
日本語で選ぶエンジンオイルの続編です。前回は
こちら。
前回と重複している部分もあります。
写真のBRAD PENN(現PENN GRADE1)はペンシルバニア産のエンジンオイルがラインナップにありますが、BRAD PENN自体はペンシルバニア産鉱物油よりも合成油の方が優れていると言ってます。
BRAD PENNに限った話ではありませんが、「ペンシルバニア産鉱物油こそ至高!」と言ってるのは売ってる側。
BRAD PENNの中身はシングルグレード品でも普通のVHVIですし。
閑話休題
前回はNGワードで選んでみましたが今回は抽象的な表現も入れてみました。
より紛らわらしくて煙に巻く表現をリストアップしてみます。
こういう表現をするような製品は注意して購入されることをお勧めします。
その1
「脅威の含有量!前回より〇〇%アップ!」
MoDTCやZnDTPの添加剤を販売している業者に多い文言ですね。
MoDTCにせよZnDTPにせよ推奨添加量があるので闇雲に入れる訳にはいかないです。
個体潤滑剤の入れ過ぎは抵抗になりますしスラッジの元です。
〇〇%アップ!って元が0.1%wtなのか0.01%wtなのか判らないし。
この手の業者は有機モリブデンが二硫化モリブデンより優れているアピールをしますが、二硫化モリブデンっていつの時代の話してるのでしょうか?
いつも言ってますが、3000円の添加剤を買うなら今より3000円高いエンジンオイル入れましょう。
3000円の添加剤の原価っていくらでしょうね?
中身より容器代の方が高いかも?
添加剤メーカーが最初から入れた方がコスト安いと思いませんか?
添加剤を買うとしてもMoDTCやアルキルナフタレンなど単体で販売しているところの方が安心です。
自分で配合考える必要はありますが、その方が勉強にもなるしカモにされるリスクも減ります。
余談ですが、高級オイルに安い添加剤を入れると添加材のベースオイルが鉱物油で足を引っ張る可能性があります。
せっかくMobil1入れたのに980円の添加剤とか入れちゃダメ。
その2
「とにかく造語の嵐」
〇〇は△△と比べFM剤を〇%アップさせたスーパー超絶オイル(添加剤)です。
□□の配合を見直し耐久性をアップさせました。
○○、△△、□□は独自の造語で一般用語が何も入ってない。
色々大層なものが入ってそうですが中身不明。
googleで検索すれば一般用語なのか造語なのか直ぐ判ります。
ホントに大層なものが入っていればそこはアピールポイントなので必ず書く筈です。
例えばエステルやアルキルナフタレンを配合したら必ず書きますよね?
書くに値しないような適当な添加剤しか入ってないから大げさな表現になってます。
この手の添加剤のカモになりやすい方は安いオイルに高い添加剤を入れてしまう傾向があります。
3000円のオイルに5000円の添加剤入れたらそりゃ効果あるでしょうが、8000円出せば結構な高級オイルが買えますし確実にそっちの方が安全です。
8000円のオイルは躊躇するのに5000円の添加剤は買える矛盾。
私も昔やったことがあるのであまり人のことは言えませんがw
じゃあ、8000円のオイルに5000円の添加剤を入れたらいいのか?というとこれも正解ではありません。
8000円のオイルには予め添加剤もそれなりに入っているので5000円のうちの何割かしか効果は無いでしょう。
全く効果がないかもしれません。
オイルも添加剤も高けれりゃいいってもんじゃありませんが、かと言って安いものに良品が無いというのも事実。
なので我々は知識で武装する必要があります。
その3
「100%化学合成油」
お勧め出来るエンジンオイルでもこの表記があるので、これは書くべきか迷いましたが、100%化学合成油と書いてあるからエラい訳ではありません。
エンジンオイル用のベースオイルはおおよそ以下に大別されます。
Gr.III(VHVI)を合成油と謳っても不問となっていますが、元は鉱物油です。
VHVIとてGr.III+以上の合成油と比べて性能は劣ります。
Gr.I(鉱物油)
Gr.II(鉱物油、HVI、HIVI)
Gr.III(鉱物油、VHVI)
Gr.III+(合成油、GTL)
Gr.III+(合成油、植物油精製油)
Gr.IV(合成油、PAO)
Gr.V(合成油、エステル)
Gr.V(合成油、アルキルナフタレン)
Gr.V(植物油、ひまし油など)
面白いもので100%化学合成油と謳ってるオイルってVHVIとかHIVIベースのものが大半です。
PAOベースのホントの「化学合成油」は案外表記が控えめ。
先日書いた化学合成油リストのカストロールRN17RSAは100%化学合成油なんて書いてませんでした。
99.9%化学合成油なのにね。
中身99%鉱物油なのに図々しく100%化学合成油を謳う商品はゴマンとあります。
残念ながら国産オイルにこれが多い。
【重要】
鉱物油≒部分合成油≒合成油≒化学合成油≒100%化学合成油
つまり表記に意味が無い。
これ試験に出ますよ。100%化学合成油の文字に騙されないで!
鉱物油と書かれていても中身合成油の場合もありますし、100%化学合成油と書かれていても中身鉱物油があります。
鉱物油>100%化学合成油
の場合もあるということです。
シェルやクエーカーステートのように自社のラインナップのヒエラルキーの都合、化学合成油を鉱物油や部分合成油と表記することがあります。
この場合、合成油>部分合成油>鉱物油の法則は成り立ちますが、それは自社製品内での話。
ちょっと脱線しますが、カー用品店で、
A社製品 部分合成油 3980円(自社製造)
B社製品 合成油 3980円(他社製造委託)
PB製品 部分合成油 3980円(他社製造委託)
のオイルがあったとします。
この場合のベストバイはA社かPB製品です。
B社製品は中間コストが製造、流通で余計に掛かるので他2社より品質は劣ります。
合成油表記なので一見すると他2社より良さそうですが、実際はそうとは限りません。
A社とPB製品どちらを選ぶか?は難しい選択ですね。
案外PB製品悪く無さそうですし。
PB製品の調査も一度してみたいですね。
3980円なんて高い!街乗りだけだから1980円で充分?次へどうぞw
その4
「〇〇で充分」
ここには色々なワードが入りますが一例として
「添加剤が優れているのでGr.II鉱物油で充分」とかね。
その4は売り手側、買い手側両方に言えることですけど。
「街乗りだけだから安オイルで充分」とか言ってません?
そもそも、「○○で充分」という日本語は肯定的な文章には入らないです。
「VHVIで充分」の意はPAO使えないけどそんなにハードに使わないでしょ?
ホンネはPAOが良いけどコスト、調達の理由でPAO使えないからVHVIで充分。
「添加剤が優れているのでGr.II鉱物油で充分」
訳:VHVIも高くなってきたからベースオイルにHIVIも入れちゃいます。
でも、添加剤良いから大丈夫!
これは極端に意訳した例ですけど、これも売り手側の言い訳ですよね。
添加剤が良いのなら前と同じVHVIに添加して売れよと。
「〇〇で充分」は何かの言い訳をしています。
売り手側の本音が透けて見える部分です。ここを見逃さない。
こういった表現は自動車記事でも散見されます。
彼ら評論家、ライターは新型車をディスる訳にはいかないので何とか伝えようとしています。
「だが、案ずることなかれ」は「心配するな」という意味ですが、わざわざ書いたと言うことは「気にしろ」という意味です。
ホントに心配不要ならそもそも文章にしないでしょう。
以上、今回はあっさり目に書いてみましたが偏り過ぎかなぁ?
毒が過ぎると感じたら削除しますw