
ようやく、その9にして、
この車まで辿り着きました。
身近にあった・・・というか、今も乗っているのですが、まぁあまり気にしないということで。
父がカローラに乗り始めて9年目、車の劣化も進みましたので、いよいよ代替計画発動となります。今回は、何としても6気筒アゲインだったようで、ターゲットはやっぱりマークII3兄弟(笑)。
最初は、父の知人が購入する初代マジェスタ(最上級のC、込700万円也)の下取り車、後期71HTツインカム24(ガレージ保管の極上、走行10,000km)という話があったのですが、これは別の買い手が現れ、流れてしまいます。
その頃、3兄弟は爆発的に売れていた頃も過ぎ、モデルチェンジを控えて、相当台数の在庫車を中心に大幅値引きで販売中でした。
それでは、ということで、新車にターゲットを変更。「長く乗るには、ドアにサッシュがあった方がいいよね」ということで、クレスタのハイメカ、スーパールーセントで商談を開始します。・・・が、何故か条件が合いません。
困った時には、毎度の東京トヨペット某氏が登場。(実は上記マジェスタも某氏の成績)「セダンのお買い得車ある?」と聞いて、「即納でイイのがあります」と持ってきたのは、登録後半年経過の試乗車上がりセダンハイメカグランデ。仕様はデジパネ(!)・オートエアピュリ付のAT。ただし(6L8)。(判る人のみ爆)。
この仕様、(ネタ的にも)イイ感じなのですが、本人のMT希望を考えると、新車で希望仕様を作って長く乗る方がいいだろうということで、新車に逆戻り。(MT選べば、ATより8万円ほど安くなるのも大きいのです。)
「何台も買ってもらっているので、新車でも条件頑張ります」という某氏の回答に嘘はなく、越県にも関わらずクレスタより大幅安の提示。これでセダングランデMTに決まりとなります。(当時の東京トヨペットはクレスタの扱いも可能だったので試しに聞いたところ、こちらは、本扱いではないため厳しいとのことでした)
オプションは厳選の末に、色は試乗車上がりの(6L8)が良かったという意見を尊重。こうした経緯の末、立派なネタ車は出来上がったのでした(笑)。
それでは、1990年(平成2年)8月のカタログから紹介。
2015/4/21 画像を全て更新すると共に一部追加しました。
このカタログについては、既に解説されている方も多いので、HTや有名どころのネタ装備は簡略。濃厚なセダンマニアの視線で解説します。
HTが好きな人は暖かい目で見守ってくださいませ。
最初の左右見開き頁から。
マイナー直後のため、「The Newest MARKII」。後に「The Value of MARKII」に変わります。
思い入れが強過ぎて、この辺だけでも目頭が熱くなるものがあるのです。。
HT2500グランデG(049:ホワイトパールマイカ)
HT2500グランデ(182:ブルーイッシュグレーメタリック)
HT2000グランデ(050:スーパーホワイトIV)
HT2500GTツインターボ(24S:エクセレントトーニング)
リヤウィンドー越しに、新装備のハイマウントストップランプとSRSエアバッグを通しつつ、奥のエレクトロニック・ディスプレイメーターを見せています。
実車でも、ここからの眺めがいいんですよね。これだけでもデジパネを選びたくなるというものなのです。
HT2500グランデGのインパネ
この時代のトヨタ車が取り組んでいた、各種スイッチへのリーチ量低減に配慮したラウンド形状のインパネとなります。
両コンビネーション・パワーウィンドー等の各種スイッチ類やATシフトレバーが、この車から新形状になったのは特筆すべき事項です。
実は長年の使用でも、歪みや捲れ、キシミ音等が最小限で済む耐久性の高さが最大の特徴なのかもしれません。こうして見えている表面をばらして見ると、裏側は骨格しっかりでネジ類も大変多く、非常にコストをかけている事が解ります。
HT2500グランデGの室内
セダン以外のパッケージは、スタイル優先の影響がちらほら。
もっとも、この豪華なシートに収まれば、苦情も口に出ないのかもしれません。G仕様のみ、マイナーにより新デザインの通称”ラグA”シートが登場。
マイナー前の”ラグB”と両方使った経験では、この改良は効果的なものだったと思います。
