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nino8446のブログ一覧

2022年05月31日 イイね!

0W-20の作り方

次回検証はもう少しお待ちください。
只今実験機材を集めてます。試験管挟みが届きません。

最近は寝ても覚めてもエンジンオイル。
今日はエンジンオイルのブレンドの資料を拾ってきました。
これを見ればあなたも今日からオイルブレンダー?
SKルブリカンツのパートナー向け資料のようなのでもしかしたら削除するかもしれません。
このブログは私が書くことで覚える私向けの教育資料ですw

前回までのおさらい
鉱物油を水素化精製(分解)処理したもので粘度指数(VI)が120以上のものをAPIカテゴリーGrIII、VHVIと呼んでいます。
VIが130以上でVHVI+とかGrIII+とか、140以上でGrIII++とか俗称もあります。
VIが大きいほど温度変化に対する粘度の変動が少なく安定したオイルと言えます。
HVI=Hi Viscosity Index(≧100)
VHVI=Very High Viscosity Index(≧120)
XHVI=eXtremery High Viscosity Index(≧140)

XHVIはシェルの商標なので一般呼称ではありません。

PAOがVI=120以上からラインアップがあるのでVHVIはPAO以上だから合成油と表記しても問題ないよね?と言ったところが合成油という表記が紛らわしくなってしまった発端。
最近はVHVI級の性能だから合成油でいいよね?ってなHVIも出てきてメチャクチャ…
ちなみにヨーロッパは合成油表記は禁止。
Mobil1もEU向けはSyntheticの表記無し。似たような表記はあるけど。

先日のブログでもチラっと書きましたが、このVHVIは国内製油所は殆ど作ってまいせん。ソース
国内消費量の1割が国内精製品らしい。
なので輸入しているのですが、恐らくその多くをSKルブリカンツのYUBASEシリーズが担っています。(S-Oilも国内大手と提携してるから多いかも?)

VHVIの良いところは鉱物油がベースなので潤滑性能がそこそこ高く、それでいて粘度指数も高いので油膜の性能も結構いい。
PAOは耐久性がいいけど高い。エステルは潤滑性良いけど加水分解が早い。
間を取るとVHVIが一番無難?安いし。←世の中心はここ

で、私が注目してるのがGTL(Gas to liqiuds)と呼ばれる天然ガスから置換してオイルを作る製法。
シェルがXHVI、エクソンモービルは俗称無くてC18-50ホニャララとSDSに書いてるやつです。(どちらもCAS#同じ)
国内にはシェルの最終処理工場が四日市にある模様。エクソンモービルは不明。
新潟に国内メーカー6社で作ったGTL実証プラントがあるのですが、ここで作られるオイルは製品展開されてないんでしょうか?期待したいところです。(実証実験終了して稼働してない模様)
で、このGTLの性能ってどうなのよ?と思ってたのですが、YUBASEの資料に載ってました。

縦軸のNoack volatilityは250度で60分加熱して損失分を算出するテスト。
横軸のCCS visは-30度の粘度を表してます。
左下に行くほど揮発性が低く、低温時に低粘度となり柔らかいのに揮発しにくい良いオイルとなります。

で、この資料ではYUBASE+が他社のGrIIIに比較して優秀ですよ!とアピールしてるのですが、その左にはGTLとPAOが載ってます。
他社VHVIより高性能だけど、GTLやPAOよりは劣ると。
ただ、ここに記載のあるYUBASE+はVHVI+なのでYUBASE(VHVI)はどこ?という疑問は残ります。

無印YUBASEの疑問はあるもののはGTLやPAOより劣ると書いてしまっているところからすると、この二つとは競合してないということかもしれませんね。
PAOは高いから割合は増やせないし、GTLは外販してない。
そもそも価格的に競合してない。
だからメインストリームはYUBASEしかないでしょ!って感じかな?
実際シェルとモービルを除く日本の高性能オイル市場はその通りになってます。
エネオスや国内元売りも韓国製のVHVIを使ってます。


そして、YUBASEさん、ブレンドサンプル載せてます。
この表によるとこれらのブレンドはAPI SMはクリアしてるっぽいですね。

YUBASE4は柔らかいVHVI、YUBASE4+はその高性能版、YUBASE6はVHVIの硬い版。
100NはGrIIと書かれているので恐らく潤滑材としての添加剤かカサ増し用、VIIは粘度指数向上剤。
Additiveはパッケージ添加剤でしょうね。
SM規格用添加剤を8-12%程度添加すると思います。
PAO-4はPAOの中では柔らかめのPAO。

