根絶

　有力経済誌「週刊東洋経済」10月25日号の記事「踏切事故ゼロへの限界～事故の根絶は難しいのか～」に注目。

　今日は「鉄道ファン」「鉄道ジャーナル」「鉄道ピクトリアル」「レイルマガジン」等々、鉄道関連専門誌の発売日。加えて今月14日が「鉄道の日」であることから、この前後は一般経済誌も鉄道関連特集を組むことが多い。
　昨日発売の「週刊東洋経済」最新号が、まさにそうだった。


　国際的な政治・経済情勢に絡めた鉄道関連事業の周辺環境についての分析は、さすがに老舗経済誌ならではのクオリティ。
　特に民主党・オバマ大統領の影響力低下＝共和党勢力の伸長に伴い、我が国鉄道業界が期待を寄せるアメリカでの高速鉄道整備が停滞していることや、拡大が見込まれる途上国マーケットにおいては、必ずしも300㎞／hオーヴァーのスペックが求められていないことなどが目新しかった

　読み応えのある記事が目白押しな中、敢えて地味ないしはネガティヴとも言えるコンテンツを選んだのには理由がある。


　
　たまたま今日になって知った、先週の人身事故の顛末。
　携帯電話を見ながら自転車に乗っていた高校生が、遮断機の下りている踏切に突っ込み、そのまま跳ね飛ばされたらしい。恐らくはイヤホンも装着して、警報音が聞こえない状態で事故を起こしたのだろう。

　前途ある若者の死と言えど、私はこの事故に関して全く憐憫の情が湧かない。
　似たような行動を取る馬鹿者は他にも多数いて、この度の顛末を聴いても呆れこそすれ驚きはしなかったし、同じ事故はきっとまた発生するものと予想している。



　「週刊東洋経済」の記事に拠れば、踏切事故に対する鉄道会社のスタンスは概ね「ウチは被害者」というもので、踏切事故に関し抜本的な対策を打とうという意識は無いという。
　しかし鉄道会社の損害は、保険や当事者もしくは遺族への訴訟を経て回収できる。実際に多大な被害を受け、結局泣き寝入りさせされるのは数多くの善良な利用者である。

　スムーズかつ時刻通りに目的地に到達することが鉄道会社が提供する輸送サーヴィスの究極的目標であるなら、利用者をさておいて被害者面するのは止め、携帯電話に魂を吸い取られた愚かな高校生が突っ込んで来たとしても列車を止めないで済むような対策を願いたいものだ。


　併せて、警察および学校においては、携帯電話を見ながら、イヤホンを装着しながらの危険な自転車運転の取締り・摘発・指導を徹底してほしい。
　電車に轢かれるのも悲惨だが、電車の運転手は責任を問われないのに対し、街頭での対自動車との事故ではドライヴァーが刑事・民事上の責任を負わされる。

　どうせロクな人生を送れる筈もない、愚かな高校生の前途が途絶えようと知ったことではないが、少なくとも私の人生を台無しにするような事態だけは御免蒙りたい。