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2024年07月30日 イイね!

粘度指数向上剤

こちらから先に読んでください。

いつものようにネットを徘徊していたらエクソンモービルの化学合成油のフォーミュレーションを見つけました。

SpectraSyn(エクソンモービルのPAO)とEsterex(同エステル)とSynesstic(同アルキルナフタレン)をどの割合で混ぜるとどの粘度のオイルが作れるかのレシピ表。
PAOとエステル、ANがベースオイルという凄まじく豪華なオイルですが、こんなオイルは当然売ってません。
昔のMobil1ならこの処方の可能性もあったかもしれませんが。

SpectraSynの後の4、6、8は粘度を表しています。
数値が大きい程硬い。
SpectraSynのところをYubaseとかS-Oil Ultra-Sに置き換えればVHVIベースで同じ粘度のオイルが作れますね。


5W-30のKV@40℃の動粘度間違ってますね。。

上記フォーミュレーションは0W-なら同じベースオイルで合わせてVM(粘度調整剤)で粘度を調整している感じです。

下の表は5W-30と5W-40でもベースオイルの粘度を変えて対応してます。
VMの量は8.5%で一定。
PAOとANのフル合成油なんて豪華すぎですね。


上の表の0W-20から0W-40の違いって面白いですね。
低粘度オイルの割合は0W-20の方が多いのかと思ってたのですがむしろ逆。
ホントにこんなフォーミュレーションで作るのかは疑問ですが、低粘度化させる代わりにInfinium VMの割合が増えていきます。


Infiniumはエクソンモービルとシェルの合弁会社でオイル添加剤メーカーです。
オイルメジャーの二大巨頭が合弁会社を作って添加剤開発をしてます。

VMはViscosity Modifirerの略で粘度調整剤の意味。
同じような意味で粘度指数向上剤VII(Viscosity index improvers)もあります。
その下のppd(pour point depressant)は流動点降下剤です。
DI(Detergent Inhibitor)はパッケージ添加剤のことです。
今回関係ないけど一応。


本日のお題はVMおよびVIIです。

粘度指数向上剤と言うと思い浮かべるのはポリマーですが、ポリマーにもいくつか種類があります。
以降ここではポリマー=粘度指数向上剤として述べます。

ちなみにポリマー=高分子化合物の総称なので分子量デカけりゃなんでもポリマーです。
だいたい分子量1万以上が境目
たまに「ポリマー不使用」で揚げ足取る人居ますけど、エンジンオイルで「ポリマー不使用」と言ったら「粘度指数向上剤としてポリマー不使用」です。
「粘度指数向上剤以外にもポリマー入ってるもんね、へへん」って人居るけど何のマウントなんでしょうね?


もとい、
いつものように長文です。

まずポリマーは低温時には小さくまとまっていて、高温になると広がって面積を取る→増粘効果があります。
なので低粘度オイルでも高温時に粘度が落ちにくい特性が出せます。(粘度指数が高い)
当然欠点もあって分子量が大きくかつ、直線状に並ぶものはせん断安定性が弱い。
横に大きく広がって最初は粘度が上がるけどせん断されるとゴミとなる。

下の表はInfiniumのサイトから拾ってきました。
縦軸 Thickening Efficiency:増粘効果
横軸 Shear Stability Index (SSI):せん断安定性指数
増粘効果が高くてせん断安定性が高いポリマーが良いポリマーと。(左上)

国内で流通しているポリマーはOCP(オレフィンコポリマー)とPMA(ポリメタクリレート)が大半だと思いますが、このグラフにはそれ以外にスターポリマーとリニアポリマーも載ってます。(左の二つ)

このグラフだとPMAの増粘効果がやけに低いですが、恐らく国産のPMAの増粘効果はもっと高い筈。
じゃないと粘度指数310なんてアホなオイルは世に出てこない。
SSI?せん断?そんなの気にしてないでしょう。


それぞれの名前と略称は以下の通り
スターポリマー…星形水添スチレンジエンコポリマー(HSD)
リニアポリマー…線状水添スチレンジエンコポリマー(HSD)
オレフィンコポリマー…(OCP)
ポリメタクリレート…(PMA) 

スターポリマー(HSD)は分子量の割に広がりが小さいのでせん断性能が高い。
リニアポリマー(HSD)はスターポリマーが線状に繋がってるイメージなんでしょうか?
せん断されてもスターポリマーで残存出来そう?(ここ自信無いので誰か助けて)
OCPとPMAは線状に広がり増粘効果を出すのは同じで、OCPの方が低温から増粘効果が出てしまう傾向あり。
PMAに流動点降下作用があると言った方が良いのかな?