Cは-35度の粘度が一番低いので燃費性能重視。
B、D、EはHTHS粘度が2.6超えてるので諸々条件満たせばACEA C5適合出来る?
EはGrII添加の影響か揮発分が多いので無理か。
DがACEA C5かな?高そうですけど。
AはYUBASE4とVIIだけなので安く作れまっせ。って感じですかね。

で、恐らくAに近いレシピで作ったであろうオイルがこれ。
コメリの0W-20オイル、500円ちょい。


シンプルにVHVIを高配合して残りは適当に添加剤とVII。
コメリはこの粘度のペール缶はSKルブリカンツのZICオイル(中身YUBASE)なんですよね。
なので3Lと4L缶はコメリオリジナルだけど中身はZICそのままなのかも?
この予想が正しければ0W-20の割には硬い筈。
まさかYUBASE4+では無いと思いますし…
(CAS#はVHVIもVHVI+も同じなので判別不能)
余計なものが入ってませんが、自分で添加剤を追加して楽しむのもアリな感じです。
PAOは通販で4L 1.5万くらいで買えますし。
添加剤のSDSを見るとまた色々見えて来ますけど…

【追伸】
他も調べてみたらシェブロンのいい資料がありましたよ。

もうGTLとPAOでいいんじゃね?という結果ですね。PAOすら要らないような?

GrII+は粘度指数115以上のGrII鉱物油です。
国内で精製出来るので流通量は結構あると思いますがこのグラフで見る限りゴ〇ですね。
並のGr.IIIと比較しても明らかに劣ってますし。


いずれにせよVHVI、GTL、PAOの中から選べば良い、あとはコスト。
それ以外を選ぶ必要無しって感じですね。
SDSから十分確認出来るので検証する必要性を感じなくなってきた(笑)
Posted at 2022/05/31 21:58:37 | コメント(2) | トラックバック(0) | オイル | 日記
2022年05月28日 イイね!

0W-20オイルの比較検証 失敗編

昨日のブログの続編です。
検証は失敗しましたw

総額2万弱w(ESPの2つ除く)
自分のプジョーに使えるのはESPくらいなのでアルトとシビックに使うでしょう。
スペック的に半分は使えそうですが、粘度が合わないので買い足し⇒余計高い。になるのは避けたいので…







こんな感じにステンレス皿に10g前後のオイルを入れて250度まで熱して変化を見るつもりだったのですが、ステンレス皿が変形してオイルが偏る、250度に瞬間的に熱しても変化は最小限、風が強くてこの環境ちょっと危険。
ということで失敗しました。

250度にキッチリ熱するのも難しくて、
ひとまずカインズとESP0W20を焼いてみたのですが、カインズは240度で発火寸前、煙モクモク、ESP0W20は余熱で270度まで行きましたが、発火点の違いか思ったほど煙も出ず。


意外と短時間で250度前後に達してしまい、差はありましたが1分少々でした。

比較するとこんな感じ。
カインズ(左)の方が焦げた感じ出てますが、差はわかりにくいですよね。

ちょっと試験方法を再考します。
試験管で加熱時間一定で完全に焼き切ってしまおうかと思ってます。
良い案があればコメントください。
Posted at 2022/05/28 14:36:10 | コメント(4) | トラックバック(0) | オイル | 日記
2022年05月27日 イイね!

0W-20オイルの比較検証 エントリー編

先日アップしたMobil1とその他オイルのSDSのブログですが、結構PV出るので追加検証してみることにしました。

各社0W-20のエンジンオイルを購入して250度以下で規定時間熱してみて劣化具合を確認します。
耐摩耗性を測る装置を持っていないのでただ熱するだけです。
ベースオイルの違いでスラッジ性能に違いが出るか?が注目点。
不純物が多ければ焦げるよね?という安直な発想が起点w


オイルの単価は4Lか5L缶を1L当たりに換算して表記しています。


まずはエントリー商品の紹介から

エントリーNo.1
トヨタ純正 0W-20 C5ディーゼルオイル 1061円/L (以降トヨタC5と表記)



