このカテゴリは、前2回共に予想以上の反響となってきましたので、若干心配しつつの第3弾です。
話は広がり易い一方、真剣に論じだすとキリがなくなるので、月1回の茶飲み話兼頭の体操程度に軽く捉えてくださいませ。
今回のお題、予算を上に広げたセダンという順当な選択も考えましたが、3回続けるのも芸がないので、少し方向性を変えてみようかと思いまして。
少し前振りをすると・・・
クルマ好きを自認する以上、自車の選択から趣味的要素を排除することは難しいと思います。だからこそ、自家用車というカテゴリに絞ったとしても、新旧・大小、星の数ほどの種類のクルマが存在し続けてこられた訳です。趣味が高じると、1台だけではなく複数台の所有という選択肢も視野に入ってきますね。
その一方で、趣味的部分を排除して日常的な実用性のみを満たせばよいとするなら、ベーシックカー1台あればそれで事足りるのではという思いがあるのです。(一時的に不足する場合は、レンタカーで代用してみるとか)
あくまでも私論の前提で、、、15年くらい前なら、その存在は初代ヴィッツだと考えていたのですが、昨今の技術の進歩からすれば、軽自動車でも必要性能は満たせるという考えに推移しています。
その辺りが思い付きのきっかけということで、本題に入っていきます。
軽自動車というジャンルは、昨今の競争の激化もあって、選択肢&価格帯が多岐にわたるのですが、そんな中から「自分でこれ1台のみとして購入するなら」、という前提条件を付けることで、動力性能に余裕のある「ターボ付」、かつ大人4人乗車可能で車高が高過ぎない「(スーパーの付かない)ハイトワゴン」というフィルターをかけることにします。
フィルター通過で抽出したのは、以下の5台。
若干贅沢風味ながらも、比較的売れ筋の選択に見えますが、だとすれば需要もこの辺りに存在しているということなのでしょう。
1.N-ONE Premium Tourer (本体価格:1,610,000円)
2012年11月に「Nシリーズ」の第3弾として登場。
販売当初こそ、かなりの人気を集めたものの、同ジャンルの後発であるN-WGNの発売により、人気は落ち着いたように見えます。
妙に面を捩じることのないスタイリングは、厳つくないディテール部と共に高評価しています。
あえてこれを選んだと思わせることが出来る点は高ポイントで、街中に溢れていないのは、かえって好都合なのです。
メーカーには変に売れ線を狙うことなく、細く長くの商売を続けてほしいところですが。
ボディカラーは、散々悩んだ末に、内装色との両立を配慮して紺ツートンを選出してみました。
2.ワゴンRスティングレー T (本体価格:1,595,160円)
現行モデルは2012年9月より発売開始の5代目。
初登場以来、20年以上の時を経ていますが、スタンダードであり続けている存在。近年はスーパーハイトに押され気味のようですが、軽自動車の代表格であることは異議がなく。
こちらは、その匿名性というか、自然体の選択と見せられるのがポイントですね。ベーシックモデルのディテールの方が好みですが、スティングレーのディテールも何とか許容範囲内。最近の流行らしい、ワイルドだか、ちょいワルだかの方向にもっと進んでしまうのかなと心配な一台。
外装色ももう少し選び甲斐のある設定の方が嬉しいですね。おそらくスズキは確信犯で売れ筋だけに絞っているのだと推測していますが。
3.ハスラー Xターボ (本体価格:1,494,720円)
2013年12月の初登場。
登場以来、大人気となって、昨年のスズキのシェア拡大の大きな要因となりました。
N-ONE同様に、大流行しているワイルド路線へのアンチテーゼとして高評価しますが、あまりに台数が出てしまうと、柳の下のドジョウ狙いが集結しそうな心配もあり。
何となくオーナーを選別してしまう雰囲気を感じていまして、少なくとも私には似合わないかと逡巡させられるのも事実。
ボディカラー次第で、その辺は緩和できるかなと考慮して、掲載カラーを選択してみました。
4.デイズ ハイウェイスター Gターボ(本体価格:1,527,120円)
2013年6月の登場。
登場以来、販売台数上位という結果は、ルークスとの合算や日産の販売力等の要因がありますが、他社OEM時代の販売台数からすると、意外と商品力があるのではという分析も可能。
他車比較では、厳しい評論が多いようですが、競争激化に伴う日進月歩の軽自動車界にあっては、多少の実力差よりもスタイルの好みで選んでも間違いはないのでは、と思っていたりします。
このデイズ、ハイウェイスターに見られる、ちょいワルテイストのディテール部こそ趣味ではありませんが、リヤドアからリヤクォーター部のデザインは、結構高評価しているのです。
ボディカラーが選択し辛いというのは、ワゴンRと同様。
5.ムーヴ カスタム RS”SA”(本体価格:1,593,000円)
2014年12月に6代目が登場したばかり。
長らく、ワゴンRと1・2を争ってきましたが、最近ではタントの方に、ダイハツの中の最多量販が移った感がアリですね。
こちらは4とは逆で、各種性能は良さそうですが、デザインテイストが個人的趣向とは真逆。トップメーカーの1角であるダイハツは無視できず、だったらいっそ、ムーヴコンテを選ぼうかと思ったくらいなのですが、2世代の差を尊重してこちらを選出。
それだけに、ムーヴコンテを新型ベースでモデルチェンジして、全く別のデザインテイストとするという選択肢は大いにアリなのではないかと思ったりも。
といった感じで抽出してみた5台。この中から自分で選ぶなら、1と2を残した末に1を選ぶことにします。現在の売れ方を見ていると、他の選択という結論も十分あり得ますし、そもそも「これ1台で全て賄う」という条件を外せば、全く違う選択となるでしょうね。
以下、諸考察
約150~160万円という本体価格は、昔のことを思えば「高くなったなぁ」という思いを禁じ得ませんが、昨今の値上がり先行の社会情勢や、車の性能向上を考慮すれば仕方ないか、と擁護したくなる部分もあります。
ご存じのとおり、軽自動車は日本国内だけのジャンルですが、国内だけの激しい競争だけで、ベーシックに成り得ると判断できる実力を備えられたという事実は、高く評価しています。一般的な評価も同様だからこそ、これだけの成長に結びついたのでしょう。
それだけに、国内の独自規格ということで、これまでは何となく脇目で見たり、片手間で対応していた大手メーカーも本格的に参入し始め、制度を所管するお上的にも、これまで大目に見ていた部分が段々見過ごせなくなりつつあるというのが昨今の情勢でしょうか。
さらに外国車メーカーが日本国内の販売動向を眺めた時に、独自規格の自動車がこれだけのシェアを占めているという事実は、きっと過去からの経緯なんて一切関係なく、障壁と映るのかなぁなどと。
各方面からの風当たりの強さもあって、この4月から軽自動車税の引き上げが行われた結果、販売台数は大幅減となりました。ひょっとすると、これまで順風満帆で来た軽自動車界も、意外と支えている需要は脆弱ということなのかもしれません。さすがに、これだけの市場を霧散させるような施策を選択し続けるとは考えにくいですが。
モデル単位の興味もありますが、軽自動車界全体の動向の方にも注目しつつある昨今なのです。