同一分子量での増粘効果はPMAが一番小さいけど、分子量を増やせるのもPMAなので粘度指数を上げたいならPMAが一番効果があるかも?
ただし、せん断性指数(SSI)は一番悪いです。
ディーゼルやターボ車に不向きと下の文献にも書いてあります。
参考文献


SSIに関してはミカドオイルや隼オイルで説明があるのでご存じの方も居るでしょう。
安いオイルはSSI50とかありますが、当社のオイルはSSI25なので優秀です!ってやつ。
いずれもOCPかPMAの左端の製品だと思うので、上のスターポリマーとリニアポリマーは使われていないと思います。
(SSI50:せん断試験後の粘度が50%低下。小さい方がエライ)

左端のスターポリマー中央値のSSI10って結構衝撃です。
私はポリマー=悪とずっと思っていましたが、SSI10ならベースオイルの粘度低下と大差ありませんからね。
結局安物ポリマーを入れるか入れないかの選択肢しか無いから私のような「ノンポリマー信仰」が出てくるのでしょう。

このグラフの資料からInfiniumのVMがこの中のどれを使ってるのかまでは判りませんが、まあPMAがメインでは無いのは何となく察しがつきます。
日本のサイトだとOCPとPMAの比較しか出ないケド。

特許の都合で使えないのでしょうか?
スターポリマーの製造方法を検索してみましたが、シェル、帝人、ペトロチャイナとかそこそこ出て来ました。
基本特許がシェルなのかな?
なんだか日本独自の闇を感じるなぁ…

ポリマー以外のVMというとmPAO(メタロセンPAO)もありますが、分子量がポリマーより小さく粘度指数向上剤としての効果は小さいです。
メリットは分子構造が立体でせん断安定性が高いこと。
ポリマーと言うほど分子量も大きく無い(<4000)のでせん断性能が良い。


日本だと燃費性能が重視されるのでベースオイルを柔らかめに設定してPMAで粘度指数(VI)を上げるという手法が一般的だと思います。
最近だと添加量が少ないPMAも発売されているのでコストも下がるし。
mPAOで粘度指数を上げるとなると結構な量を添加する必要もあるし、コストも高い。
粘度指数も然程上がらないのでベースオイルも硬めにする必要あり。
耐久性を狙うオイルならスターポリマーとかmPAO、3000km交換で安物ならPMAなんでしょう。

それにしても思ってたよりもVIIの添加量って多いですね。
この表の10W-60だと14.4%も添加してます。
ポリマーは油溶性の個体なので溶かすオイルが何なのかも気になります。
14.4%の内の大半がオイルでしょうから安物添加剤だと鉱物油でしょうね。
DIパッケージ添加剤も溶かすオイルがあるのでDIとVIIで20%位は得体の知れない鉱物油が入ってくる可能性も?
その鉱物油もGr.IなのかIIIなのか…

DIは添加量が決まっているので添加は避けられないですが、VIIは無くてもオイルは成立するので少ない方が健康的かもしれません。(ポリマーの場合)
5W-30ってそう考えるとバランスいいですね。無理してない。
個人的に5W-30推しでしたから間違ってなかったので一安心。


粘度指数は本来ベースオイルで嵩上げしておくべきなのでVIIでの上げ幅は最小限であるべきと考えます。
ベースオイルのVIが145でmPAOでもうちょっと上げて170とか。
なのに日本のオイルはベースオイルのVIが100~120でPMAで粘度指数爆上げして200以上のオイルを作りたがる。

0W-20で上記二つのオイルを作るとVI=170の方は硬くて耐久性のあるオイルです。
VI=200の方は柔らかくて高レスポンス。
恐らく0W-16並みに柔らかいオイル。
最初はいいけど直ぐ劣化するでしょうね。
そんなオイルがエンジンに良いと思いますか?


