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2025年09月01日 イイね!

GTLの潤滑油

GTLの潤滑油みんな大好きGTL(違うか)


写真は新潟のGTL実証プラントです。
(エネオスのサイトより引用)
住所調べたらすぐ横まで釣りに行ったことあったw






GTL = Gas To Liquid
ガスから液体を作る。
天然ガス→合成ガス→FT(フィッシャートロプシュ)法にてGTL合成油、液化炭化水素、FTワックスを合成する。
石炭ガスから合成する場合は(CTL = Coal to Liqiud)と呼ばれます。


戦前ドイツより石炭から石油を作る方法を伝授されたというのはコレ。
FT法以外にも石炭を加圧して水素添加して液体燃料を抽出する石炭直接液化法なんてのもあったようです。
ホントに石油まで製造出来たのかは怪しいところ。
山本五十六が騙されたとか所説ありますが時代が時代なのでどこまでホントなのか怪しい。

「水(H2O)からガソリン」なんて詐欺臭い話に聞こえますが、ターゲットとなる炭化水素(HC)はCをどこからか取ってくれば成立します。

例えば灯油は(C12H26~C15H32)です。
炭素数C12からC15で形成される炭化水素。

CとHしか無いのでそこら辺にある物質から作れそうな気はします。
問題はどうやって分解して合成するか。
分解する際に使う触媒が高いとコストは高くなります。
安い触媒で効率的に製造出来れば夢の人口石油の出来上がり。
炭素数30位になると粘度が上がって潤滑油になります。



話を戻します。
GTLの製造工程では合成処理が行われることから不純物が少ない純度の高い燃料、潤滑剤が製造されます。
GTL合成油とて不純物は含まれるので水素化処理によるアップグレーティングが行われます。
(鉱物油→VHVI精製みたいな処理)
固体化したFTワックス分はイソパラフィンに異性化して高粘度指数潤滑油へ。


GTLは天然資源から製造するのでAPIベースオイルカテゴリーIII+に属していますが、同じグループIIIの鉱物油(VHVI)との決定的な違いは「合成」です。
VHVIは鉱物油から不純物を取り除く「精製」を繰り返すだけで物性の変化はさせていません。
(鉱物油も異性化しているもはあるのでこれは高性能)


ある程度物性のコントロール出来る合成に対して不純物を取り除くことを繰り返す精製。
当然精製作業では思うような物性にはなりません。
どうしても分子量は揃わないし不純物も残る。


通常、鉱物油(原油)は常圧蒸留して石油ガス、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油を作ります。
軽油まで作った残油はそのまま重油にするか減圧蒸留して水素化処理とか脱蝋処理して潤滑油とワックスにします。
最後まで残った残油はC重油とかアスファルトとか。



GTLも似たような工程を辿るのですが、合成なので作る分子量のコントロールはある程度出来るはずです。
分子量が小さいものはガスや燃料、分子量が大きいものは潤滑油やワックスなど。
ターゲットをどこに向けるかである程度製造させる合成油の範囲は変わるはず。

GTLの欠点は合成する過程で損失があることです。
天然ガスからGTL合成油を生成すると40%位損失が出るそうです。
あまりエコでは無いのですよね。

GTLの潤滑油をあまり見ないのは各社燃料を多く製造しているのか?
GTL燃料の方が作り易くて売り易い?

ざっくり言って天然ガス(LNG)のまま使った方が安いしラクw




GTL事業は石油メジャーの多くが参入しています。
その割に潤滑油を製品化しているメーカーが全然無い。
モービルとシェル以外はほぼ無いです。
モービルだって自社生産がどれだけあるか怪しいです。
シェルから購入している分の方が多いかもしれません。

外販の商品があるのはシェルだけっぽいですし。
(Qatar GTL QHVI、Ondina、Risella)

シェルと言えばXHVIの呼称がありますが、カタールGTLは「QHVI」と更に別の商品名です。
XHVIは現在はVHVI+鉱物油の商品に使っているようです。




シェルのエンジンオイルのラインナップを見る限りGTLの生産量は相当潤沢ですよね。
シェルブランドにとどまらずQS、ペンズオイルまでGTLで作っています。
シェルはカタールのPearl GTLでGTL合成油を生産をしています。(14万バレル/日)



もしかすると比較的分子量の大きいGTL合成油の量産に成功しているのはシェルだけなのかもしれません。
殆ど潤滑油とかワックスだけ作れるような技術が確立出来ていたら?

水素化処理で精製されたGTL潤滑油とFTワックスから異性化して出来たGTL潤滑油があるとしたら、異性化したGTL潤滑油の方が不純物が少なくてより高粘度指数化しそうですね。
GTLの低グレード品と高グレード品はこの辺に差があるのかも?
VHVIとVHVI+みたいに。



しかもカタールで天然ガス→潤滑油まで製造しているようなのでコスト的にも相当アドバンテージありますよね。

天然ガスをLNGで運んできて日本でGTL作ってたら勝ち目無いですね。
日本のGTL実証プラントが継続しなかった理由も納得です。

が、日本の海底には天然ガスが相当量埋まってるらしいのでGTL事業は細々と継続させておいた方が後々の結果につながると思います。

たぶん「GTL合成油出来たー」で終わってるだろうし。
分子量のコントロールまで検証してないだろうな。

GTLはともかくFT法で作る合成炭化水素の分子量コントロールは必要だと思います。
FT法はガスから合成油を生成する方法なのでバイオマスでも石炭ガスでも合成油が生成出来ます。

バイオマスを量産化するなら分子量コントロールは必須でしょう。
合成灯油(ケロシン)から潤滑油までC10~C30位の量産コントロールが出来たら?
結構強みになりそうですけどね。
Posted at 2025/09/01 21:45:10 | コメント(4) | トラックバック(0) | オイル | 日記

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