
Timken Testerってご存じでしょうか?
チムケンテスターとかティムケンテスターとか言ってるかもしれません。
オイル、グリースの簡易テスターです。
金属(試験片)と金属(カップ)の間に潤滑油を流して荷重を掛けていく。
カップを回転させて試験片に荷重を掛けて摩耗させる。
負荷が閾値を超えたところでストップさせてその時の荷重が大きい程、潤滑性能が高い、という簡単な原理のテスターです。
こんなやつ
例えば極圧剤とか潤滑剤の比較試験で使う分には良いと思います。
エンジンオイル優劣の比較に使えるか?というとあまり意味が無いと考えています。
理由は色々あります。
温度…エンジンオイルが想定する油温まで上がりますか?
燃焼…オイルが燃焼しないのでその副作用が読めません。カーボンとか。
劣化…試験片に対する油量が多すぎます。時間も短すぎ。
試験…そもそもこれは極圧試験じゃないかな?
この動画でも油温は70度以下でした。
70度だとエンジンオイルは本来の性能まで上がっていません。
高温になっていないのでせん断安定性の試験にもならないでしょう。
テストピースと相手の母材の違いも気になりました。
相手の母材って減ったら困るので硬い材質ですよね?
この形態でやるとしても荷重一定のごく低負荷で長時間試験じゃないかな?
油温も130度くらいに上げてその時のモーター負荷(A) を測定するとか。
ミッションオイルやデフオイルならある程度判断出来そうな感じはしますがそれもある程度。
このTimken Testerそんなに高くもないので実は購入しようと思っていました。
が、先人たちの動画を見て違和感がありましたし、実際にテストしているオイルの結果を見てもカタログ値が良いオイルが良い結果になる傾向がありましたのでこれだと私が欲しい結果は出ないな、と思った次第。
この他、皆さんも気になった点はありませんか?
例えば新油時と3000km走行後と比較して差が無いというならその試験は価値がありますが新油時だけだとね…
逆に言えば最初だけ高性能な日本のオイルにはうってつけの試験とも言えそう。
オイルは劣化してからが勝負です。
【余談】
AZの極圧剤CKM-002はエンジンオイルに入れるものではありません。
極圧剤は金属表面を滑らかにする効果があります。
簡単に言えば極圧剤は金属表面を溶かして滑らかにしてます。
極圧剤=焼付き防止剤ですからね。焼付くより溶かして滑らす。
デフギアのように極圧剤前提の表面処理がされている金属には問題ありませんが、極圧剤を想定していないエンジン内に極圧剤を入れると最終的にどうなるか?
チムケンテストで好成績が出るとはどういうことか?
お判りいただけるかと思います。
まあ、そう言う私もやったことありますが極圧剤入りの2輪用のオイルを4輪に入れると確かにフィールいいんですよね。
1回だけ入れたらいい塩梅に表面が滑らかになったりするかもしれませんね。
どなたか人柱を募集します(笑)
後日、AIに聞いてみました。
いやぁ、的確過ぎます(笑)
Q:
Timken testerでエンジンオイルのテストしてる人いるけど意味あるの?
A:
Timkenテスターを使用してエンジンオイルの性能をテストすることについては、議論の余地があります。Timkenテスターはもともと、グリースや潤滑剤の極圧性能を評価するために設計された試験装置です。エンジンオイルをこの装置でテストすることが意味があるかどうかは、以下の点を考慮する必要があります。
1. Timkenテスターの目的と限界
Timkenテスターは、特定の条件下で潤滑剤が金属表面間の摩擦と耐摩耗性をどれだけ防ぐかを測定する装置です。この試験は、主に極圧(EP)添加剤の性能を評価するために使用されます。しかし、エンジンオイルの性能を評価する際には、以下の理由から限界があります:
エンジンオイルの役割の複雑さ
エンジンオイルは、極圧性能だけでなく、清浄性、分散性、耐熱性、酸化安定性、粘度特性など多くの要素が重要です。Timkenテスターではこれらの側面を評価できません。
試験条件の単純さ
Timkenテスターは非常に単純化された試験条件で作動するため、実際のエンジン内部の動作環境を再現することはできません。エンジン内部では、温度、圧力、流動特性などが複雑に絡み合っています。
2. テスト結果の解釈
Timkenテスターを使用してエンジンオイルをテストする人がいるのは、極圧性能に着目したい場合が多いです。しかし、結果が良いからといって、それがエンジンでの性能を保証するものではありません。エンジンオイルの性能は、極圧性能だけでなく、総合的な特性に依存します。
3. エンジンオイルの評価に適した試験
エンジンオイルの性能を正確に評価するには、以下のような試験方法が一般的に使用されます:
APIやACEA規格に基づく試験
これらの規格は、エンジンオイルの性能を包括的に評価するために設計されています。
動的試験(エンジンベンチテスト)
実際のエンジンでオイルを使用し、パフォーマンスを測定する試験。
粘度試験
高温および低温条件下でのオイルの流動特性を評価。
酸化安定性試験
長期使用時のオイルの劣化を評価。
4. Timkenテスターの利用の意味
Timkenテスターを使うこと自体は、エンジンオイルの極圧性能の一部を確認する手段としては意味があるかもしれません。しかし、それだけでエンジンオイルの品質や性能を総合的に評価することはできません。むしろ、それを過度に信頼してしまうと誤った結論を導く可能性があります。
結論
Timkenテスターを使ってエンジンオイルをテストすることには一定の意味がありますが、エンジンオイルの性能を総合的に評価するためには、より包括的な試験方法が必要です。Timkenテスターの結果を参考情報として扱うのはよいですが、それを唯一の判断基準とすることは避けるべきです。
Posted at 2025/03/28 09:10:19 | |
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