先日もお伝えした通りディーゼル用と銘打ってますが、ACEA C5認証取得しているのでガソリン車もOKです。
代わりにAPIは未適合でSNもSPも取ってません。
ベースオイルはエクソンモービル版のXHVI(GTL)とも言える「重質蒸留物(C-18-50 )-分岐、環状、直鎖」です。(以降はC18-50と記載)
鉱油は10%未満でありながら低コストと今回の検証で期待No.1オイルです。


エントリーNo.2
トヨタ純正 SN 0W-20 C5 for GR Toyota Supra 1780円/L (以降GRC5と表記)


GRスープラ純正オイルです。
輸入ボトルで形状やSDSフォーマットから察するにシェル製の模様。
鉱物油表記が最小限なのでこちらもGTLがベースオイルと思われます。
こちらはACEA C5以外にAPIのSNも取ってます。
ボトルのシール剝がしてみたらBMW Longlife-17FE+でした。
BMW用が入手困難なので、困ってるBMWオーナーはこのオイルをどうぞ。
LSPI非対応なので直噴ターボ車(GRヤリスなど)には使えません。
早くSP規格適合した同オイルがリリースされて欲しいですね。(出ました)


エントリーNo.3
日産純正 SP ストロングセーブX 0W-20 880円/L (以降日産純正と表記)


モノタロウのサイトの表記では非危険物(引火点250度以上)となっていたので購入したのですが、実際には第四石油類(引火点200度以上)の普通のオイルでした。
SDSを日産から郵送!(これも今時あり得ないけど)で取り寄せてビックリ。
鉱油が20%未満です。成分からすると添加剤用のオイルが鉱油でベースオイルはそれ以外ってことですね。
SNからSPになって「フル」シンセティック表記に変わったのも伊達じゃない。
(後日調べたところ旧SN品も0W-20"だけ"はシェル製でGTLでした。)
製造元がシェル!鉱油では無い、更にこの価格帯ということでベースオイルはGTL(XHVI)で間違いないでしょう。
意外なところにダークホース居ました。
スペックで言えばトヨタC5といい勝負ですし、モービルとシェルのGTL対決にもなりますね。
こちらはSP規格適合でLSPI対応しています。
しかも400RやRZ34純正指定オイルもこれなので400psオーバーもOKなオイル。

ディーラーで入れてくれる0W-20はVスペシャルという別物の可能性があります。
(トヨタで言うキヤッスルみたいなやつ)
言うほど良くないけど?と思う方はどちらが入っているか確認してみてください。


エントリーNo.4
TAKUMI モーターオイル SP HYBRID 0W-20 1225円/L(以降TAKUMIと表記)

PAOとHIVIベースで「100%化学合成油」として売っているのは果たして問題無いのか?
(鉱物油がベースの場合、精製や分解はしていても「化学合成」はしてません。)
この程度のオイルは他社はせいぜい「全合成油=Full Synthetic」表記で済ませているのですが。。
HIVIってGrIIですよね?粘度指数が高いから合成油って謳ってるっぽいです。
HIVIの実力を見せてもらおうじゃないか。

SDSはリクエストしたのですが、
「誠に申し訳ございませんが、SDSの公開は出来かねます。」
だそうです。
ホームページにはこんな記載が。
”輸出お取引業者様へは全製品の製品安全データシート(MSDS)、日本語版・英語版が提供可能です。”
SDSはあるけど開示しないってことですね。それってどうなんでしょう?

この会社に限った話では無いですが、100%化学合成油を謳ってるオイルで100%化学合成油で作られてるオイル無いですよね。。


エントリーNo.5
Mobil1 X2 ESP 0W-20 1100円/L (以下ESP0W20と表記)


ヤフオクで破格で購入しているのでこんな単価ですが、本来は2000円以上です。
VW508 00/509 00認証を取得してる最新オイル。
ベースオイルはPAOとGTLで今回の優勝候補と勝手に予想してます。
(このPAOはホモポリマーじゃないので一般的なPAOと別ものかも?)


エントリーNo.6
コメリ CRUZARD SP 0W-20 527円/L (以降コメリと表記)


コメリの激安オイルですら全合成油表記です。
SDSも普通にダウンロード出来ます。CAS#もちゃんと表記してるし。
添加剤少なめですが、VHVIが90%とすごく真っ当なオイルです。
別で添加剤買ってきて入れても面白そう。
これまで見てきたSDSはエクソンモービルが一番詳しかったのですが、コメリも中々良いですね。
現行のクルザードシリーズ限定ではありますが、ホムセンがこのクオリティのSDSとは恐れ入ります。
コメリ大好きですが、こういう誠実なところで益々好感度アップ!


