
2日ほど舞浜某所で遊んでいまして、今回は休養しながらの更新です。
スカイラインは、前回に続いてですが、一世代遡る形となります。この頃のカタログは、GT・TI・RSの各シリーズで別冊となっていましたが、マイナーチェンジの概要を一冊にまとめた簡易カタログですね。
R30後期については、マイナーチェンジを実施して少し経った時点のプリンス店総合カタログで取り上げています
(リンク先)ので、ご参照いただくのもよろしいかと思います。
それでは、1983年(昭和58年)8月発行の簡易カタログを紹介していきます。
最初の見開きで、マイナーチェンジの内容として101の変更点が列記されています。
一目瞭然のものから、カタログを見比べないと判らないもの、見比べても判らない意外なものまでいろいろ含まれていますね。
変更点の数え方で箇所数が簡単に上下してしまうのですが、(ライバル車に対抗するため)かなり力を入れたことをアピールするのには効果的です。
同じような記載は、130コロナのマイナーチェンジ時にも見られまして、登場当初は好評ながらも、ライバル車に徐々に押されてしまい、マイナーチェンジで捲土重来を期すという構図も一致していたりします。
ここからは各シリーズの紹介。
最初はGTシリーズです。
イメージキャラクターのポール・ニューマンと映るのは、ハードトップターボGT-E Xパサージュ。
スカイラインGTというと先代まではSタイプのイメージが強かったのですが、この世代になるとカラードバンパーのXタイプが大きく掲載されることが多かった印象があります。
この時点ではSタイプが転じるポール・ニューマン・バージョンが間に合わなかった関係もあると思うのですが。
このクラスでは、2ドアハードトップは販売の主流から外れていて、スカイラインも4ドアセダンの比率が上がりつつあったのですが、イメージモデルは2ドアのままでした。
910ブルーバード同様に、マイナーチェンジ時点で4ドアハードトップの追加が出来ていれば、クラス内の勢力図が変わっていた可能性もありますが、このサイドビューでの成立は難しかったのかもしれませんね。
参考価格:ハードトップターボGT-E Xパサージュ(5MT): 2,048千円
続いてはTIシリーズです。
大きく取り上げられているのは、おそらく主力と目されていたセダンTI・L エクストラ。
前年に行われたCAエンジンへの換装により、2000シリーズは無くなりましたので、1800TIと書かれています。次世代表記への繋ぎと見ることもできますね。
マイナーチェンジにより、TIシリーズからはハードトップの設定はなくなっています。
オーナー層の年齢層を考慮してか、GTやRSとは違い、フェンダーミラーが標準設定でしたが、やがてこちらもドアミラーが主流となります。
黒トリムに赤いシートの内装は、ホワイトのボディカラーと組み合わせても良さそうですが、ガングレーとブラックのボディカラーのみの設定でした。
参考価格:セダンTI・L エクストラ(3AT): 1,417千円
最後はRSシリーズです。
新たな最高級グレードとなる、ハードトップ ターボRS・Xが大きく掲載されています。
GTやTIとの差別化が不足と判断されたのか、やがて「鉄仮面」と呼ばれることとなるフロントマスクの採用等、外観に一番手を加えられています。
このマイナーチェンジでは、最高級バージョンのターボRS・Xが追加されています。「スカイラインの一番イイ奴を持って来い」需要への対応、あるいは高性能車であっても豪華な装備を求められる時代になったことが、追加された要因なのでしょうね。
従来Xタイプは、ゴールドのエンブレムでしたが、RS・Xはレッドエンブレムのままでした。
参考価格:ハードトップ ターボRS・X(5MT): 2,691千円
GT&TIとRSという形に分けて、主要装備が紹介されています。
豪華装備の前者と走り重視の後者という対比にしたかったのでしょうが、新追加のRS・Xの装備も取り上げねばならずとなって、双方の重複装備も出てしまい、やや勿体ない感がありますね。
主なグレードが紹介されています。
グレード数の関係があるかもしれませんが、GTシリーズの特にハードトップに力が入っていたと推定できる構成となっています。
マイナーチェンジにより、ノンターボのGT-EとハードトップGT-E Lは設定廃止となっていますから、ターボに主力を移していたことも垣間見えたりします。
TIとRS、それとバンが掲載されています。
掲載グレード数からすると、TIはTI-L エクストラを、RSはXタイプを主力としたかったようです。
バンは内装こそ手が入るものの、外観には手が入りませんでした。
最後には、バンを除いた全グレードの主要装備一覧が掲載されています。
ということでいかがだったでしょうか。
最初の見開きのとおり、このマイナーチェンジは最初の見開きのとおり、地道な改良とはなったものの、比較的インパクトのあった、「GTシリーズのATの4速化」・「TIシリーズのCAエンジンへの換装」・「RSシリーズのターボ仕様追加」は、マイナーチェンジを受ける前から実施されていたため、RSのスタイリングを除けば、大きな話題とは言い難いものがありました。
その結果もあってか、マイナーチェンジ直後から小改良やグレードの追加が続いたというのは以前に紹介したとおりです。
同時期のブルーバードやローレルはマイナーチェンジに合わせた改良がされるのに対して、スカイラインは両車の改良を反映した手入れが随時行われていました。即時改良と言えば聞こえはいいですが、買い時の判断を悩ましたのも事実かと。
このマイナーチェンジではGTを主力にしつつ、RSをもう一つの柱とする戦略を取ったものの、おそらく想定外だったであろうTIシリーズの比率が上昇する結果となり、前回紹介のシリーズに結実していくこととなります。
プリンスと日産の合併以降、メーカーはユーザーを解っていて、一方のユーザーはメーカーの提案を歓迎する、という構図で成長を続けてきたスカイラインシリーズですが、この時期になるとメーカーの思惑とユーザーの希望間で、齟齬が生じていた感がありますかね。