
アイシン製AT用の純正ATFは現在主に2種類あります。
ざっくりこんな感じ
AW1…6AT以前のATF、一部8AT含む。
AW2…8AT以降のATF
古いものだとATF6なんてのもあります。
日本で販売しているAFW+とAFGはこの規格とは無関係なので注意。
対応するミッションと純正ATF品番は以下の通り
AW1
AW2
同じ8ATでも初期型のAWF8F45はAW1でAWF8G45はAW2です。
似た型式ですが、ボルボの初期型8ATはAW1ですね。
どの年式でAWF8G45に切り替わるのか難しいところ。
V60は初代はAWF8F45っぽいけどV40は販売期間が長かったので途中で変わっているような気もする…
SDSも比較してみました。
AW1
AW2
AW1はベースオイルCAS#が72623-86-0なので「C15-30水素化中性油を原料とする潤滑油」Gr.II~Gr.III鉱物油。
AW2はCAS#が74869-22-0なので「潤滑油(C15-C50) グループI~IIIのいずれかに属する鉱物油」
AW2のCAS#はエネオスが海外でよく使うCAS#です。
これ分子量も適当だし何が入っているか判らない不親切なCAS#です。
溶剤精製のGr.Iなのか水素化分解のGr.IIIなのかも判らない。
そういや40℃動粘度が>20.5cStでした。
普通SDSは40℃動粘度を掲載します。
エクソンモービルは100℃動粘度も記載してあります。
エネオスだけ不親切極まりない動粘度表記、20.5cSt以上って何だよ。
硬いかどうかも判りやしない。
ベースオイルCAS#もいい加減な74869-22-0なのでエネオスで確定ですね。
AW1とAW2のスペックが判らないのでRavenolなどの製品から予想すると
AW1 100℃動粘度 6.5cSt以下?
AW2 100℃動粘度 3.5cSt以下?
こんな感じでした。
Dexron-ULVが4.5cSt以下でしたが、AW2は更に柔らかいようです。
(実際のスペックか判らないので参考程度に)
こうなると下手なオイルは使いたくない気もしますが上のSDS見る限り適当でも良さそうな気も…
トヨタ純正の現行品「オートフルードWS」は100℃動粘度が5.45cStもあります。
「も」って言い方は適切じゃないか。
一般的なATFの動粘度は7cStくらいありますから。
ただ、最新ATFとしてはDexronやAW2よりはまだ硬い。
トヨタの最新の8ATでもWSが指定なので上のAW2と動粘度がマッチしません。
横置きATだけじゃなく縦置き6ATから10ATもWSです。
油量はそれぞれ異なりますが、カムリのCVTからランクルの10ATまでWSが指定。
カローラクラスになるとCVTフルードが指定です。
トヨタオートフルードWSのSDSはこちら

64742-71-8は触媒脱ロウ軽質パラフィン系油
63150-07-2はポリマー(PMA)
40℃動粘度23で100℃動粘度が5.45なので粘度指数は187程度。
触媒脱ロウ軽質パラフィン系油がノルマルパラフィンだとしたら固体化したワックスを最終的に脱蝋処理してVHVI+の出来上がり、だと思いますが、合ってますか?
エクソンモービルのVHVI+(VISOM4)のCAS#がこれです。
対してSKルブリカンツのVHVI+(Yubase+)のCAS#は64742-54-7で一般的なVHVIと同じCAS#です。
どちらも水素化処理後に触媒脱蝋処理をしてVHVI+化していると思いますが、主とする処理を表記するのか最終処理を表記しているのか…
ともかく、
・トヨタの常で肝なオイルはエクソンモービルを使ってくる。
・オートフルードWSはAW2よりも高粘度オイル。
・トヨタのATは壊れない。
純正だから無交換マージンを取っているとしてもアイシンのAW2よりはオートフルードWSの方が信頼出来そうな気がします。
以上からAW2の代わりにトヨタのWS入れておけ、と言いたいところですが、AW2とWSに互換性はありません。
WS以外としてもAW2は超低粘度なのであまり変なオイルは入れたくないですね。
そんなアナタにはRavenolがおススメ。
ちゃんとAW2互換フルードが出ています。
RAVENOL ATF T-ULV Fluid
しかもPAOベース。
AW1互換フルードもあります。
RAVENOL Multi ATF LVS Fluid
RAVENOL ATF T-WS Lifetime
こっちはその名の通りマルチに対応。
こちらもPAOっぽいですがVHVIも入っているようです。
ただね、日本で売ってないのですよ。
Ravenolはアネブルが代理店なのですが、全然売ってない。
RavenolはPAOベースのオイルが多いので取り扱ってもらえるよう問合せしましょう。
ドイツ本国でもかなり高いので日本での売価もそれなりに高いでしょうが、欧州車の純正オイルを買うと思えばまだ買えます。
しかもそれより高品質はオイルですし。
日本で販売されているアイシンATFはAFW+とAFGですが、AFW+が国産車向けでAFGが輸入車向けな感じですが、どちらもAW1には対応していて、AW2には対応していません。
AFW+はアジア圏でも販売されているようですが、それなりに輸入車に対応しているのでAFGとの違いが判らない…
特にAFGは国内専売品のようなので性状など情報がありません。
AFGで適合するATは多いですが、最新の超低粘度ATFは軒並み適合外でDexronVI相当と見るのが適当。
色々書いてみたもののAW1とAW2に最適なATFは見つからず。
アイシンが販売しているAFW+はAW1はOKなのでこれは良いとしても、AW2に適合するオイルが国内に無いのは残念ですね。
以上を踏まえて私のボルボは何を入れましょうね?
候補は元々あって
シェルのATFプラスです。
何とかの一つ覚えみたいですがベースオイルがGTLです。
このオイルは適合規格がDexron III(H)なのでボルボに入れるには規格が古い。
エンジンオイルのHX5Plusも添加剤が少ない感じがしたのでこのATFプラスも同じような感じになりそう。
アルキルナフタレンは添加必須。
そこへ行くとトヨタのWSの方が信頼度が高いです。
アイシン製6ATから10ATまで対応していてAW1とAW2の間のような特性。
ベースオイルはVHVI+とVHVIっぽいですがアイシン本家のATFより信頼出来そう。
これにアルキルナフタレンでもいいような気がしてきました。
ボルボはWSに交換してみようと思います。
結果出るまで少々お待ちください。
「WSはやめとけ!」コメントもお待ちしていますw