エントリー No.7
エーゼット SN ハイブリッド 0W-20 1238円/L (以降AZと表記)

先日のブログでエステル+PAOがベースオイルのエンジンオイルなんてほぼありません、と言いいましたが、全くない訳では無いのでこのオイルをエントリー。
鉱油がほぼ表記無しなのでベースオイルはGTL以上が確定しますが、オイルメジャーでも無いオイル屋さんがGTLレベルのオイルを入手できるとは思えないので表記通りPAOとエステルベースと思われます。
ただ、労働安全衛生法の項が無いので潤滑油基油に鉱物油が含まれている可能性がありますね。
(添加剤の鉱油が何%と書いてあるだけでこれ以外に基油にも鉱油が入ってる可能性がある)
有害物質のところに鉱油を記載する場合、鉱油の総量が表示されるので便利なのですが。

余談ですが、VHVIも国内製造はほぼ無いはずで、韓国のSKルブリカンツかS-OIL製だと思います。
GrIIIは国内3社でも製造してるようですが、国内消費の1割ほどらしい。
殆どがSKルブリカンツのYUBASEの輸入だと思いますが違っていたらコメント下さい。

エネオスの製油所閉鎖って話もこういうところとも関係してくると思います。
日本企業の悪いところですね。設備を更新しない。
(設備が古くてVHVIが作れない or それっぽいものを作ってもVHVIと認められない)
設備投資にお金を掛けないで運用でカバーするからいよいよ手遅れになる→閉鎖。
どんな世界でもそうですが「道具8割」です。
相手もプロですからね。道具(設備)の差があったら勝負にならない。
半導体も同じパターンで韓国に全敗。


閑話休題

エントリーNO.8 参考
Mobil1 ESP 5W-30 1745円/L (以降ESP5W30と表記)

私のブログではお馴染みのMobil1 ESP 5W-30です。粘度違うので参考出展。
VW 504 00/507 00認証を速攻で取得した社外オイル。
ベースオイルはGTLでPAOは添加剤程度。
足し算しても全然100%の届かない組成はいったい何なのか?
ESP0W-20とはPAOも違うし結構違いますね。


エントリーNo.9 参考
カインズ SN 0W-20 495円/L (以降カインズと表記)


コメリ0W-20に対抗して友情出演w
自宅物置にあったオイルを拝借しました。シビックとアルト用か?
こちらも表記は全合成です。
コメリと違ってこちらはSN規格、SDSのフォーマットも違いますね。
石油系炭化水素、高度精製基油ということなのでHVIなのかVHVIなのか不明、CAS#の掲載も無いですし。
同じカインズで0W-20ハイブリッドというオイル(2480円/缶)があるのですが、そちらはPAOが10-20%入ってます。
VHVI+PAOで2480円なら中々いいんですけどHVI+PAOなんて離れ業をやってのけるお店もあるので性善説が成り立たない…


このまま結果まで書こうかと思ったのですが、長すぎなので一旦ここまで。
明日以降にアップします。
実験が成功してますように…

つづく
Posted at 2022/05/27 23:44:36 | コメント(6) | トラックバック(0) | オイル | 日記
2022年02月14日 イイね!

Mobil1 ESP X2 0W20 と合成油のお話

オイルの在庫が無くなったので新しいオイルを物色していたところ珍しいオイルを発見!
早速購入してみました。


Mobil1 ESP X2 0W-20です。
海外ではESPシリーズは0W20、0W30、0W40、5W30とラインナップがあるのは知っていましたが日本で入手出来るとは!
国内のカタログラインナップは今のところ5W30のみです。
プジョーでもESP 5W30を使ってます。



VWの新しいアプルーバル VW508 00、VW509 00も取得していますね。



そして驚いたことにEMGルブリカンツ合同会社のシールがあります。
ボトルがEUボトルですが国内向けに輸入したってことですね。
普通のMobilシリーズは国内製造ですし。(スチール缶)


このオイルをプジョーでそのまま使うには柔らか過ぎるので5W30と半々で使用する予定です。
混ぜて平気か安全データシート(SDS)を見てみたら見事に沼にハマって昨日からずっとオイル関連の検索をしてます。。

