※クソ長文です。結論だけ知りたい人は一番下までスクロールしてね
なんかヤフオクにずっと16フィールダー用TRDスタビ[48811-ZE600]が出ていて気になっている人が多いことと思います。アクシオが手元に来てからずっと眺めています。
でも適合を見るとMT車と4WD車がハブられているんですよねコレ。中古のスタビを買うような層はMT車か4WD車に乗っていると思うので(クソ偏見)、みんな使えるかどうか怪しい物にこの金額出せないし・・・と手を出せないでいることと思います。
GCインプのパーツだったらこの程度の金額なら即座に買って試すところですが、16アクシオにはそこまで金をかける気はないので世の中に出回っている情報から考察して、何が買いかを考えることにします。
まずはじめに。トヨタ系10桁品番は、ハイフンの前5桁が部品名で、ハイフンの後ろ2桁は車種で最後の3桁が個別に割り振られた通し番号。例えばハイフン前が43211って書いてあったら右のナックルっていう意味だし、ハイフンの後ろ2桁が60だったらランクル系のラダーフレーム車の部品だとなんとなく分かります。また、鋭い人は末尾が0の品番が多いな~と気づいていると思いますが、大きい設計変更があると末尾の品番が繰り上がります。在庫が混ざらないようにとかの措置だと思いますが、実用上は同じものとして扱って問題ありません。
一応例外があって、シムの厚み違いなどは最初から末尾の桁を使って番号を振り分けていたりします。これを知っていると流用の可能性がある部品を探すときに役立つので、純正流用で変な車を作りたい人は覚えておきましょう。
ハイフンついてないですがスバルの10桁品番も同じ仕組みです。6桁7桁がアルファベットですが、SAだったらSVXで採用された部品か~とかわかります。オルタネーターは末尾3桁が600番台までがEJシリーズで使えるだとか、521は520のノイズ対策品で容量等のスペックは同じとか、やたら細かい情報までオタクたちの間で共有されています。
今回はフロントのスタビの話なので、前半の"
48811"はみんな共通の番号になります。毎回書くのもだるいので、ここからは省略してハイフン以降の番号だけ書きます。
後半5桁が52で始まるものばかり出てきますが、これはヴィッツ系の車種を示しているようですね。この後出てくるアクシオ/フィールダーにのみ使われているスタビは12で始まりますし、以前パーツレビューを書いたデフも12なので、こちらはカローラ系を指すようです。
まずMT車と4WD車以外の160系アクシオ/フィールダーのスタビには1.8S用[-52160]とそれ以外用[-12A81]で2種類あるようで、1.8S以外用[-12A81]は160系カローラ専用で使われている品番っぽい。この2種のスポーツ方面の上位互換がTRDスポルティーボ、ここ数ヶ月ずっとヤフオクに出ているアレです。
そして、なぜかハブられているNZE161のMT車/NZE164は130系ヴィッツのFなどの下位グレードと共通[-52180]。ラクティスやベルタの2NZエンジン車にも同じものがついています。(NZじゃない方の1.3のラクティスやベルタは1.8Sと一緒の物っぽいです。
排気量一緒でもエンジンによって使い分けてるんですね)
130系ヴィッツと160系カローラの関係は90系ヴィッツとベルタの関係と(ホイールベースの差まで含め)一緒なので、スタビの強さとしてベルタと一緒なのはわからんでもない感じ。なのでヴィッツの上位グレードのスタビをつけると硬くできます。
NZE161のMT車&NZE164用[-52180]と1.8S用[-52160]はヴィッツ、ラクティス、ベルタにおける2NZ車用と2SZや1NR車用の関係があるので、取り回しに微妙な差異があるのでしょう。ちなみにNZは後方排気、SZやNRは前方排気なので排気レイアウトは別物です。
その他の160系カローラ用[-12A81]とTRDスタビはNRエンジン用の取り回し準拠([-52160]と同じ取り回し)で作られているのでNZエンジン車は適合外と考えると、MTと4WDだけ適合外というのは納得できます。
・・・と思ったけど、初期型は2WD CVTも1NZ-FEだったんですよね
考えられるのは触媒のレイアウトとプロペラシャフトの存在あたりでしょうか・・・NZのMT車はエキマニに触媒ついてないけど、CVT車にはどっかの年式から触媒が入るようになりました。アクシオ/フィールダーも触媒入りです。
TRDスタビとMT車純正スタビは取り回しが違う気がするってのはなんとなくわかった、じゃあアクシオ/フィールダーの1NZ-FE車に使えるTRDの代わりの強化スタビって何かないの?って話になると思います。
乾燥重量で1tを切っている130系のヴィッツFやヴィッツJewelaと比べると、1.5LモデルのヴィッツRS/ヴィッツUは重く、高出力です。そのためかスタビは一回り太いものが装備されていました。これが[-52240]。同じ骨格で更に重く高出力なNHP10アクアや、レース専用車RS Racingもこの品番です。RS Racingはそもそもがサーキットを走らせる前提の車両なので、1NZ-FEの全開程度ならこれで十分ということなのでしょう。
普通に考えればこれをつけるのが妥当。NZエンジンとNRエンジンでスタビが変わるのだとすれば、1NZ-FEが乗ってる車から持ってくるのが確実でしょうし、アクシオのMT車と131 Racingは車重が10kgしか差がないので同等の強さ感になるのではないかと思われます。
そんなヴィッツには他にも純正スタビがあるらしい。それが48811-52290。
GRMN純正装着品らしいです。
GRMN専用SACHSをアクシオに流用している方がみんカラ内にいらっしゃいますしもうちょっとロール減らしたいと書かれていますが、GRMNはスタビの強化も実施してロールを減らそうとしていたようです。
partsfanでこの品番叩いて出てくるのは110イストと170シエンタです。イストは重い(1NZのFF車同士の比較でアクシオ+80kg、NKE165より気持ち重いレベル)上にSUVなので腰高だし、シエンタはさらに重く(2NR車同士の比較でアクシオ+240kg)背が高いので、それなりに強いスタビがないとグワングワン揺れて酔いやすいクルマになっちゃうんでしょうね。
太いとか細いとか言われても分かりにくいので数値比較。
クスコのカタログと見比べてみます。この記事を書いている時点での最新のカタログから引用しています。
NCP120ラクティス[-52180]→クスコ 156%
NKE165Gフィールダー[-12A81]→クスコ 216% ・・・本当に?
ZRE162Gフィールダー[-52160]→クスコ 156%
NSP130ヴィッツ[-52160]→クスコ 165% ・・・数字合わないですね
NCP131ヴィッツ[-52240]→クスコ 136%
NHP10アクア[-52240]→クスコ 173% ・・・数字合わないですね
ヴィッツRSはNCP91 [-52170] とNCP131[-52240]は別物ですが、NCP91用はNCP120ラクティスの1NZ車やプロボックスと共通品なので、クスコに交換して136%っていうのは使われている車種的には納得の数値です。ベルタよりは強いのが入ってて当然です。
NCP131&アクアの-52240は91用と同じ136%が正しい感じがしますが・・・?
仕方ないので計算してみます。ねじり剛性は軸の直径の4乗に比例するって知識
(と、みんな同じプラットホームの5ナンバー車なので棒の長さはほぼ一緒だろうという前提)だけあれば、ちゃんと計算しなくても比較はできます。
クスコのカタログに載っている径だけ見ると、
[-52160]、[-52180]、[-12A81]がφ23(ヴィッツの欄にはφ22と書かれていますが無視します)
[-52170] がφ24
[-52240]はヴィッツにはφ24、アクアにはφ25と書かれています。みんカラ内に25って書いてる人がいますがCartuneにはミツトヨのノギスを当てて24.3mmになってる写真を上げている人もいます。写真付きの方が信憑性があるので、24の方を採用します。
クスコ[900 311 A26]はφ26中実とあるので、26です。
φ23とクスコの比較。 26^4 / 23^4 = 1.63 クスコに交換で純正比163%
φ24とクスコの比較。 26^4 / 24^4 = 1.38 クスコに交換で純正比138%
厳密には純正とクスコで材料が同じとは限らない問題とか、本当にぴったりその直径の数値になってるか怪しいとか、取り回しがちょっと違えばその分硬さも変わってくるとかありますが、その辺スルーして計算するとNCP91[-52170]とNCP131&アクア[-52240]はクスコの公称値の136%とだいたい一緒になりました。
