
第43弾
『アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ/オー・バイ・ザ・ウェイ』(1982年5月録音)
LPジャケット・シリーズは久しぶりの更新ですm(__)m
アート・ブレイキー(1919~1990)という人は、触媒のような存在だったと思います。1950年代の初頭からドラマーとして活躍するとともに、ジャズ・メッセンジャーズという稀代の名コンボを率いて30年余。モダン・ジャズ界の第一線を歩み続けた彼は常に才能のある新人を発掘しては、世に送り出していく名スカウトでもありました。
ジャズ・メッセンジャーズでプレイした若手ミュージシャンを歴代のトランペッターだけでみても、クリフォード・ブラウン、ケニー・ドーハム、ドナルド・バード、リー・モーガン、フレディ・ハバード、ウディ・ショウ、ランディ・ブレッカー、ウィントン・マルサリス・・・とそうそうたる名前がズラリと並びます(一部省略している人もいます)。
メンバーを次々と入れ替えながらも、ジャズ・メッセンジャーズの強烈なサウンド・コンセプトは脈々と引き継がれ、ブレイキーのレコードはどれもはずれがありません。それぞれ一匹狼のミュージシャンの個性のぶつかり合いは、そのままでは「烏合の衆」にすぎないわけですが、ブレイキーという触媒がうまく作用して優れたコンボのカラーが形成されたということでしょう。
ドラマーがリーダーのコンボは、難しいのだと思います。
第42弾でとり上げたバディ・リッチのレコードでも、いただいたコメントの中に「私もドラムが前面で叩きすぎるバンドはあまり好きではありません」という方もいらっしゃるように。その点、アート・ブレイキーは、サイドメンのソロによく耳を傾けており、けっして前面に出て邪魔をするようなことはありません。抑制の効いた、けれども勘所を押さえた絶妙のサポートこそ彼の身上といえます。
このレコードは1982年5月にオランダで録音されたブレイキーとしては後期のものですが、ウィントン・マルサリスに代わって加入した新人トランペッター、テレンス・ブランチャード(当時19歳!)がその才能を遺憾なく発揮していて素晴らしいものです。
ジャケットの写真は、夜の街角に佇む
バス(車種不明)の後ろ姿を写したもの。グレイハウンドのような長距離バスかどうかはわかりませんが、なんとなく哀愁が漂う写真です。
第18弾でとり上げたザ・グレイト・ジャズ・トリオのレコードで、内藤忠行さんの写真を紹介しましたが、今回のジャケット写真は、やはり日本人の写真家・小西康夫さんの作品でした。
Posted at 2007/12/16 19:17:20 | |
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JAZZのLP | 日記