
記事執筆陣に「お金に関するプロフェッショナル」を据えたとするサイト「ファイナンシャルフィールド」の配信コンテンツから、本日付け
『ベンツのゲレンデに乗りたいのですが、年収「220万円」では無謀でしょうか?中古車じゃないと無理ですか?』に失笑す。
記事の末尾に署名は無く、ファイナンシャルプランナーとの明記があるものの、そもそも「お金に関するプロフェッショナル」が大仰なコメントを下さなくとも、「クルマを所有すること自体が大丈夫ですか?」という年収ではある(一般論として)。
私が失笑したのは、年収220万円で「ゲレンデに乗りたい」という相談者(記事執筆の為に相談がでっち上げられ、実在するのかは極めて怪しいが)ではなく、記事ライター氏が年収水準のデータを捏ね繰り回した末に、「リース契約やレンタカーサービスなどを検討したりする方法もあります」と提案している点である。
ゲレンデは値落ちが緩やか(=リースアップ後の残価が高い)なので、
同じ価格レヴェルのクルマと比してリース料が低減される可能性はあるが、基本的にリース料は新車価格に正比例するので、リース契約にしたから極端に安くなる(=年収220万円の中から無理なく支払える)というものではない。
万が一、リースの仕組みを理解せず記事を書いているのだとしたら、「お金に関するプロフェッショナル」が聞いて呆れる。
また、ゲレンデを扱うレンタカーサーヴィスの一例として、私がお世話になっているショップの料金を参考情報URLに載せた。12時間借り出して55,000~66,000円+保険料。年収220万円=月収18万円ちょっとの方が、気楽に支払える金額設定にはなっていない。
結局のところ記事ライター氏の提案は、何ら現実的でなく、最終的なソリューションは「年収を上げましょう」に行き着いてしまう。それでは「お金に関するプロフェッショナル」のコミットが無くとも、分かり切った結論でしかない。
サイトとして実りの多い記事としたいなら、「クルマに関するプロフェッショナル」にも取材して、より現実的ないしは夢のある提案(
佳きショップを見付け、程度の良い中古車を割安に購入し、DIYも交えながら整備を愉しむ、等々)を授けてほしかった。
ゲレンデのオーナーである私自身も、若い頃はゲレンデに憧れつつ、手が届くクルマだとは思っていなかった。
ただ、メルセデスを最初の愛車にするという目標は捨てず、ゲレンデのコードの一部を継承した
初代ML(W163)を、新車で手に入れた。そのために仕事に励み、貯金を心掛けたのは、今となっては佳き思い出である。
MLが代替わりし、フレーム構造を廃したW164となったタイミングで、新型MLへの更新を断念し惜しみつつW163と別れ、
直6エンジンを搭載した国内最古級の300GELを中古購入しゲレンデ・ライフをスタートした。
型落ちして間もないMLが、それなりの値段で売れたため、新車でMLを購入した当時ほどの経済的負担は生じていない。
購入後はフューエルデスビの不調に悩まされたが、当時の自宅近所で面倒見の良い輸入車専門の修理工場を見付けて調子を維持し、大変お世話になった。
MLを所有していた頃に知り合った中古業界に詳しい方には、300GELのユーザー車検や構造変更申請にお付き合いただき、経験を積むことができた。
この経験を活かして、現在でも
軽トレーラーはユーザー車検を通しているほか、その軽トレーラーの「機関車」となってきたゲレンデや
プリウスの
「950登録」(出力や車重から牽引能力を検討し、連結可能なトレーラーの最大車重を車検証に明記する)を自力で済ませてきた。
MLの後半から、ずっとビルトインガレージの家に暮らしていたことから、塗装の保護を含めクルマのコンディション維持には好条件となっていたが、ならば「カブリオレ」も雨曝しにすることなく保管できるな……と考えたのが、現在の愛車にスイッチするきっかけだった。
とは言え、極めて珍しいモデル(今なお自分の愛車以外で、カブリオレの実物を見たのは数台しかない)故に、希望したからと言って直ぐにタマが出てくるわけではない。
それがどうか。現在お世話になっているショップに相談したところ、然程待たずに「これどうですか?」とご返事が来た。しかもダメ元で伝えた「できれば青系で」という要望も満たす、
midnightblueのカブリオレだった。
提示された価格も現在では考えられないほど低廉で、この奇跡的な出会いを見逃す選択肢は、私の中で絶無だった。
こうして改めて振り返ると、ML320(W163)・ 300GEL/G320cabriolet(W463)といったモデルに巡り合えただけでなく、様々な出会いや交流、そして得難い幸運に恵まれていたことが、お分かりいただけるだろう。
仮に「相談者」とやらがゲレンデに乗りたいのであれば、新車もしくは程度の良い中古車を購入し、維持していくだけの収入を稼ぐことが必要であるが、それは条件の一部でしかない。
メルセデスを長年扱ってきた某正規ディーラーのコピー「クルマはつくらない。クルマのある人生をつくっている」で示されている通り、ゲレンデをどう人生における彩りとして活かすことができるか、そしてトラブルすらも愉しめるような、ゲレンデのことを語り合い互いに助けの手を差し伸べる友や、安心してメンテナンスを任せられるショップとの出会いに恵まれるか……に懸っている。
そのタイミングが訪れるまで、少々気長に目標を立てて、仕事に励み貯蓄に勤しむならば、きっと夢は叶うものと考える。
Posted at 2024/07/06 16:16:43 | |
トラックバック(0) |
ゲレンデ | 日記