結局どのポリマーをどう使うかはオイル屋さんの良心に掛かってる訳で、ポリマーに関してもベースオイル同様の問題のようですね。
我々ユーザーも新油時にスムーズで高レスポンス!と喜んでいないで耐久性のある安定したオイルを選ぶようになれば自ずと高粘度指数オイルは淘汰されていくと思います。

あと、粘度指数が低い=耐久性が高いという訳でもありません。
エステル添加オイルでは潤滑性能が直ぐ落ちるものもあります。
極性の強いエステルは最初は滑らかですが直ぐ加水分解します。



まとめ
粘度指数が高いオイルが高性能オイルでは無い。
高粘度指数オイルと耐久性は相反する。


余談ですが、HTHS粘度は新油時の粘度なので、ポリマーで粘度が上がっているオイルの場合HTHS粘度が高くても意味がありません。(直ぐ劣化する)
以前はHTHS粘度が高い方がエラいと思ってましたが、新油時に高いだけなのでオイル選びの指標には使えませんでした。

また、PDSに表記されるスペックでオイルの本当の性能を表しているものはほぼありません。
Noackと塩基価(酸価)くらいかな?殆ど載ってませんが。
粘度指数、HTHS粘度、動粘度どれも意味無いです。
カタログスペックってやつですね。
粘度指数310とか笑うところ!



【余談2】
アメリカや欧州では粘度指数が200以上のものは発売されていません。
国産メーカーでも海外では粘度指数は低めのオイルが販売されています。
ソース(77ページ以降)
日本で売ってるオイルが高性能?違いますよ。
こういうダブルスタンダード自体があってはならないと思うのですが…
Posted at 2024/07/30 20:59:20 | コメント(3) | トラックバック(0) | オイル | 日記
2024年07月15日 イイね!

GRカローラがラリーカムイでクラス優勝



GRヤリスが全日本ラリーに出場するようになってから結構見てるんですが、まさかGRカローラが優勝するとは…

今の全日本ラリーはJN-1クラスはRally2とR5規定車両がメインで言ってみれば旧WRカー規定の参戦するクラス。
JP4という改造クラスもJN-1です。WRX S4はこれですね。
GRカローラも昨年はJP4でエントリーしてましたが、今年からJN-2にクラス変更。
公道ナンバー付だった旧JN-1クラスがJN-2クラスに移行してます。

今年はJN-1クラスも役者がそろってきたので見ごたえありますね。
去年はコバライネン圧勝で終わってしまいましたが、コバライネンが去年乗っていたシュコダファビアを新井息子がドライブして既に三勝目。
勝田パパもGRヤリスRallly2で同じく三勝。
コバライネンが休養から復帰して三つ巴となるのか楽しみです。
新井パパも戦闘力のあるマシンに乗れば…


JN-2はN規定の4WDターボクラスでGRヤリスやスバルWRXがメインですがここでGRカローラがクラス優勝してこちらも面白くなってきました。

ところでGRカローラがラリーで勝てる要素があるのか?ですけど、
ホイールベースとトレッドが広いこと以外はGRヤリス比で長所無い筈なんですよね。
車重はGRヤリスが1170kg(無塗装のRCライトパッケージ)、GRカローラはモリゾウエディションでも1440kgですからね。

JAF国内競技車両規則では同じ型式の最軽量グレードまで軽量化OKなのでRCライトパッケージじゃない車両でもGRヤリスは1170kgまで軽量化OK。
(厳密にはロールケージとか燃料とかあるのでもうちょっと重い)
ライトパッケージは高いですけど売れる必要も無いという言わばホモロゲスペシャル。
その割にWRXに圧勝する訳でも無いのが面白いですけど。
今回一番重いGRカローラが優勝してるし。しかもセミウェットグラベル。
にしてもJN-1とJN-2の速度差が酷い…


