マイレガの加速性能については、先日購入したデータ集『フルテストファイル』に基づき、
パワーウェイトレシオやトルクウェイトレシオを用いて、0-100km/hrの加速を3.9秒と推定しました。
この時は、6車種データのうち2点ずつをピックアップして複数の直線式を求めて
マイレガのウェイトレシオを代入算出して推定しましたが、
さらに多くのデータを活かして推定の精度を上げるべく、検討してみました。
具体的には、マイレガのベース車両であるBP5の初期型がデビューした年度2003年以降の
マニュアルミッション車(R35GTRの2データのみ2ペダルセミオートマ)のスペック、
すなわちカタログ上の車両重量、パワー、トルクと『フルテストファイル』にある35車種の加速データ
をピックアップし、エクセルで縦軸に加速(sec)・横軸にウェイトレシオを取ってグラフ化しました。
その際、最も相関が高い近似曲線の多項式が表示できるため、この数式に現在のマイレガの実測
パワー・トルクから得られるウェイトレシオを代入して加速性能を推定しました。
ここでのポイントは、加速性能を推定するために使用するデータの取得時期(季節)が
バラバラだということです。
ご存知の通り、パワー・トルクは気温によって左右されます。夏は下がり、冬は上がります。
つまり、加速性能を推定するために使うパワー・トルクはカタログ値であって
加速性能を測定した際の実測値でないため、どうしても相関にバラツキを生じさせてしまいます。
しかし、このバラツキはデータ数が多ければ相殺されてきますので、
今回、データ数を35まで増やすことで信憑性がかなり上がってくる訳です。
グラフと元データを↓に示しました。
軽自動車を含む33車種35のデータ(一部同一車種で別日測定データを含む)を基に
パワーウェイトレシオと0-100km/hr加速の相関を見ると、相関係数が最も高いのが、
軽自動車データを除いた場合であり、マイレガのデータから推定される
0-100km/hr加速性能は
3.76秒となりました。
全車データもしくはディーゼル車を除くデータから導いた式から算出すると4.0~4.1秒になりますが、
相関係数が下がりますので、信頼度は低くなります。
ちなみにR35GTRのウェイトレシオを近似式に入れ直して検証すると、
軽自動車を除いたデータから導いた式では3.90秒で実測値3.83秒に近い値が出ますが、
全データもしくはディーゼル車を除くデータから導いた式では4.1~4.2秒と、実測値から
離れてしまうことからも、R35GTRに近いウエイトレシオを代入する場合の信頼度が低く、
軽自動車を除いたデータから導いた式で推定した値3.76秒が最も妥当であると言えます。
また、R35GTRを除いたデータから導いた式は相関係数(信頼度)が最も低くなり、
R35GTRのデータは除くべきではないということも言えます。
一方、0-100km/hr加速と共に加速性能を測る指標として使われるのが
セロヨン(0-400m)加速ですが、こちらも同じ手法でデータに基づいて
現在のマイレガのゼロヨン加速能力を推定してみました。
やはり相関係数が高い条件は、軽自動車を除いたデータからパワーウェイトレシオを用いて
導いた式で、ディーゼル車を除いたデータや全車データから導いた式では
若干相関係数が下がって信頼度が低くなります。
尚、R35GTRのデータを除くと0-100km/hr加速の場合と同様に、さらに相関係数が下がるため、
R35GTRのデータを含んでおくべき、ということになります。
こうして、推定したマイレガの
ゼロヨン加速の推定性能は
11.91秒となり、
マイレガはR35GTRの11.82秒にに匹敵する加速性能を持っていることになります。
トルクエイトレシオを用いて加速性能を推定してみましたが、全体的にパワーウエイトレシオよりも
相関係数が低く、理論的に加速はトルクよりパワーに依存する、ということが言われますが、
それをデータ的にも裏付けたことになります。
マイレガの推定加速性能をまとめた表を↓に示しました。
ちなみに、当方も若い頃にオーバーリッターバイク(FJ1200フルパワー)にも乗っていたことから、