安全データシート(SDS)は化学物質又はそれを含有する製品に対して取り扱い方法などを明示している資料になります。
以前はMSDSと呼んでました。
このSDS、本来とは違った使い方をすると面白いことが判ります。



その前にエンジンオイルのカテゴライズを少々。
エンジンオイルは鉱物油、部分合成油、合成油、化学合成油などの表記がありますが、API(アメリカ石油協会)のベースオイルのカテゴリーには硫黄分や粘度指数順にグループIからグループVまでカテゴリーがあり、グループIII以下が鉱物油、グループIV以上が化学合成油ということになってました。


なってました、と過去形なのは現在はグループIIIのオイルも精製度が上がり合成油と遜色ないレベルまで達したのでグループIIIも合成油でいいんじゃね?
と言った見解が一般的になってしまい、今ではグループIIでも合成油表記のものが出てきてしまいました。
VHVI(化学合成油)と書かれているものはグループIIIを示しています。
厳密に言うと化学合成油では無いけれど相当のパフォーマンスがあるオイル。


ただ、APIもJISも原油由来のGrIIIが鉱物油という見解は今も変わってません。
グループIIIの話の発端は、90年代にカストロールがグループIIIのオイルを合成油として売ったところ「それ嘘じゃん!」とエクソンモービルが訴えたらしいのですが、カストロールが勝訴してしまったことからグループIIIが合成油を名乗っても不問となり以降ダブルスタンダードが定着しています。


今ではエクソンモービルもグループIIIを合成油として売ってます。
昔のMobil1はグループIV以上でしたから確かに組成だけ見ると「昔の方が良かった」と回顧主義に走るオジサンも間違ってはいません(笑)


ちなみにグループIVはポリαオレフィン(PAO)、グループVはエステル系、アルキルナフタレン(AN)などがあります。
高級オイルだとPAO+エステル100%化学合成油なんて表記ありますよね?


PAO+エステル100%化学合成油なんて書かれているとグループIVとVの混合油だと思いません?私はずっとそう思ってました。
ところが今回オイルメーカー各社のSDSを見て判ったのですが、PAO+エステル100%配合のオイルなんて殆どありませんでした。


実際良く考えてみればわかる話ですが、PAOにせよエステルにせよそれだけでエンジンオイルが成立するわけはありません。
その他の添加剤がそれなりに入ってるので、「PAO100%」ってのはベースオイルが100%PAOって話だと思います。残りはグループIIIとか添加剤とか。
エステルの表記も同様でベースオイルが何かでエステル添加って話ですよね。
中にはエステルがベースオイルの商品も存在するにはするようですが…


グループIIIにエステル配合の例だと、トヨタ。
トヨタのSDSサイトを見てみると0W20のエンジンオイルだけで何と8種類もあります!
この中にはサーキット用のオイルや耐久用、ディーゼル用など用途別に0W20があるのですが、それぞれの配合が全然違います。



GRモーターオイル エンデュランス0W-20。
GRヤリスや最近のトヨタ車向けのハイパフォーマンスオイルでエステル配合の表記もあります。
Amazonでも4Lで1.1万円以上と超高額オイル。


このオイルのSDSがこれ

成分および含有量のところはメーカーによって表記が異なるので参考になりません。
その下の57条の2、通知対象物に「鉱油60質量%以上70質量%未満」と書いてあります。
成分および含有量のところでは何かいてあるか判らないですが、57条の2に記載によれはこのオイルは鉱物油が60-70%含まれていることを示しています。

4Lで1万円以上するオイルが実は鉱物油メインだったらガッカリしませんか?
エステル配合って書いてあるからそれなりの組成かと思ったらグループIIIにエステル配合ってことですね。(PAO含有は不明)
日本メーカーのSDSは不親切極まりないので潤滑油基油と添加剤の鉱油の割合しか判りません。
この「鉱油」がVHVIかどうかも判りません。
VHVIでもリッター500円切るレベルですけど、実はグループII以下の鉱物油が入ってる可能性もありえます。
このオイルのレビューはコチラ。酷評。


グループIIIでも原油ベースで精製された物以外に関しては「鉱油」では無いので、この57条の2に該当しないものもあります。
シェルやモービルが天然ガスから作るGTL(Gas to liquid)オイルをベースオイルで使用していますが、こちらは合成炭化水素と呼ばれ何故か「合成」油なのにグループIIIにカテゴライズされています。
API(アメリカ石油協会)が無理やり「天然資源がベースだからIIIね!」とカテゴライズしたのかも?
石油じゃないから本来カテゴリー外じゃないのかな…