スーパー耐久もST2クラスに普通のガソリンターボ車でGRカローラで参戦しませんかね?
水素カローラが注目されてますけど、目立ったもん勝ちなのでST2クラスでGRヤリスとランエボと走って欲しい。

今年の後半には8ATモデルも追加されるようですね。
トルクが400Nmにアップするらしいので既存車もアップデートプログラムを希望します!
Posted at 2024/07/15 19:39:53 | コメント(1) | トラックバック(0) | GRカローラ | 日記
2024年07月11日 イイね!

API認証と適合

API認証と適合意外と判りづらいエンジンオイルの認証と適合の違い。

簡単に言えば、
認証は第三者に認定してもらったお墨付きのあるもの。
適合は自主試験によって特定の規格に合致していると申告するもの。
(試験してるとは限らない)


API認証品はこのドーナツマークが付いています。
0W-20 SPとか文字しか書いてないオイルはSP適合品で認証品ではありません。

API認証はちょっと変わっていて元売りがオイルと添加剤の認証を取ります。
オイル屋さんはAPIのEngine Oil Licensing & Certification System (EOLCS)に認証オイルと認証添加剤をどう混ぜて使ったか申請することでAPI認証オイルを販売出来ます。
SP認証品ならベースオイルとSPパッケージ添加剤の配合申請すればAPI SP認証オイルの出来上がり。
この時粘度指数向上剤のポリマーとか混ぜる場合は規定量以上入れないように配慮が必要。

特徴的なのは同じ会社(オイル屋さん)が定額($5500/年)を払えば何種類でもオイルを認証できるところ。
沢山出した方がお得?
EOLCSにはAPI認証オイルが全て載っているので見てみると面白いです。
日本のメーカーでも他の国で認証を取っている場合もあるのでJapanで見つからない場合もあります。

最近はAPI認証にこだわらないメーカーも増えてきました。
各社ハイエンド品ほど非適合品だったりしますよね。
API規格が全てのエンジンにベストという訳では無いのでこの判断は合ってると思います。

ただ、リッター1000円を切る価格帯でSP適合品を買うのならAPI認証品を買った方が多少担保は増えるのでどちらか迷うなら認証品の方が良いでしょう。
オイル1缶当たりのコストは100円以下レベルでしょうから、そこはコストダウンするところでは無いと思います。
小規模なオイル屋さんは仕方ないと思いますが、それなりの規模で作っているのに適合品だとちょっと寂しい。

日本の規格にはJASO(DL-1とか)がありますが、こちらは自主検査と認証申請です。
認証オイルと言うことになりますが、抜き打ち検査もありません。
中にはDL-1適合品のような書き方をしているオイルもあります。(申請もしてない)

API認証は実際に完成品のオイルを検査する訳ではないのでメーカー認証(アプルーバル)オイルとは認証の価値は異なります。
アプルーバルオイルも大半が適合品なので購入前に確認した方が良いです。


ACEAについては別の機会で書こうと思います。


まとめ
API認証と適合は違う。適合は相当品と自己申告してるだけ。
API認証はEOLCSのお墨付きは得ている。ドーナツマークを確認。
API認証品も検査はしていない。(抜き打ちはあるっぽい)

余談
GRヤリスとGRカローラはSP品に拘ってくださいね。
SNとSPは清浄剤の配合が全く異なるのでSN品入れると最悪ブローします。
ピストン側面(2ndランド)が欠けてるのはLSPIによるブローだと思います。
チューナーも結構無頓着な人が多いのでお気を付けを。
Posted at 2024/07/11 11:52:56 | コメント(1) | トラックバック(0) | オイル | 日記

プロフィール

「何故かコーヒーは高くない。これ2つで1400円。」
何シテル?   06/11 02:20
GRカローラでサーキットを走ってます。 オイルの検証も色々してます。 焙煎小屋を建ててコーヒー豆の焙煎もしてます。
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