハッチバック) ジュラシックワールド・オフィシャル (メルセデス・ベンツ Gクラス (ハッチバック))
G550 as a movie star! Coming soon.
メルセデス・ベンツ Gクラス (ハッチバック) ドイツ連邦軍多目的車輌「ヴォルフ」 (メルセデス・ベンツ Gクラス (ハッチバック))
 ドイツ連邦軍が1989年~1994年にかけて10,000両以上もの大量調達を果たした軍 ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation