山崎貴史監督のゴジラ映画新作「ゴジラ-0.0」が11月3日の公開された。
私も直ぐに観に行きたかったのだが、色々と時間が取れず、本日やっと鑑賞することができた。
以下に大まかなストーリーを追いながら、前作同様に登場する兵器や乗り物など、私が観て分かった範囲で解説をしていきたい。
なにせ1回観ただけの映画で追いきれなかったところもあるので、そこはご容赦いただきたい。
さて映画が始まると、1949年の表示があり、前作の二年後であることが示唆される。
長野県松本市が口から怪光線を放つ謎のドラゴン的な怪獣に襲撃され、破壊される場面が描かれる。
前作のブレーン役だった野田博士(ガクシャ)は「巨大生物災害対策局」の局長に出世しており、調査隊の生き残りが持ち帰った情報から、コレが宇宙から落ちてきた謎の生命体であり、捕食した生物の特徴を取り込んで爆速進化する「宇宙怪獣」というところまで確定された。
怪獣はギリシャ神話の怪物ヒュドラとキメラを合わせて「ギドラ」と呼称されることが決まった。
だがしかし、この当時の日本は連合国軍総司令部よりの通達SCAPIN-301、通称「飛行禁止令」により、農薬散布用の軽飛行機すら持つことを許されていなかった。
こんな日本がどうやって飛行怪獣を倒すというのか?
以下に例によって時系列順に登場する兵器の解説を加えていこう。
1.奮進式震電(震電改)
米軍厚木基地の場面で背景にさり気なく星のマークを付けて滑走していた。
この場面、本作から登場の新キャラ、村上博士が語っている重要な場面なのだが、コイツに気を取られて話が頭に入ってこなかったw
前作で大活躍した震電はジェット化する構想があった⋯というのは軍オタの間ではよく知られた話だが、これは残念ながら事実では無いらしい。
というのも、具体的な資料がまったく残っていない事と、この話が出たのは戦後20年以上経ってからの開発関係者の軍事雑誌のインタビューが初というあたりで、信憑性に欠ける、所謂軍事的与太話の類と言わざるを得ない。
まあ、前作の時も書いたが、ロマン兵器だから妄想が膨らむのは否定しないw
2.ダグラスA-1スカイレーダー
アメリカ海軍最後のレシプロ艦上攻撃機である。艦攻と艦爆を統合し、ついでに単座化してしまうというコンセプトで開発された。
1943年に設計が始まり、完成は終戦直前であったため、第二次大戦には間に合わなかった。
設計は後に名機A-4スカイホークを手掛けることになる名手、エド・ハイネマン。
2500馬力のエンジンを生かした搭載力がウリで、単発機のくせに爆弾搭載量は実に3トンを超え、四発重爆であるB-17とさほど変わらないという怪物である。
史実では朝鮮戦争からベトナム戦争までジェット機時代を米海軍の主力攻撃機として戦い抜き、抜群の安定性と信頼性を誇った。
本作ではギドラ討伐の「鳴神作戦」のために4機が米軍により貸与され、うち3機が後述の「深山」の護衛として作戦に投入された。
あー、それから、主人公の敷島浩一が志願パイロット達にギドラの攻撃をかわすためには木の葉落しとかを使えばいいとアドバイスしてたけど、全備重量11トンを超えるスカイレーダーでそんなことしたら確実に墜落するよね(汗
敷島もほかの二人も速成パイロットだったはずなのに、初めての機体で急降下爆撃をかっちり決めてるのは気にしてはいけないのだろう。
3.中島G5N深山大型攻撃機
中島飛行機が海軍のオーダーで開発した四発の大型攻撃機である。
1937年にダグラス社が開発した四発大型旅客機DC-4Eを購入し、参考にしながら開発を進めた。
しかし、このダグラスDC-4という機体、当時としては先進的な技術を惜しみなく投入した難物で、アメリカでも試作のみに終わった機体だった。
こんな高度な代物が当時の日本の手に追えるわけもなく、油圧制御システムのコピー失敗や、搭載エンジンの護が失敗作だったこともあり、6機が製造されたものの、後の「連山」の開発の研究用として4機が輸送機に改造され、後方の輸送任務に使用された。
油圧制御を諦めて、普通のワイヤーによる制御に切り替えた深山の操縦にはゴリラ並みの腕力が必要で、あらゆるところがすぐに故障したため、部隊では「バカガラス」の蔑称が奉られ、2機が墜落、1機は爆撃で破壊され、1機がかろうじて原形を留めて終戦を迎えたが、損傷がひどく戦後すぐに解体されている。
本作ではこの失敗作を米軍が研究用に保管しており、それが返却された
という形を取っている。
まあ、常識で考えたらここで出てくるのは連山になると思うのだけど、これは完全に監督の趣味だよなあw
後述する秘密兵器「燃料気化爆弾」を搭載するために本機の長い爆弾倉が必要になったということのようだ。
それから、あまり自信が無いのだけど、本機がギドラに爆撃を試みる時に使っていた爆撃照準器は当時世界最高性能を謳われた、アメリカ製のノルデン照準器だと思われる。
4.燃料気化爆弾
本作最大のSF兵器ともいえる超兵器。
