
Stay-in-gradeはAPIのオイル試験Sequence VIII (ASTM D6709)のせん断安定性試験の項目の一つです。
Stay-in-gradeの意味はせん断安定性試験後にもSAE gradeを維持出来るのか?
と言うことです。
例えば5W-30のエンジンオイルのせん断安定性試験を実施します。
こないだ購入した出光のオイルは100℃動粘度9.541cStです。
対して、SAE30の100℃動粘度は9.3~12.5cStです。
Stay-in-gradeは試験後も9.3cSt以上を維持しなさいと言う意味です。
せん断安定性試験後に9.54cStから9.3cStが維持出来るとしたら中々凄いオイルですね。
粘度指数156なのでポリマーは最小限だと思いますが、それにしたってベースオイルのせん断は大丈夫なのだろうか?
Sequence VIII (ASTM D6709)の試験内容はこんな感じです。
・0.7L単気筒エンジン(キャブ)
・外部オイルヒーターで油温を強制的に制御する。143℃維持
・ 試験時間: 合計 40時間。
・エンジン回転数: 3150 rpm で40時間連続運転。
・サンプリング: 10、20、30時間経過時にオイルサンプルを採取し、補充量を測定する。
試験部品の評価
・コンロッドベアリングの重量減少量を測定(腐食による摩耗を確認)。
・動粘度測定: 40°C および 100°C (ASTM D445)。
・ストリップ粘度 (Stripped Viscosity): 揮発成分等を除去した後の純粋なせん断安定性測定 (ASTM D445)。
合否判定基準 (Pass/Fail Criteria)
・ベアリング重量減少: 最大 26mg 以下 であること。
・Stay-in-grade: ストリップ粘度が、元の粘度グレード(SAE J300)の範囲内に留まっていること。
どうでしょうか?
この試験結構微妙じゃないですか?
まず単気筒のキャブのガソリン(レギュラー)エンジン。
これは燃料の供給が適当です。
回転数一定なのである程度は安定するでしょうが噴射もしてないので燃料希釈は起きるでしょう。
次は143℃で40時間の加熱。
これはNoack的には一見悪そうですが、残ったオイルの粘度は上がります。
燃料希釈とセットで考えたら絶妙にキャンセル出来たりして?
一応その対策として10時間毎にオイルを足していて、試験後にオイルの軽質留分を飛ばす作業が入っています。
つまり燃料希釈分はキャンセルしてる訳ですね。
でも、オイル足したり試験後に軽質留分を飛ばしたり必要な工程ですか?
インジェクションで普通にエンジン回せばいいのに。
そして、私が最も気に入らないのが3150rpmという回転数。
143℃はポンコツな鉱物油にとってはせん断安定性が不安定になる条件ですが、ポリマーは高温には強いです。
そもそも分子量もデカいし構造も複雑。高温で分解しない。
これが油温130℃6000rpmならPMAポリマーなんて全滅でしょう。
せん断安定性を見るにはそもそもせん断力が足りてないです。
この試験でオイルはかなりダメージは受けていると思います。
でも、この試験だけ持てばいいので(次の試験は新油)楽と言えば楽ですよね。
APIもいい加減この古い試験を刷新する時期だと思います。
この試験は2001年から始まっていますが、前身のSequence L-38は1950年代から続いています。
VIIIとL-38の違いは何と燃料です。2001年まで有鉛ガソリンでした!
現在のVIIIは22年に改訂されていますが、改訂内容は試験機が壊れたらどう運用するか?みたいな内容です。
一旦保留で半年以内に試験結果出せばOKみたいなw
もう試験機古すぎてどうにもならないのでしょう。
いっそ、LSPIと同じフォードの2Lターボエンジンでやったらいいのに!
でも、きっとパンドラの箱なんだろうな。
GLV-2なんて規格は成立しなくなるし、JASOは発狂しそう。。
本当の意味でのStay-in-gradeなオイルが欲しいですね。
Posted at 2026/04/17 13:16:14 | |
トラックバック(0) |
オイル | 日記