
東京は六本木にある、
バグース六本木店にて行われた
グランプリイーストの第7戦の観戦に行ってきた。
早いもので、今年のグランプリイーストも最終戦を迎えた。
今年は全戦、観戦に行こうと決意し、皆勤を果たしてしまった。(笑)
第1戦:エックスフィールド(相模原) 優勝:土方隼斗選手
第2戦:ハイランド(横浜) 優勝:土方隼斗選手
第3戦:LINK西川口 優勝:羅立文選手
第4戦:キャノンボール大森 優勝:羅立文選手
第5戦:Mr.スポーツマン中延 優勝:栗林達選手
第6戦:デキシークラブ船橋 優勝:鈴木清司選手
プロ野球でも、シーズン終了が迫ってくると、タイトル争いに注目が集まるが、ビリヤードも同じ。
プロの公式戦である、グランプリイーストのMVP、年間総合優勝者が決まるのも、この最終戦。
同時に、JPBAの東日本ブロックのランキング争いにも、影響するので、
どの選手も落とせない、大事な試合なのである。
グランプリのポイントに目を向けてみる。
第6戦終了時点でのポイントランキングは以下の通り。
1位タイ:860pt 羅立文・土方隼斗
3位:720pt 栗林達
4位タイ:700pt 浦岡隆志・塙圭介
6位:640pt 鈴木清司
7位:620pt 西嶋大策
8位タイ:600pt 虻川修・高橋邦彦
10位タイ:580pt 松田渉・井上浩平
(敬称略)
そして、このランキング上位の選手たちのほとんどが、決勝日に残ってくるのであった。
グランプリ決勝日、BEST16戦の組み合わせは、当日、抽選で決められる。
BEST16で、羅選手と土方選手がぶつかる事だって、あり得るのだ。
ところが、蓋を開けてみると、なんとも面白い組み合わせになる。
羅選手と土方選手は、それぞれ別の山に分かれた。
つまり、直接あたるとすれば、決勝戦と言うことになる。
まさに、頂上決戦。
そんな中、僕の座った場所の目前で行われたのは、
前戦優勝者の鈴木清司選手と菊嶋淳史選手の対戦だった。

鈴木清司選手は、はっきり言って地味な選手だが、
今年1年を通して、グランプリの決勝日にいい確立で残ってきている。
その上、前回の第6戦では優勝を果たした。
派手さはないが、確実性の高いビリヤードをする鈴木選手。
この選手は、ノリ始めると誰にも止められない位、出来上がるのだ。
この日のフォーマットは、
先日お伝えしたが、かなりややこしいルール。
9ボール、8ゲーム先取り
⑨をフットスポットに置くラックを組み、
ブレイクボックス、スリーポイントルール採用。
その上、交代ブレイク。
一人で撞き切ってしまうようなゲームは期待できないフォーマットなのです。
しかし、鈴木清司選手は違った。
イマイチ調子をつかみ切れない菊嶋選手を1点に抑えて8-1で勝利してしまった。
その勝ち方は、完全に出来上がっていると思えるほどのものだった。
その向こうのテーブルでは、塙圭介選手と、東條紘典選手の試合も行われていた。
塙選手も、今年はかなり調子が良い。
今年のグランプリでは、上位に残ることも多かった。
この日の思いが、かなり強かったと思えるゲーム運びで、8-1で東條選手を抑え込んだ。

土方選手は、ランキング3位の栗林選手と、羅選手は、ランキング4位タイの浦岡選手と対戦し、
8-5、8-3と勝利し、MVP争いを先に進めた。
BEST16戦の結果は以下の通り。
[BEST16]
土方隼斗 W-5 栗林達
米津剣人 W-4 持永隼史A
照屋勝司 W-6 西尾祐
西嶋大策 W-4 鈴木淳
平野義典 3-W 藤原貴志
浦岡隆志 3-W 羅立文
東條紘典 1-W 塙圭介
鈴木清司 W-1 菊嶋淳史
BEST8では、照屋勝司選手と、西嶋大策選手の対戦を中心に観戦。

前回準優勝の照屋選手だったが、相手はMr.手玉と呼ばれるほど、
手玉のコントロールに長けた西嶋選手。
ややこしい配置になりやすい今回のルールでは、西嶋選手の実力が上回った。
BEST8の結果は以下の通り。
[BEST8]
土方隼斗 W-5 米津剣人
照屋勝司 5-W 西嶋大策
藤原貴志 4-W 羅立文
塙圭介 W-4 鈴木清司
準決勝。
MVP争いをする両名は、しっかり残っている。
ボクの目の前では、土方選手と西嶋選手の対戦が行われた。
西嶋選手の実力は、ものスゴイ。
さっきも書いたが、彼の手玉コントロールはとんでもなくスゴイ。
なので、彼のくりだすセーフティは、かなりキビシイものになる。
しかし、それに土方選手は負けなかった。