閑話休題
次のSDSは同じくトヨタ純正 C5 0w-20シンセティック、
ACEA C5認証オイルですが、トヨタ車はディーゼル専用だそう。
Amazonでペール缶(20L)の価格は上のGRエンデュランス4Lとほぼ一緒。


鉱油の該当量が5-10%しかありません。
ベースオイルは「重質蒸留物(C-18-50 )-分岐、環状、直鎖」が70-80%で、
これが先ほど書いたGTLに該当します。
APIカテゴリーっぽいものではGrIII++とか表記してることもあります。


GrIII+:原油ベースで粘度指数が130以上とVHVIの中でも粘度指数が高いものVHVI+
GrIII++:天然ガスやシェールガス、石炭などから精製されるオイルで鉱物油由来では無い。粘度指数はPAO以上、シェルはXHVIの呼称。
天然ガス由来だとGTL(Gas to liquids)が一般呼称。
SDSでは合成炭化水素と記載されてます。


GrIII+とかGrIII++とかはAPIの定義では無いのでオイルメーカーが勝手に付けているみたいです。
化学合成油や合成油表記も何の定義も無いので意味が無いですね。
一部で見かけるHIVIはVHVIの下なので注意。(GrII)


先ほどのトヨタの二種のオイルはどちらの方が良さそうですかね?
添加剤の違いがあるので一概には言えませんが、ベースオイルだけで言えばC5の方が良さそうです。
C5ディーゼルのコスパ相当良さそう。
トヨタ車はディーゼル専用と書いてありますが、ACEA C5取得してるようなのでガソリン車も行けそうですね。
このオイルのレビューはコチラ


ちなみに「Toyota Genuine Motor Oil SN 0W-20 C5 for GR Toyota Supra」というスープラ専用オイルもあるのですが、こちらの鉱油表記も1-10%未満。
SDSに詳細書いてないのですが、少なくともグループIII由来の鉱油をベースには使ってない時点でGR 0W20エンデュランスより良いですね。BMW用そのままかな?
そして5Lで8900円と何故かこちらの方が安いという…
GRヤリスに乗ってたらこのオイル入れると思う。
(後日調べたところシェル製なのでGTLベースですが、LSPI対応を謳ってないのでGRヤリスは避けた方が無難です)


GRオイルにはこれらの他に0W-20サーキットと銘打ってるオイルもあるのですが、こちらはポリマー入り。
しかも、ポリマー入りの方はGRヤリス非適合という紛らわしくて確信犯的なラインナップ。これもエンデュランス程では無いけど高い。


GRヤリスに使えない「サーキット」って何?
ポリマーにも色々あるみたいですが、トヨタ自らポリマーはダメって言ってるようなものではないか…
確実に言えるのは良いポリマーが入ってる訳じゃないってことですね。
ポリマーにもピンキリありますから、ターボに使えないポリマーが入ってると。

あとトヨタさん、白缶と黒缶の違いが判らずに0W-30とか5W-40をGRヤリスとかGRカローラに使っている人居ますよ。
GRオイル(黒缶)は柔らかいし心配だ→粘度の高いオイルにしよう→G16E-GTS非対応のGRオイル(白缶)を入れてしまう。


GRエンデュランスはVHVI+ベースと想像しますが、高価なVHVI+を使う位ならGTLかPAOベースでもっと極めて欲しかったです。
恐らく製造委託先がJX(エネオス)前提だったのでGTLが入手出来なくてこんな組成になっていると想像します。
トヨタはエクソンモービルとも取引あるのだからそちらで作っていただいた方が宜しかったのでは…
C5シンセテックみたいな良いオイルもあるし、トヨタの良心が良く判りません。
トヨタのオイルはSDSを確認してから買うべし。
(GRオイルのレビューはコチラ。)


あと、SDSを見る場合の注意点ですが、鉱油含有量は57条の2、通知対象物を見てください。
成分及び含有量の項目に書かれている鉱油の含有量は添加剤としての含有量を表記している場合があります。
潤滑油基油80%、添加剤10%、鉱油(添加剤)10%と書いてあっても鉱油10%とは限りません。潤滑油基油や添加剤に鉱油が含まれている可能性があります。
鉱油を判断したい場合は鉱油含有量は57条の2、通知対象物を見ればオイル全体に対する鉱油含有量となるのでベースオイルが鉱物油かどうか判断出来ます。