ビッグバイクの加速性能は体感しており、ゼロヨン9~10秒台のフルパワーバイクには
及ばないものの、ZRX1200DAEG(11.5秒)、CB1300SF(11.7秒)など国内仕様リッターバイクに
肉薄する加速性能でもある、ということです。
もちろん、加速データは計測に慣れた方により取られたもので、
誰でもこの秒数を出せる訳ではありませんが、ここではすべてのデータをその前提
(同じスキルを持つ人がデータを取得すること)で推定していますので、
性能比較する上では全く問題はありません。
そして0-100km/hr加速=3.76秒未満、ゼロヨン加速=11.91秒未満を実現出来る可能性が高い
ことが、以下の①~④の4点から言えます。
①加速性能はパワーウエイトレシオだけでなく、トルクウエイトレシオにも当然影響されます。
同等のパワーウエイトレシオであればトルクエイトレシオが小さい(トルクが大きい)方が
加速は良くなる訳で、例えばオーリスRSとアテンザXDはほぼ同じパワーウエイトレシオ
(8.7~8.8)ですが、トルクウエイトレシオが小さいアテンザの方が圧倒的に加速性能が高いです。
(オーリスRS:トルクウエイトレシオ69.022、ゼロヨン17.22秒、アテンザXD:同35.748、同16.06秒)
マイレガはパワーウエイトレシオでR35GTRをやや下回り(性能高い)、トルクエイトレシオで
R35GTRNISMOさえ下回りますので、11.91秒は控えめな値になります。
②ダブルチャージャー化による低中回転域のパワー・トルクの大幅向上がポイントです。
『フルテストファイル』から推定に用いたデータは、ターボ車かNA車のもので、
ハイブリッド車やスーパーチャージャー車に比べてピーキーな特性となります。
よくカタログで低回転からフラットなトルクを出している等を謳っているクルマの実測値は、
大抵ピーキーであってフラットな特性にはなっていません。
それに比べて、ダブルチャージャー化したマイレガのパワー・トルクは、
実測でよりフラットな特性になっています。
当然ながら、パワー・トルクのピーク値が同じクルマでも、より広い回転域で高いパワー・トルクを
発揮する方が加速性能は良くなります。
R35GTR(ノーマルのダイナデータ)とマイレガについて、2000~3500rpmのパワーウエイトレシオ・
トルクウエイトレシオを計算して比較したところ、パワーウエイトレシオは若干凸凹があるものの
同等、トルクウエイトレシオではマイレガの方が低く、性能が高い結果となっています。
ウェイトレシオで見る限り、低中回転域においても3.8Lの排気量を持つR35GTRの性能と
同等以上の性能を発揮していることになります。
③今回使用したパワー・トルクのデータは、マイレガ以外全てカタログ値です。
実際に測定すると補正した値でもカタログ値に達することは稀です。
つまり、実際のパワー・トルクはここで使用したデータよりも低いはずで、
実測のパワー・トルクを代入したマイレガの加速推定値は控えめな数値になる訳です。
④近似曲線の多項式に、実際のR35GTRのデータを入れ直すと計算値は実測の加速データより
遅くなる(実測11.82秒⇒計算値12.0~12.4秒)ことから、R35GTRと同等の性能
(パワーウエイトレシオ)のクルマの推定加速性能は、若干低め(厳しめ)の値が出ます。
これらを総合的に見ると、3ペダルマニュアル車の場合には2ペダルセミオートマの変速ロスタイム
が少ない分を加味する必要があり、シフトアップのタイムロスを削ることが出来るドライバーの
スキルに依存するものの、①~④のプラス要素も勘案すれば、
現在のマイレガは加速性能の一つの目標としていたR35GTRの
0-100km/hr加速=3.83秒・ゼロヨン加速=11.82秒を実現する性能は出ていると、
客観的に結論付けられます。
まぁ、一度公式のゼロヨン大会に参加して測定出来れば分かることなのですが、
公式のゼロヨン大会は開催が少なく、開催地も遠方でだったりで、
参加するタイミングが合い難いんですよね・・・。
公式のゼロヨン大会に参加することが、来年の課題かな~。