少し前に掲載した
昭和47年の東京トヨペットの総合カタログ&価格表ですが、嬉しいことに好評のようでして、であればもう少し時計の針を進めた第2弾をやろうと思います。
手持ち資料としては他の年もあるのですが、比較的早く出てきた(笑)&掲載し易いという理由から、1978年(昭和53年)で進めていきます。今を遡ること36年前になりますね。
当時のクルマ社会としては、大きな課題であった乗用車の排ガス対策ですが、当面の最終ゴールとなる53年規制への全車適合が見えてきた時期となります。年度末が最終猶予となりますので、価格表の時点では51年規制適合車と53年規制適合車が併売されています。この点については、各頁で補足します。
他にも当時を振り返るキーワードを2つほど書いてみます。
一つには、
首都高速のサイトから
53年当時の路線図を貼ってみましょう。こちらは、歴史好きにはありがたいことに、
開通年毎の路線図を持っているのですね。
湾岸部と東北道・常磐道方面を除いた放射部がようやく完成しつつあった時期であることがお分かりになるかと思います。
もう一つは、
一般財団法人 自動車検査登録情報協会のサイトにある
車種別の使用平均年数推移表を貼ります。
平成24年の乗用車の平均使用年数は12.64年に至っていますが、昭和53年当時は約6割の7.76年。
ということは、前回紹介した昭和47年式の車を下取りに出したとしても、余程程度が良くなければ、ほぼ間違いなく業販行き。傷や走行距離の減点が多ければ解体行きでも不思議ではないのです。実際、当時のディーラー中古車は5年落ちまでが殆どでありました。
唯一の例外はスポーティカーで、対策車では適えられないパワフルな走りが味わえるということで、未対策車の人気は根強いものがありましたね。
それでは最初に昭和53年8月の総合カタログを紹介。
2015/5/21 画像を全て更新すると共に一部追加をしました。
当時の販売モデルを思い出していただけると、この先の話を一層楽しんでいただけるかと。
ちょうど、マークIIのマイナーチェンジとコルサの新登場が重なった時期ですね。
センチュリーを除く乗用車を軽く解説すると、
・クラウンはモデル末期に差し掛かりましたが、年初のマイナーチェンジでテコ入れを図った状態
・マークIIは旧型から一転して人気車となりましたがスカイラインのモデルチェンジ後は劣勢
・コロナは3代目マークII登場前まで同クラスのベストセラーでしたが、フルモデルチェンジ直前
・カリーナは廉価グレードを中心として人気を回復する一方、コロナの需要を吸収しつつあった状態
となります。
続けて価格表の話に入る前に前回同様、国家公務員の初任給による当時の新車価格の補正値の算出を行ってみましょう。
○総合職(大卒)平成26年:181,200円、昭和53年:94,600円 ≒ 1.92倍
○一般職(大卒)平成26年:174,200円、昭和53年:90,500円 ≒ 1.92倍
○一般職(高卒)平成26年:142,100円、昭和53年:76,600円 ≒ 1.86倍
となりますので、便宜的に1.9倍を新車価格の補正値としていきます。
昭和47年の補正値は3.8倍でしたので、僅か6年の間に初任給が約2倍(!)になったというのも驚きではありますが。
価格表は昭和53年4月となります。4ヶ月のズレにより、マークIIはマイナーチェンジ前後、コルサは価格表の掲載なしという差異が発生していますが、ご了承くださいませ。
先ずはクラウンの価格表
この時点の53年規制適合は、2000及び2600の両EFI搭載車
法人需要の多いセダンはATのみに絞られつつありますが、オーナー層の多い4ドアハードトップ(HT)では、まだまだMTの需要も根強いものがありました。
人気の中心は、4ドアHT・スーパーサルーンエクストラ(EX)、続いて若いオーナー層の発掘を目指した、4ドアHT・デラックスカスタムエディション
4ドアHT2600ロイヤルサルーンの4速フロアATは、2,749,000円(補正後:5,223,100円)
4ドアHT2000スーパーサルーンEXの4速フロアATは、2,303,000円(補正後:4,375,700円)
4ドアHTカスタムエディションの5速MTは、1,845,000円(補正後:3,505,500円)
続いてはマークIIの価格表
この時点の53年規制適合車は、クラウン同様2000及び2600の両EFI搭載車、並びに1800のMTという上下両極端な状態
人気の中心はセダン2000グランデ、次点はセダン2000LG、一方でミドルカーからの乗換需要には、セダン2000GL&1800GLも人気でした。
セダン2000グランデの5速MTは、1,833,000円(補正後:3,482,000円)
セダン2000LGの4速MTは、1,333,000円(補正後:2,532,700円)