シートはサイズこそ小さいですが、表皮は帯電防止&防汚加工処理がされた非常に耐久性の高いもの(この年代のトヨタのモケットは下手なビニール以上の耐久性ですね)。シートの中身でも、座面には経たりに強いSバネ&コイルスプリング入。(セダンのみリヤシートにもコイルバネ入)
これまた、重量は嵩みますが、非常にコストの掛かった代物です。(運転席座面のウレタンを交換したら新車同様の座り心地に戻った経験アリ)
左頁では、”ラグAシート”を大きく取り上げています。”殿様の脇息”扱いだったアームレストは、今では採用車種が多くなりました。
本皮革シートは”ラグBシート”のままですが、カラーは従来のセーブルに加えて、新たにミディアムグレーが追加されています。
左頁はオーディオ各種
各ステレオの右上に「セダン用」「ハードトップ用」とあるのは、前者がクレスタと共通のTechnics(現panasonic)製、後者がチェイサーと共通のPIONEER製と異なるため。CDチェンジャー、パワーアンプやスピーカーも両者間で微妙にスペックが異なります。
見開き構成の関係で判り辛いですが、見開きを開くと、パワーユニット類の紹介が見られるようになっています。
左頁の2500cc、2機種はマイナーチェンジでの初登場ということで、大き目の扱い。JZエンジンは初物の割に、耐久性高く非常に良いエンジンでした。(・・・ってこれは次回の話)
右頁は、足回り等の紹介頁
3代目から3代続いた、リヤセミトレーリングアームによる4輪独立懸架も、この代からリヤダブルウィッシュボーンに。キャンバー変化も少なく性能は向上しています。フロントはストラットの最終世代。
ブレーキは、上級グレードのみ4輪ベンチレーテッドながら、径は最強仕様でもF15インチ&R14インチ。
元々上限200馬力前後を想定した足なので、多少強化しただけで280馬力を積めばどうなるのかは、自明の理。
ハンドルの切れ角増は、特筆すべきで、この特徴は現在のクラウンコンフォートでも生かされています。
(メルセデスも小回り性の優秀さを謳っていますが、81に比べると小回りが利きません)
セダン2500グランデG(182:ブルーイッシュグレーメタリック)
前期セダンは、USA・GULF輸出仕様(大型5マイルバンパー)や小型タクシー(小型樹脂バンパー)にも配慮して、バンパーとバランスパネルが別体の構成でしたが、これが個人的主観では、何とも格好悪く。
市場の要望も同様であったのか、マイナーチェンジでは、継続のFフェンダーの前側下半分を切除するという荒業(?)に、その他車型と同様の一体型バンパーを組み合わせることで、(これまた個人的主観で)大分見られる格好になっています。
ちなみに上記2バンパー仕様は、マイナー前のまま。
ただし、セダンのみ、フロントバンパーは3・5ナンバーで共通形状。(一部塗装色では両者間でモール部分の処理が異なるというのは、マニア的視点・笑)
セダン2500グランデ(4J1:ベージュマイカメタリック)
この角度からが、キャビンの高さも相まってボリューム感もあり、きっとセダンのデザインのハイライト。このデザインには、3ナンバーバンパーがMUSTというのは、個人的趣向(笑)。
そのリヤバンパーは前期の小型バンパーからバランスパネル一体型に変更されていますが、このために、リヤクォーターパネル&バックパネルも変更するという気合の入れよう。他ボディは部品の変更ですが、セダンはマイナー前の部品も残るため純増。
リヤテールは、国内仕様のみ、上下にスモークをかけた処理ですが、濃色はともかく、淡色ではUSA・GULF仕様のスモークレステールの方がスッキリとしていて好み。
ボディとホイ-ルのクリアランスは、この画像くらいが仕様となります。
セダングランデツインカム24(3K1:ダークモーブマイカメタリック)
希少色である、この色のセダンは販売台数が少なそうですが・・・
Fグリルは、前期では国内・輸出共に形状共通(細部仕上げは異なる)でしたが、マイナーに伴い、国外は全て通称”クレシーダグリル”に。このため、このグリルは国内仕様のみとなります。
マイナー前後で、ヘッドランプのリフレクターが、ガラス→樹脂に全車変わっていますが、その際ライトのグリルステー位置も変更されているというのは、これまたマニア的視点。(この変更、きっとタクシー業界は困惑したはず)
