『ウェス・モンゴメリー/カリフォルニア・ドリーミン』(1966年9月録音)
最近入手したちょっと変なレコードの話をします。番外編の第5弾は、自動車のナンバープレートです。
ウェス・モンゴメリー(1923.5~1968.6)はこのジャケット・シリーズの
本編の第20弾ですでに紹介していますが、ジャズ・ギターに革命をもたらした天才であります。
その彼の代表作は何かと言ったとき、『インクレディブル・ジャズ・ギター(1960年1月)』だという人や、いやいや『スモーキン・アット・ザ・ハーフノート(65年9月)』だという人など様々だと思いますが、遺作である
『ロード・ソング(68年5月)』と同じくドン・セべスキーが編曲を担当し大ヒットした『カリフォルニア・ドリーミン(本作)』を挙げる人も多いはずです。
いや、『カリフォルニア・ドリーミン』と言えば、↓こういうジャケットのはずだという人もいらっしゃるでしょう。
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そうなんです。よーのすけも当然、ブロンドの美女が磯辺に腰かけるこのジャケットを昔から持っていますが、年に何回か中古レコード店を覗いて廻る
パトロールを最近久しぶりに行なったところ、見たことのないジャケットがあったのでついつい購入してしまったというわけです。
よく見るとジャケットの右上に「見本盤(非売品)」という赤いシールが貼ってあります。中古レコードとして非売品を売り買いして良いのかはさておき、見本盤(サンプル盤)については
昔書いたブログもご参照ください。
さて、このレコード、収録曲が4曲しかありません。
A面 1、カリフォルニア・ドリーミン 2、サニー
B面 1、ウィンズ・オブ・バルセロナ 2、サニー(別テイク)
見本盤なので、ライナーノートもなくパーソネルの表示もありません。曲目からすると、ヴァーヴ盤(オリジナル)の『カリフォルニア・ドリーミン』に収録されている10曲のうちの3曲は同じです。ただ、B面2曲目のサニー(別テイク)はオリジナル盤には収録されていません。これはのちにLPがCD化されたときにボーナストラックとして追加収録されたものなのです。
つまり、このレコードはまだCDが普及していなかった頃、LPではなくCDを買えばLPには未収録の別テイクが聴けるよ、という販促用の見本盤なのではないかと推測されるのです。
ジャケットの写真を良く見ると、カリフォルニア州イングルウッドのナンバープレートで、1983年4月に登録税を払ったものだということがわかります。
問題はこのイングルウッド(INGLEWOOD)ですが、ロス・アンジェルスの南西に位置する実在の町です。ジャケットのデザイナーが意図しているのは、このレコードが録音技師として名高い
ルディー・ヴァン・ゲルダーの手により、西海岸のカリフォルニアとは正反対のニュージャージー州イングルウッド・クリフ(ENGLWOOD CLIFFS)にある彼の自宅兼スタジオ(ルディー・ヴァン・ゲルダー・スタジオ)で録音されたものだということを表したかったのだと思います。
1983年という年はアメリカでCDの生産が始まった年(日本では82年から)であり、実在のナンバープレートの写真を撮ったとすると、実によく練られたジャケットなのです。
一番下の「AERO PORSCHE AUDI 」が良く分からないのですが、ポルシェやアウディを扱う代理店のコマーシャルかもしれません。そういうお店で、良さそうなナンバープレートを物色し、撮影したのかも。
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JAZZのLP | 日記
Posted at
2010/05/01 20:47:07