
Mobil1は同じ粘度でも色々な種類があります。
日本ではその中の一部のみ販売されています。
ベースオイルはGTLかVHVIが殆ど。
かつてのMobil1はPAOベースでしたから悲観する人が居るのも確か。
日本で販売しているMobil1でPAOベースなのはFormula Jですが、アメリカではそれ以外にもPAOベースのオイルがあります。
Mobil1だけど特別な
Mobil1 Racing 0W-30
SDSを見るとベースオイルはPAO75%です。
でもこのオイルはダメでした。
1番上はPAOです。75%です。最高ですね。
2番目は有機硫化モリブデン化合物。
これはMobil1でも入っていますが、通常は1%未満です。
酸化防止剤として添加しているモリブデンです。
このオイルでは3%以下なので明らかに用途が違います。
CAS#がMoDTCとは異なるのですがFM材としてのモリブデンっぽいです。
3番目は判りやすいZnDTP(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)です。
これも3%以下とかなり多く入っています。
4番目はアルキルアミン(酸化防止剤)です。
これが1%以下なので酸化防止剤として配合のようです。
5番目はケロシン(灯油)です。
アルキルアミンが酸化防止剤として添加されているところからモリブデンはFM材のようです。
普通のMobil1らしからぬ配合です。
モリブデンとZnDTP(ジアルキルジチオりん酸亜鉛)を高配合しています。
Mobil1では当たり前の1万マイル保証なんて当然ありません。
Racingという名前が伊達じゃない。
だから普段乗りで推奨されないオイル。
Mobil1 Racingの
カタログがあります。

これはZn(亜鉛)の含有量比較です。
なんと1850ppmも入ってます。
上二つがRacingで真ん中二つが二輪用(ミッション兼用)。
15W-50と0W-40はACEA C規格非適合なので高SAPSオイル。
5W-30はACEA C2相当で低灰分オイルなのでZnも低配合。850ppm
アメリカではMobil1 Classic Carというオイルが最近発売されました。

1951~1996年向け
Higi-Zinc Formulaと書かれたこのオイルですらZnは1300ppmです。
用途ごとにZn含有量をコントロールしていることが判ります。
Classicも触媒有車を配慮しているのでZnが1300ppmなのでしょう。
Mobil1 Racingはトラックユースオンリーと書かれてます。
それでもストリートで使いたい人は居ますよね?
Can I use Mobil 1 Racing™ oil in my street car?
This is not recommended due to the higher levels of additive elements such as Zinc and Phosphorus contained in Mobil 1 Racing oils which can have an adverse effect on the exhaust emission control systems fitted to street cars.
(Mobil 1 Racing オイルには亜鉛やリンなどの添加剤が大量に含まれており、ストリートカーに装備されている排気ガス制御システムに悪影響を及ぼす可能性があるため、この方法はお勧めできません。)
つまり触媒やセンサー付いてる車には使うなと。
DPF付車なんて当然ダメですよね。
ZnDTPもリン高配合タイプのようです。
リン酸亜鉛は触媒を詰まらせます。
O2センサーもやられるかもしれません。
Mobil1も発売直後のものはZnは2100ppm超えていたようです。
それまではリンも亜鉛も高配合。
硫黄はたぶん入ってない。
当時から「化学合成油」だから。
昔のオイルの方が良かった説はこういうところが起源なのでしょう。
確かに排ガス考えなければその通りなのでしょうね。
最初はいいけど持ちも悪そうです。
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Posted at 2025/11/11 09:08:06 | |
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