四旬

　今日4月5日は、キリスト教世界において「復活祭」の佳き日。
　春分を過ぎて最初の満月を迎えた直近の日曜日と定められている。

　その満月は、「花の下にて春死なん」と詠んだ西行法師が愛でた旧暦如月の望月でもある。



　本来は「本庄サーキット」におけるイヴェントに参加してから、以前大変お世話になった「有田屋」さんへ長男を伴って出向こうと思っていたのだが、生憎サーキットのイヴェントが中止の憂き目に遭ってしまったため、予定を変更して「安中教会」の御堂へお参りさせていただいた。

　大谷石で組まれた教会の建物は威厳に満ちつつも、江戸時代から続く安中の旧市街に溶け込んでいる。
　内部は思いのほか明るく、それでいて非常に質素な誂えになっているのが印象的。装飾の壮麗さに気を散らされることなく、牧師の説話に集中するすることができる。

　地元に古く長く根付いた信仰の優しさ、暖かさ、寛大さに触れ、我が子とともに心洗われる体験を果たした。





　そしてもう一つ、佳き発見が。
　安中の桜は、まさに今が盛り。

　西行法師でなくとも、見上げれば無上の悦びを覚えなんとする見事なソメイヨシノの下で、長男と2人行く春を惜しみつつ、充実した週末を愉しんだ。




　桜は潔さの象徴として、時に自刃・自爆攻撃を正当化するロジックで用いられることもある。
　しかしそれは、極めて狭小かつ刹那的な物の見方に過ぎない。

　また巡り来る春に、見事な花を咲かせ万人に愛でられる桜もまた、「復活」の象徴なのだと信じる。