1NR車を中心に採用されている[-52160]はNSP130の欄にあるクスコ公称値の165%が正しそうです。おそらく、他のアクシオ/フィールダーの[-52180]、[-12A81]も同様でしょう。流石に216%とは思えない・・・けど外径据え置きで中空という線も無くはなさそう?だれか[-12A81]の棒の部分を万力で潰して潰れるか試してみてほしいです。
さて、イスト=シエンタ=GRMN、みんカラ内の記事を見る限り『φ25』、『NCP91より15~20%位硬くなります』と書かれた記事があります。↑のクスコと純正の比較みたいな計算をすると、
25^4 / 24^4 = 1.18
NCP91から18%アップ、クスコ的な書き方をすると118%になります。矛盾はないですね。
ちなみにシエンタ純正からクスコに交換すると117%になります。
まとめ
・TRDスタビ[-ZE600]はNRエンジン車用準拠の形状の可能性が高い
・アクアはヴィッツRSと共通だけど、アクアと同じエンジンが入ってるはずのアクシオ/フィールダーのHVはNRエンジン車用がついている
と推測される
・そもそもクスコはNZ車用もNR車用も共通っぽいので、ぶっちゃけ大した形状の差はなさそう
・純正はNZ用とSZ/NR用で使い分けられている
ことが多いので、心配ならNZ車にはNZ車から流用するのが安定
・初代ヴィッツの時代に1.3L車のスタビは1L車の排気系と物理干渉して組めなかった事例があるので警戒は必要
・そうすると1NZ-FEでアクシオ/フィールダーより太いスタビが入っているヴィッツRS(アクア)、イスト(シエンタ)から純正流用するのが安定では
・棒の直径だけを比較するとヴィッツRS/アクア純正をつけるとアクシオ純正からおよそ17%強化、イスト/シエンタ純正をつけると約40%強化、クスコをつけると65%強化、C-ONEをつけると約90%強化になりそう。
・
TRD持ってる人、比較したいから太さ教えて
・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
追記:
TRDスタビ購入者様が情報上げてくださいました。
TRDスタビで使用するというスタビブッシュ[48815-52120]、2014年のマイチェンまでKSP130(1KR)とNSP130(1NR)で15インチアルミホイールやHIDヘッドライトが装備されない(安い仕様の)車両で使われていた物のようです。このKSP130とNSP130、2014年以降はフィールダー1.8Sについてくるー52160に統合されています。
上で書いた
TRDスタビはNRエンジン用の取り回し準拠([-52160]と同じ取り回し)で作られているという仮説、合っていそうですね。とはいえ写真を見ても[-52180]との違いが分かりません・・・なんなんでしょうコレ。
とはいえついてしまうということは、クスコがNZ車もNR車も共通品としているのもまあわかる。使えちゃうんだもん。
あとは、細くなるのにオプションとされている点が気になりますね。
打音が高いということは硬い材質なんでしょう。普通は長さ据え置きで細くすれば共振周波数は下がるので。
何使ってるんでしょうねコレ。蛍光X線分析にかけてみたいところです。誰か装置貸してくれないかな。
切り刻む手間と部品がもったいないのでオリンパスのハンドヘルド型とかでやりたいところ
スタビライザーの素材はおそらくSUP材(ばね鋼)でしょうが、SUP材にもいろいろ規格があります。RS★RのTi2000みたいに変な材料持ち出してるパターンもありえます。価格か何かの要素と引き換えに、スタビライザーを作った時に硬度の上がる物に変更しているんでしょうね。
案外熱処理条件変えただけかもしれませんが
細くした分形状としての剛性が下がるぶんを素材の変更で補い、足回りを軽量化する思想・・・とかなら、スタビがオプション品に設定されているもののカップカーやGRブランドの車両が何かの標準車のスタビを流用して作られていてTRDスタビが装備されていないのも頷けます。フィールダーの車両の特性から言って(商品開発の前提としてハイグリ履いた時にロールさせすぎない等の考え方はせず)純粋に気持ちよく走るためのフィーリング優先足回りでしょう。GRMNなんかは高出力化とそれに伴う重量増を受け止めるためにレートを上げるのが第一の目的でしょうから、相容れない存在のはずです。カップカーもロールケージ分重くなった車体にハイグリの組み合わせで走るものなので、めちゃめちゃ硬い足回りしています。
間違いや補足などありましたら教えてくれると助かります。
この車種全然流用情報が出てこないので...