
あんまり時事ネタは書かないわたしですが、アペクセラ(旧商号:アペックス)が民事再生法を適用したというニュースを見て、思わず「ああ、うまく行かなかったんだな」とつぶやいてしまいました。
アペックスといえば軽量なN1マフラーが有名ですが、もうひとつ有名なのがフルコン(フルコンピュータ)、パワーFCです。わたしもセリカに乗っていたときには付けていました(写真)。
このパワーFCの歴史をひもとくと、HKS社のF-CONというフルコンにたどり着きます。F-CONはエンジンの仕様に合わせて自由に設定することができますが、この設定作業は現車合わせをする必要があります。売って装着すれば済むパーツではなく、しっかりクルマに合わせて調整が必要なパーツなわけです。このF-CONの開発に取り組んでいたのが長谷川兄弟。
で、この現車あわせをしっかりやらないととんでもない事故がおこるわけで、実際に事故が発生したわけです。ここで長谷川兄弟の見解の相違が発生し、弟さんが飛び出して会社を作っちゃいました。それがアペックスです。
アペックスでもフルコンを作ることにした長谷川(弟)さんは、商品の販売体制に見直しをかけました。まず、フルコンを車種ごとに別商品として設定。初期状態でもデータを格納してあり、装着直後にエンジンが問題なく動き、安全運転が可能な状態にしておくこと。次に、装着時はアペックスの認証を得た認定工場で、必ずメカニックが装着して、問題がないことを確認してからお客さんに引き渡すこと。
これによって、アペックスの目の届かないところでフルコン、パワーFCの装着ミスによる事故を防ぐことができると考えたわけです。商品を売って終わりではなく、間違いなく装着して安全に運転を楽しめるところまでをフォローする体制を構築したのは、素晴らしいと思います。
が、時代の流れによってスポーツタイプのクルマが大幅に減少し、パーツメーカーがにっちもさっちも行かなくなっている状態で、アペックスはクルマのパーツ供給から環境事業という、まったくいままでの仕事と違う分野に向かうことに決めてしまいました。
ほそぼそとパーツを売り続ける、メーカーの純正パーツをOEMで供給する、あらゆる製品のラインナップを揃えて商社化するといった選択肢がありました。ここで新規事業に全力投球したのが、読み違いだったのかな…。
パーツメーカーが倒産するのはいまに始まったことではありません。これからもこのようなニュースが飛び込んでくるでしょうが、これも時代の流れってやつなのかな。
HKS、アペックス、BLITZ、TRUST。当時の4大パーツメーカーですが、その一角がこうなってしまったのはとても残念です。
ブログ一覧 |
その他 | クルマ
Posted at
2007/02/06 21:41:23