上でも少し書きましたが、この「鉱油」はVHVIでもグループII以下でも全部鉱油です。
なのでVHVIを装っていて実はグループIIも半分入ってます。なんてオイルもあると思います。
4Lで8000円のオイルだからVHVIかVHVI+でしょ?と思いたくても性善説に頼るしかない…
エネオスのオイルが嫌いなのはこの辺に由来します。
(実際にハズレを引いたから余計不信感)
SDSを公表すらしてないメーカーは推して知るべし。


話は戻ってMobii1のESP 5W-30(今使ってるオイル)のSDSを確認してみました。


Mobil1でしかも高額なESPですら今や鉱物油が10-20%入ってます。
一番上がPAOですが5%未満でベースオイルは先ほどのGTL「重質蒸留物(C-18-50 )-分岐、環状、直鎖」が30-40%とのこと。
足し算しても100%にならないのは表記不要な成分がその他ってことなんでしょうけど、いったい何が入ってるのか?
(CAS#で定義されてない物性は表記不要なのかな?)
下3項目が鉱油で5%ずつなので何か添加剤(ポリマーとか?)を溶かすためのオイルかな?


こちらはESP X2 0W-20のSDS

鉱油表記がありませんが、組成の最後に書いてある高度水素化重質パラフィン系油蒸留物はグループIII(VHVI)だと思うのですが5%未満だと記載されないのですかね?
※セクション3に鉱油記載が無い場合、セクション15に記載があります。


Mobil1はPAOか上のC-18-50***をベースにしている場合が多いですが、VHVIも数%添加している場合が多いです。
PAOでは潤滑性能が弱いし、DPFやGPF詰まり対策でリンや硫黄も入れられないので潤滑剤として入れているか、粘度指数向上剤を溶かすための溶剤代わりなのか。


書いてない組成は判りませんが、ESP5W30と0W20の組成が全然違うオイルでは無いことは判りました。(ESP 0W-30もちょうど中間位の組成)
あとは粘度が適正なら混ぜても行けるはず?

ここまで調べて結局オイル混ぜるのかよ!、と私自身も思うところなのですが、混ぜてみたい気持ちもあるのでやってみることにします。


昔から有名な高級オイルも組成を調べてみると面白いですよ。
PAOが高騰しているらしくて意外な組成もあるかもしれません。


以上長文失礼しました。
SDS関連など昨日から24時間で調べたことばかりで誤りなどありそうです。
指摘事項ありましたらコメントいただけると幸いです。


HIVIはGrIIIだ!という書き込みが散見されるのですがソースご存じの方いらっしゃいましたらご教示願いします。
HVI、HiVI、HIVIは同じものだと認識してるのですが…(Gr.II)


【追記】
ESP 0W-20と5W-30を混ぜて使ってみたところ、残念ながら0W-30っぽい雰囲気にはなりませんでした。
ESP0W-20は使用感がイマイチMobil1っぽくないのですが、混ぜてもその傾向は一緒でした。
よく見たらPAOも違いました。(ESP 0W-20のPAOはホモポリマーじゃない)
混ぜて使うと組成の悪い方に寄るみたいです。


【追記2】
このページが一番PV伸びるので追記しますが、VHVIが悪い訳ではありません。
VHVIもVHVI+の更に上のクラスになると本当にPAO並みか以上のパフォーマンスがあるものも実際にあります。
VHVIが困りものなのはGrII寄りのキリからピンまで全部VHVIで表記されてしまうこと。


加えて言えばエネオスの様にCAS#を記載しないSDSだとGrIからVHVI+まで全部「鉱油」ですから何が入っているのか見当も付きません。
そういったオイルの良否の判別は実際に使うしかありません。
ここでGTL推しなのは確実に「中の上」以上のベースオイルを選択出来るからです。



このブログの続編あります。0W-20シリーズ

その2 0W-20オイルの比較検証 エントリー編
その3 0W-20オイルの比較検証 失敗編
その4 0W-20の作り方
その5 0W-20オイルの比較検証
その6 0W-20オイル 粘度指数

番外 エンジンオイルのSDS CAS#一覧
Posted at 2022/02/14 21:20:11 | コメント(5) | トラックバック(0) | オイル | 日記

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