セダン1800GLの4速MTは、1,131,000円(補正後:2,148,900円)
ちなみにクラウンカスタムエディションとマークIIグランデで価格帯がクロスしていますが、後者のみがオートエアコンとパワーウィンドーを装備。
クラウンはまだまだ高いクルマだったのです。
続いては左頁にあるコロナの価格表
この時点の53年規制適合車は、1800のMT並びに1600DX&GLのMTのみ。同じ1600でもSTDとSLは51年規制となりますが、前者は価格重視?、後者は車両重量の関係のようです。
人気の中心はセダン1800GLと1600GL
セダン2000GTは、1,463,000円(補正後:2,779,700円)
セダン1800GLの4速MTは、1,127,000円(補正後:2,141,300円)
セダン1600GLの4速MTは、1,036,000円(補正後:1,968,400円)
右頁にはカリーナの価格表
この時点の53年規制適合車は、1600及び1800のMT(ただしGTを除く)
人気の中心は、100万円のセダンということで、1600スーパーDX。モデルチェンジに伴い追加された上級グレード1800SEや同じくフルモデルチェンジで復活した1600GTも人気を集めていました。
セダン1600GTの5速MTは、1,407,000円(補正後:2,673,300円)
セダン1800SEの5速MTは、1,239,000円(補正後:2,354,100円)
セダン1600スーパーDXの4速MTは、991,000円(補正後:1,882,900円)
両車共に、標準在庫は上級グレードのみ5速MTで、平均以下のグレードは4速MTというのが時代を感じさせます。上級グレードは本来オプションとなる衝撃吸収バンパーを店頭付属品に含めて半ば標準装備品としているあたりも、当時のユーザーの好みを反映させているようで面白い点ですね。
左頁からはクラウンバンとカリーナバンを紹介
この後、東京トヨペットはマークIIバン、カリーナバンに変わってコロナバンを扱うようになりますが、この当時の乗用車ベースのバンはこの2台のみ。
商業車の排ガス規制は、まだまだ乗用車に比べて緩かったため、小排気量ながらもバンの方が走りがいい印象が強かったようです。
クラウンバンスーパーデラックスの4速フロアMTは、1,383,000円(補正後:2,627,700円)
カリーナバンスーパーデラックスの5速MTは、928,000円(補正後:1,763,200円)
右頁はハイエース
長年続いた初代ですが、ようやく前年にモデルチェンジ。
昭和48年に登場した日産キャラバンとの競争関係が激しくなります。
バンが引き続き人気を集める一方で、復活したワゴンがフリートユースのみならず、オーナー層にもゆっくりと浸透し始めます。
標準バン3/6人乗り 5ドア1600DXは、928,000円(補正後:1,763,200円)
ロングバン3/6人乗り 5ドア1800DXは、973,000円(補正後:1,848,700円)
ワゴンカスタムは、1,332,000円(補正後:2,530,800円)
トヨエースとハイラックスは、70年代前半にモデルチェンジしたモデルのまま継続販売中。トヨエースはこの翌年、ハイラックスは直後にモデルチェンジされます。
前回も紹介した維持費に関する費用ですが、ここでは昭和47年と比較しつつで抜粋してみましょう。5ナンバークラウンで引きますと・・・
○自動車税、24,000円 → 31,500円(補正後:59,850円)
○重量税、15,000円 → 37,800円(補正後:71,820円)
○自賠責保険料、35,450円 → 34,050円(補正後:64,695円)
前回課税開始されたばかりの重量税は順当に増税されていますが、自動車税と自賠責保険料は相対的に下がっていることがご理解いただけると思います。
最後は、またまた拠点の一覧となります。
前にも書いたことがあると思いますが、池袋営業所はちょうど一年前まで”AMLUX東京”があったところですね。
サンシャイン60前とありますが、こちらの開業は1978年4月6日ですから、ちょうど時期が重なります。サンシャイン60は、まだ珍しかった超高層ビルということで当時かなり話題になったことを思い出します。記憶おぼろげですが、開業当初は今のスカイツリーと同じように展望台には混雑でなかなか上がれなかったような。。。
この時期、家にあったのは48年式マークIIL。3年落ちの中古車で購入後2年経過というところですが、上で書いたとおり中古車価格の下落は早く、ましてや2代目マークIIは不人気車の代名詞になっていましたから、たとえ代替であっても査定価格は悲しくなるくらい低い数値でありました。
父の知人・友人関係で何人か紹介を入れたりしていましたが、自分の順番になるまでには、もうしばらく時間を要することとなるのです。