防災

　全国紙・産経新聞が運営するニュースサイト「産経ニュース」の配信記事から『【熊本地震】石破地方創生相「『防災省』の議論を」』にオブジェクション。

　自身は防衛大臣(→自衛隊を所管)、父君が自治大臣(→同消防)および国家公安委員長(→同警察)を務めた人物なれば、防災対策に対し一家言お持ちであることは理解できる。

　しかし、改めて「防災省」を立ち上げることには、大いに異論がある。
　既に相応の装備と実力を備えた陸上自衛隊・自治体消防および警察組織が存在する以上、それらの活動を調整する立場の高官が必要でありこそすれ、屋上屋を重ねるが如き新組織を整えても無駄が増えるだけだろう。


　もう一つ、石破大臣に欠けている視点がある。
　行政組織すら壊滅するような、東日本大震災をも上回る大災害に見舞われた際に、「防災省」とやらが有効に機能するものか。

　新しい組織を設置して災害対策・危機管理の強化を企図するなら、既存の行政組織の延長上ではなく、政府が統治機能を喪失する事態をも想定して行政機関とは一線を画すべきだと考える。



　ここまで書き進めれば、弊ブログに長く親しんで来られた方は書き手が何を言いたいか、察しがつくだろう。
　東西冷戦の最前線に置かれ、核戦争で連邦政府が壊滅することも想定に入れて整備されたドイツの民間災害対応組織・THW（Technisches Hilfswerk＝技術支援隊）が、非常に参考となる。


　石破大臣の志すところは良しとしても、それを具体化するに際しては従来の価値観に囚われず、自由かつ柔軟に思索を巡らし、諸外国に範を求めることも必要である。