現実世界で実用化されたのは1970年代のはずだから、なんでこの時期に完成して出てきたのかは謎だ。
調べてみたけど、実用化されたいずれの燃料気化爆弾にも似ておらず、いわゆる作劇的に必要な嘘として分かりやすいようにしてあるのかも。
可燃性ガスの固まりを作り、爆発させることによって周囲の空気を巻き込み、強烈な爆風で周囲の物を吹き飛ばす、という代物で、同じ重さの爆薬よりも威力が高いという利点がある。
5.川西H8K二式飛行艇
通称は二式大艇。
1941年に初飛行した、当時世界最高性能を誇った大型飛行艇であり、敵艦隊へ長駆して肉薄し、雷撃を実施するという他に類を見ないコンセプトで開発された。
そもそも飛行艇はエンジンが波を被らないように高翼かパラソル翼にせざるを得ず、機体の下半分はボート状になるから普通の飛行機に比べて空力的に不利で、高性能を狙える機体ではない。
だから諸外国では、後方での輸送連絡や、救難や哨戒任務に使用されていたし、それに見合った性能しか求められていなかったのだが、貧乏な我らが帝国ではそうもいかず、二式は敵艦隊になぐりこみをかける攻撃飛行艇として、過大な性能を持たされることになった。
だから二式は出場者一人のレースで優勝した感はあるが、間違いなく当時世界最高性能の飛行艇だったのだ。
史実では一二型の一機が米軍に接収されているが(現在、返還されて鹿児島の鹿屋航空基地に展示されている機体がそれ)、こちらの世界では米軍によって魔改造された本機が登場する。
なんと、エンジンを三菱火星1600馬力からB-29と同じライトR-3350の2200馬力に換装し、二重反転プロペラを取り付けているのだ!
火星よりR-3350は大きいし重いので、カウリングは無くエンジンはむき出しというワイルドな姿でだ。
松本でのギドラ討伐作戦が失敗し、雷の力を取り入れたギドラは首が三つになり、尾が二本に分かれて体色が金色の「キングギドラ」へと進化する。
時を同じくして復活したゴジラの脅威も迫る日本で、二式飛行艇は村上博士が開発した「共鳴波増幅装置」なる謎の装置を搭載して、敷島の妻で前作ラストでゴジラ細胞と融合した典子を囮に使い、ゴジラを引きつける作戦に使われる。
また、この時二式の翼下にはロケット弾が一発懸架されている。
これは恐らくタイニー・ティムロケット弾と思われる。
第二次大戦末期から朝鮮戦争に掛けて使用された空対艦ロケットだ。
前作で廃墟になり半ば放棄された銀座でキングギドラとゴジラを戦わせることが決まり、先に銀座に現れたギドラを足止めするために、前作でも活躍した旧雪風の乗組員達が阻塞気球や液体窒素とガソリンを組み合わせた装置などを駆使して戦うことになる。
ここでの二大怪獣による怪獣プロレスは期待していた以上の大迫力でした、とだけ言っておきましょうか。
6.戦艦ミズーリ
アイオワ級戦艦の四番艦。
大和型に対抗するために米海軍が建造した高速大型戦艦。
生き残った方の怪獣に向かって16インチ砲弾の雨を降らせ、初斉射で直撃弾数発を与えている。
砲撃位置が東京湾の中だとしても、そこから銀座まで20kmはある。
どういう射撃精度じゃ!
まあ、突っ込んだら負けなんだろうが。
7.M26パーシング重戦車
ドイツの重戦車に対抗するためにアメリカ陸軍が開発させた90mm砲搭載の重戦車。
大型で重装甲、重武装なのにエンジンがM4シャーマンと同じだったためアンダーパワーなのが欠点で、後に改良型のM46パットンに変えられていくことになる。
劇中では、どこからとも無くワラワラと大量に現れて、生き残った怪獣に砲撃を加えていた。
8.PTボート
米海軍の魚雷艇のこと。
ボフォースの大型機関砲座が確認できたけど、魚雷艇は現地改修が多く特定し難いのであまり自信なし。
9.シコルスキーS-55
米軍に初めて採用された軍用ヘリコプター。
初飛行はこの年だけど、実は配備されたのは翌年だから、微妙に登場時期が早められていたりする。
10.南部十四年式拳銃
二式飛行艇の機内で敷島が村上博士に突きつける。
大正十四年に制式化された、日本陸軍の正式軍用拳銃。劇中に登場したのはトリガーガードが大型化した後期型。
第二次大戦前には後継の南部九四年式拳銃が出てきており、旧式化していた。
弾薬は8mm南部弾。
反動が小さく制御しやすいが、軍用拳銃としては低威力なのが欠点。
まあ、日本軍の場合、高級将校は自腹で輸入品を購入していたそうなので、あまり関係なかったかも。
総じて本作は前作より予算が着いた分だけ、映像は豪華になったけど、視点が分散してしまい、散漫な印象が否めない。
そもそもタイトル的にも主役であるはずのゴジラの登場が遅く、キングギドラにめっきり出番を食われているのがやるせない。
監督、絶対キングギドラの方が好きだろw
ストーリー的にも、伏線張りまくっていて、次回作ありきの終わり方だから、続きはまたやるんだろうな。
監督!次はモスラかガイガンを出してください!