グレード別紹介、最初はハードトップのバリエーションとなります
続いては、セダンのバリエーション
内装色は、前期から継続のセーブル(ベージュ)、ニューマルーンと前期のブルーから変わったミディアムグレーの3色の設定となります。
ハイソカーのイメージを残す濃色のマルーン・ブルーから、次のトレンドを模索し始めています。
170コロナでは、内装色に合わせた3色のガラス設定でしたが、こちらはグレー内装にブルーガラスの組合せ。
実車は、もっとホイールハウスの隙間が目立つのですが、どうやら重量物を積んで写真撮影をしたらしく。おかげで、皆後ろ下がりの妙な写真になっています。特にセダンハイメカグランデは、明らかにトランクに積み過ぎ(笑)。
70シリーズの継続となったワゴンも、この時に”LGグランデエディション”が追加されています。
後年のモデルと比較すると、Fスポイラー、マッドガード、ルーフレールが未装備でシンプルな装いですね。

主要装備一覧
バブル期らしく、オプションの選択は自由度が高い設定となります。
珍しい装備を選んでいくと、100万台以上売れた車にも関わらず、1台だけの仕様を作ることも可能です。
内外装色の組み合わせも、売れ筋のスーパーホワイトIVでは内装色を3色から選択可能というように自由度が高いものでした。

左頁は安全装備。
マイナーチェンジで、ようやく運転席のみエアバックが選択可能になっています。ABSは上級のみ標準装備で、中級までが選択可能に留まります。
右頁は主要諸元表一覧
このカタログ、思い入れが強いため、いくらでも解説可能ですが、この辺で。
(概要データ)
型式:E-GX81-AEMQK
グレード:セダングランデ
外装色:(6L8)グレイッシュグリーンメタリック、内装色:ミディアムグレー
登録(購入)年月:1992年(平成4年)4月
純正MOP
アルミホイール、ABS、ハイマウントストップランプ、スノーバージョン
・・・きっと同仕様はこれ一台の予感
純正DOP
フロアマット、シートカバー、サイドバイザー、ドアエッジモール、ナンバーフレーム他
この頃になると、私は自分の車に乗るばかりで、こちらは殆ど乗らずなのですが、、、
○MTであれば、2000ccでも及第点の動力性能。ハイメカツインカムは低速トルクに考慮とは言われながらも、中回転以上を好む特性。
○止まる・曲がるも及第点。
○ハイメカはテレスコピックステアリングがレスのため、ポジション取りにくく。室内は小型タクシーで使用されたくらいなので充分な広さ。(ただし、71よりも屋根の高さを低くしたのは大いに疑問)
○カローラから乗り換えたら、別次元の静粛性。僅かに聞こえてくる音も6気筒はイイ。
○これまた別次元の各部品の耐久性。10年10万キロはもちろん、20年20万キロでも大物部品の交換は不要。(ただし消耗部品の交換前提) 弱点は欠陥同様と認識しているA/Cのみ。
○実はハイメカが最も壊れない仕様。(次回に書く2500は小物が結構・・・)
この車に関しては、ここまでの耐久性を見せ付けられると、多少の不満も包含されてしまいます。父的にも何台か乗り継いだ中で、ようやく辿り着いた1台なのでしょう。
最大の問題は、製造社がこの車の価値を理解することなく、その後迷走を始めたことなのかもしれません。
前代よりも、きちんと細部まで煮詰められた所が評価されるべきだったのですが、自動車雑誌の評論は、”代わり映えしない”か”表面だけ着飾った車”ばかりでしたし、市場の評価もそれに追随。作り手まで、国内専売に特化する形で、市場の高評価部分だけを追求し出してしまいます。
その結果、20年以上を経過した今では、MTは仕方ないとしても、使い易いサイズかつちょっと高級感を擽る実用的なセダンは、同社製の新車からは絶滅。。。
また、リーマンショックを経過した辺りから消耗部品を含めた、部品の供給状況が悪化。自車もそうですが、適度な部品交換さえすれば、まだまだ乗れる車にも関わらず、部品供給が使命を左右しそうな様相。。。(この辺、自車交換の際にも述べていますが)
この価格では、この供給で仕方なし、なのかもしれませんが、何とも勿体無い話。一方で高々と”エコ換え”を謳う姿勢には、大いなる疑問を感じざるを得ません。