ジャンプショットが得意な土方選手だが、ジャンプショットも使えないセーフティを決められても、
しっかりクッションプレーで、セーフを取り、相手にも楽ではない配置を返す。
そういう粘り腰のプレーで、このゲームを勝利し、決勝へコマを進めた。
[準決勝]
土方隼斗 W-4 西嶋大策
羅立文 W-5 塙圭介
そして、ついに決勝。
決勝の組み合わせは、年間MVP争いの頂上対決となった。
その第1ゲームの動画を、
ビリヤード専門誌のCUE'Sさんが公開していた。
続く第2ゲーム、ブレイクは土方選手。
しかし、ブレイクノーインで、羅選手に撞き番が回り、取り切り。土方 0-2 羅
その後も、0-3、1-3、2-3と土方選手が羅選手を追う形でゲームは進行する。
両者とも、ミスの少ない非常に引き締まった、そして緊張感の高まる試合。
絶対に決めなくてはならないスーパーショットを土方選手も決めつつ、
羅選手も精巧なプレーで土方選手を離しにかかる。
ゲームカウント、土方 4-5 羅。
第10ゲーム、ブレイクは土方選手。しかし、取りだしが見えないため、プッシュアウト。
(プッシュアウトとは、ブレイク後、最初に狙うべき球が攻められない場合、手玉を撞けば
何をしても良い。相手選手は、その状態から撞くこともできるし、また、パスすることもできる。
パスされた場合、その状態からプッシュアウトをした選手が撞かなければならない。)
プッシュアウト後の配置で、土方選手はスーパーショットを決めるが、その後ミス。
残りを羅選手に取り切られ、土方 4-6 羅。
続く第11ゲームは羅選手が取り、土方 4-7 羅。羅選手が優勝にリーチをかける。
第12ゲームは土方選手のブレイク。
彼がこの時点でやらなければならない事は、羅選手に撞かせずに、このゲームを取る事。
第13ゲームは、羅選手のブレイク権だが、撞き番が来ることを祈って待つ為にも、
この12ゲームが大事なのだ。
そんな緊張の場面で、土方選手は、第12ゲームをブレイク・ラン・アウト。土方 5-7 羅とする。
第13ゲーム、羅選手のブレイクは、取りだしが見えない。
プッシュアウトを、土方選手はパス。
羅選手は、クッションから行ってスクラッチしてしまう。土方 6-7 羅。
第14ゲーム、ブレイクは土方選手。
このゲームを取れば、追い付いて、ヒルヒルに持ち込める。
大事な、本当に大事なブレイク...
しかし、無情にもスクラッチしてしまう。
残りの球を、丁寧に取りきった羅立文選手が勝利。
第7戦の優勝を決め、2012年年間MVPを獲得したのだった。
[決勝]
土方隼斗 6-W 羅立文
・グランプリイースト年間ランキング
1位:羅立文 1080pts
2位:土方隼斗 1020pts
3位:塙圭介 840pts
4位:栗林達 820pts
5位:浦岡隆志 800pts
6位:鈴木清司 ・西嶋大策 760pts
8位:高橋邦彦・虻川修 680pts
10位:井上浩平・松田渉・菊嶋淳史 660pts
(敬称略)
羅選手は、彼が使っているタップと同じメーカーの物を、僕も使用していることもあって、応援していた。
もちろん、理由はそれだけではないけれど...(笑)
今年のMVPを獲得してくれて、本当に嬉しく思う。
激戦の2012年グランプリイーストが終了した。
年1回行われる、ジャパンオープンの様なビッグタイトルではない、通常に行われる公式戦として
行われているグランプリイーストを、去年まで見に行くことはなかった。
去年、久しぶりにジャパンオープンを観戦し、そこで再開した
(と言っても喋るチャンスはなかったのだが...)
友人に誘われ、見に行ったのが、グランプリだった。
ジャパンオープンの様な大きな大会ではないが、選手の表情や息づかいまでもが伝わってくる
グランプリは、本当に面白かった。
ので、今年は全戦見に行くことにしたのだが、本当によかったと思う。
今まで見えなかった、知ることのなかったビリヤードの世界はそこにはあった。
そして、テレビなどでは見られないが、スゴイ選手がたくさんいることを、このグランプリを通して知り、
彼らの素晴らしいプレーの数々を目の当たりに出来た。
ますます、ビリヤードが好きになったし、ビリヤードが面白くなった。
この大会を通して思うことはまだまだ沢山あるが、それはまた、追い追い。(笑)