2005年02月15日
ペリメーターフレーム
フレームの話題が出ているのでちょっと専門的に書いてみようと思う。現在の市販車のフレーム構造はほとんどモノコックである。現行のクラウンもモノコックなので大半いやほとんどモノコックだろう。唯一ペリメーターフレームを謳っているのがマツダのアテンザ。このクルマがペリメーターというのは知る人は少ないはず。
モノコックはボディそのものがシャシフレームという構造なのでフレームが無い。モノコックの構造的メリットは大幅な軽量化が出来ること。フレームがないのだから単純に100kgは軽く出来る。また衝突時のエネルギーをボディ全体で受け持たせることで、衝突エネルギーを吸収させ、キャビンへの衝撃を緩和しやすいという特徴がある。こんなことから安全性や省エネと騒がれる時代にはピッタリのボディ構造なのだ。私のクラウンはペリメーターフレーム構造である。フルフレームとも呼ばれるが、実際にはフレーム構造は多種多様存在する。はしご型、X型、バックボーン型、プラットホーム型、トラス型などありひとくくりにフレームと呼ぶには問題あるかも知れない。ペリメーターフレームというのは、ボディフロアの周囲にフレームを付けたもので、中間にメンバーを通さないことでフロア構成を低くできる。しかし、その影響としてねじり剛性、曲げ剛性が弱くなる傾向が強く、ボディシャシと一体化することで剛性を上げる構造になっている。メリットとしては他のフレーム構造よりは軽量でコストが安い、そして衝突時のエネルギー吸収では、モノコック構造よりもボディ変形を抑えることができる利点がある。しかし、実のところペリメーターフレームというのはモノコックの亜種であるという考えもできる。モノコックボディとベースになるプラットフォームの融合(先に述べたボディシャシと一体化させることで剛性を強化しているという記述)ということは、あながちフレーム単体で強度を出しているわけではないということなのだ。ある意味どちらの良い部分と悪い部分を共有している中途半端な存在でもあったのかも知れない。
フレームがあるとないの差は、単純には乗り心地の違いである。フレームがあるクラウンとフレームのないセルシオでは、座面位置がクラウンの方が30mm~40mm程高く視界がすこぶる良い。クルマへの振動もフレームからブッシュを介して受けるので滑らかであり、モノコック車のゴツゴツとした細かい振動を感じることはない。初期のセルシオではクラウンよりもエンジンメカノイズが高いということが指摘されていた。直列6気筒の静かなエンジンとの組み合わせは最高の静寂性を生み出す。おまけに直進安定性に関してはバツグン。一度味を覚えてしまうとなかなか離れられないと思うのだが、逆にフルフレーム故の欠点もある。フレーム剛性が強く足回りがついていけないことだ。クラウンを運転した方はわかると思うが、コーナーでの限界が早くかつロールがデカイのでコントロールしづらいのだ。慣れるとステアリングを切り返すタイミングでしのげるのだが、いきなりリアが出ることもありタイトなコーナーの連続ではアンダーを出してしまう。まぁクラウンのようなクルマを峠に持ち込む輩などいないだろうが、あくまでも性格的な走りとしてはロングツーリングに向いていると思う。
フレームがあるということは正直走りを求める人には向かないが、落ち着いて単に静かな走りを楽しみたいという人に向くのではないだろうか。
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Posted at
2005/02/15 19:55:21
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